ニコンへのインタビュー
IBCで開催された説明会において、ニコンの幹部らは、拡大するシネマカメラのラインナップに向けてZマウントのシネマレンズ群の開発を進めていることを明らかにした。
ニコンはNikon ZRの発表から数日後、IBC 2025で初のZシネマカメラを披露し、REDブランドのシネマカメラの姉妹機も同時に展示した。これまでにもヨーロッパ最大の放送・映像展示会に参加してきたが、今年は過去最大規模のブースと大規模な広告展開を行った。
(中略)
Nikon ZRの位置づけ
Nikon ZRは小型な筐体と2199ドルというエントリー価格で、主に独立系クリエイター向けに設計されている。ただし、「本格的な映画制作におけるBカメラとしても使用できる」と説明した。
REDカメラはテレビ番組や商業映画などのプロフェッショナル用途を想定している。一方、ニコンはウェブや個人のプロジェクトでの使用、そしてプロフェッショナル機材のセカンダリーカメラとしての役割を担っている。Nikon ZRはREDのプロフェッショナルにおけるBカメラやCカメラとして十分な性能がありながら、情熱あるクリエイターがシネマ作品を制作・共有できる価格設定となっている。
開発上の課題
Nikon ZRのチーフプロダクトマネージャーは、最小限の筐体での最高の性能を実現することが最大の課題だったと語る。
6K RAW記録やボディ内手ぶれ補正を搭載しつつ、コンパクトなボディサイズを実現するのは非常に困難だった。特に放熱設計が課題で、マグネシウム合金を採用し、シミュレーションや実機テストを繰り返し、新しい放熱経路を構築して、この性能を達成した。
チーフプロダクトマネージャーの同僚は、REDのカラーサイエンスに対応させることが自身の挑戦だったとして「既存のREDユーザーがNikon ZRをシームレスにワークフローへ組み込めるようにした」と述べた。
シネマレンズの開発について
イメージング事業本部・代表取締役副社長は次のように述べた。
ニコンは現在、さまざまな焦点距離のシネレンズ群を開発中だ。徹底した調査を経て、すでに開発を開始している。発売までには時間がかかるが、その間は既存のZマウントレンズ群をNikon ZRで使用することができる。
ニコンは現在、様々な焦点距離のシネレンズ群を開発中だ。徹底した調査を経て、すでに開発を開始している。発売までには時間がかかるが、その間は既存のZマウントレンズ群をNikon ZRで使用することができる。
今後の展望
Nikon ZRの機能(コーデックなど)が既存の静止画中心のカメラに反映されるかどうかについては明言を避け、以下のように述べている。
各製品ラインの顧客のニーズに応じて、幅広い映像機能強化を検討しているが、現時点で具体的な内容はない
ニコンがシネマレンズ開発に着手開始
ニコン幹部へのインタビュー記事をAmateurPhotographerが掲載しています。
インタビューではNikon ZRの開発秘話が述べられており、小さな筐体に多くの機能を詰め込んだり、熱暴走しないように放熱の問題に苦労していた様子がわかります。
そして、ここからがポイントですが、ニコンがすでにシネマレンズを開発しているということですね。レンズの開発にはREDの意見も取り入れられているはずで、REDカメラの開発と併せてシネマレンズも開発することで、REDのシネマカメラとの親和性の高いレンズの発売が期待できるのではないかと思います。
そして、今回、Nikon ZRに搭載されたREDのRAWフォーマットが、既存の他のカメラに搭載される可能性については明言を避けていることは少し残念な感じもします。しかし、新ファームウェアの適用だけでNikon ZRに搭載されている新機能を実現することは不可能だと思うので、このあたりは仕方がないのかもしれません。
ところでニコンの動画向けのカメラとしては、Nikon Z30もあるわけですが、こちらがZ CINEMAブランドになるのか、単純にEVFのないZカメラのままなのかは非常に興味深いところだと思います。
- ニコンがシネマレンズ開発開始を明言 ZR機能の既存製品への搭載は言及避ける
- Nikon ZRが本日10時から予約を開始 量販店での初値も確定
- Nikon Z8に不具合を修正する新ファーム V3.10 が登場
- ニコンから次に期待できる1台のカメラと6本のレンズのリスト
- 米B&HでNikon Z6IIIとNikon ZRが同価格で販売中 ZRはトップセラーに
- Nikon ZRはソニー・キヤノンを凌ぐ機能がある最小・最軽量のシネマカメラ
- Nikon ZRはなぜCFExpressとmicroSDのデュアルスロットになったのか!?
- Nikon ZRはREDのV-RAPTORなどと同等の色調、肌の色の正確性を実現している
- Nikon ZRレビュー “価格の安さに疑いの余地はない”
- SmallRig Nikon ZR用ケージ、ケージキットを発売
Nikon ZR | Nikon Z6III | |
センサー | フルサイズCMOSセンサー | ← |
センサータイプ | 部分積層型 | ← |
有効画素 | 2450万画素 | ← |
手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 | ← |
記録画素数(最大) | 6048×4032ピクセル(サイズL:24.4M) | ← |
RAW | RAW14ビット(ロスレス圧縮、高効率★、高効率) | ← |
記録媒体 | CFexpress(Type B)、XQD、microSD | CFexpress(Type B)、XQD、SD |
EVF | - | 0.5インチ546万ドット |
シャッター | 電子シャッター | メカ、電子先幕、電子 |
電子シャッター速度 | 1/16000~30秒 | ← |
フラッシュ同調 | 1/60秒以下の低速シャッタースピードで同調 | 1/200秒以下 |
電子シャッター連続撮影速度 | ・低速連続撮影:約1~7コマ/秒 ・高速連続撮影:約16コマ/秒 ・高速連続撮影(拡張):約20コマ/秒 | ← |
測光範囲 | -4~17EV | ← |
ISO感度 | ISO 100~64000 | ← |
AF検出範囲 | -10~19EV | ← |
フォーカスポイント | 273点(シングルポイントAF時) 299点(オートエリアAF時) | ← |
動画ファイル形式 | NEV、R3D、MOV、MP4 | NEV、MOV、MP4 |
R3D NE | 対応 | - |
REDWideGamutRGB | 対応 | - |
Log3G10 | 対応 | - |
シネマティック動画モード | 対応 | - |
パッシブサーマル設計 | 対応 | - |
音声記録方式 | リニアPCM(48kHz 24bit/32bit float) | リニアPCM(48kHz 24bit) |
RECランプ | 対応 | - |
液晶 | バリアングル式4.0型TFT 307万ドット | バリアングル式8cm/3.2型 210万ドット |
シュー | デジタルアクセサリシュー | アクセサリシュー |
バッテリー | EN-EL15c | ← |
撮影可能コマ数(最大) | 約370コマ | 約410コマ |
寸法(幅×高さ×奥行き) | 約134×80.5×49mm | 約138.5×101.5×74mm |
質量(本体のみ) | 約540g | 約670g |
直販価格 | 29万9200円 | 39万6000円 |
コメント