キヤノン 新レンズの特許
概要
【課題】
広画角かつ良好な光学性能を有するズームレンズを提供する。
【背景技術】
撮像装置に用いるズームレンズには、広画角で良好な光学性能を有することが求められる。広画角のズームレンズとして、特許文献1に開示されているような、最も物体側に負の屈折力のレンズ群を配置したネガティブリード型のズームレンズが開示されている。
【発明の効果】
本発明によれば、広画角かつ良好な光学性能を有するズームレンズを提供することができる。
主な実施例
| 項目 | 広角 | 中間 | 望遠 |
|---|---|---|---|
| 焦点距離 | 6.81 | 9.58 | 13.60 |
| Fナンバー | 2.85 | 3.23 | 3.60 |
| 半画角 (°) | 58.57 | 57.09 | 57.85 |
| 像高 | 11.15 | 14.80 | 21.64 |
| レンズ全長 | 127.71 | 127.71 | 127.71 |
| BF | 30.73 | 40.08 | 49.42 |
| 項目 | 広角 | 中間 | 望遠 |
|---|---|---|---|
| 焦点距離 | 7.22 | 10.80 | 14.86 |
| Fナンバー | 2.88 | 3.61 | 4.12 |
| 半画角 (°) | 56.10 | 55.97 | 55.46 |
| 像高 | 10.75 | 16.00 | 21.60 |
| レンズ全長 | 128.99 | 128.99 | 128.99 |
| BF | 32.52 | 42.88 | 49.78 |
新しいコンパクトデジタルカメラ向けのレンズか
キヤノンがデジタルカメラ用と思われる新レンズの特許を出願していることが明らかになりました。
このレンズの特許はデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラに利用できる特許とあり、デジタルビデオカメラが先に記述されているので、小さなセンサーサイズのビデオカメラ用のレンズの特許の可能性が高いかもしれません。しかし、デジタルスチルカメラとにも利用できるようですので期待してしまいますね。
このレンズは広角と望遠でイメージサークルが大きく変化するようなレンズとなっているようですが、実際にはどのようなレンズなのか、特許の中身を見ていきましょう(当サイトの解釈です)。
今回の特許をみていくと、このズームレンズがどのような撮像装置に向けて設計されているのかが、実施例の数値からわかるかもしれません。焦点距離や画角、像高の変化を丁寧に追うと、一般的なフルサイズ用の交換レンズとはまったく違う性格を持った光学系であることがわかります。
まず目を引くのは、広角端の焦点距離が6.8mm前後と非常に短いことです。フルサイズ用のレンズでこの焦点距離を採用すると、画角は一気に魚眼レンズの領域に入ってしまいます。しかし実施例では、広角端の半画角が約58°にとどまっており、魚眼のような極端な広がり方にはなっていません。この時点で、フルサイズ向けではないことがほぼ確定すると思います。
さらに像高の変化を見ると、広角端では11.15mm、望遠端では21.6mmまで伸びています。像高というのはセンサー中心から端までの距離で、センサーの対角サイズの半分に相当します。望遠端の像高21.6mmはフルサイズの半対角と同じ数字ですが、広角端では半分以下の11mm程度しかなく、ズームに応じてイメージサークルが大きく変化する構造になっています。写真用交換レンズではイメージサークルはズームしても固定なので、この振る舞いは明らかに別の用途を想定した光学系と思われますね。
One Point!:イメージサークル レンズがセンサーに投影できる“光の円”の大きさだよ。センサーがこの円より大きいと四隅が写らなくなるから、レンズとセンサーの組み合わせでとても重要なんだ。
広角端の像高11mmという数字は、センサー対角が22mm前後のシステムにぴったり合います。これはマイクロフォーサーズの対角21.6mmとほぼ一致しており、今回のズームレンズがマイクロフォーサーズ前後のセンサーサイズを想定していると考えるのが自然です。キヤノンがPowerShot V1で1.4インチセンサーを搭載していることから、1.4インチセンサーの可能性がかなり高いと思われます。
One Point!:像高 センサーの中心から端までの距離のことだよ。レンズがどれくらい広い範囲をカバーできるかを示す数字で、センサーサイズの目安にもなるんだ。
このセンサーサイズを前提にすると、実施例のスペックが非常に納得いくものになるかもしれません。広角端では6.8mmという短い焦点距離でも魚眼にならず、24mm相当の広角として扱えますし、望遠端ではセンサーの対角いっぱいまで像を広げることで、コンパクトながら迫力のある映像を得られる構成になります。
また、レンズ全長がズーム全域で約123〜127mmで固定という点も特徴的です。鏡筒が伸び縮みしない内部ズーム構造で、携帯性や堅牢性を重視した設計になっています。ビデオカメラやコンパクト機でよく見られる構造で、交換レンズのように大きく動く前群や伸びる鏡筒は採用されていません。
特許の中では、広角端で画質を崩さないために、中間のレンズ群の厚みを適切に確保することが重要だと説明されています。広角になるほどレンズに入る光線の角度が大きくなり、画面の端で収差が増えやすくなりますが、中間群の厚みをしっかり取ることで、これらの収差を抑えながら広角らしい伸びやかさを維持できるように設計されているようです。
One Point!:収差 レンズで光がうまくまとまらず、画面の端がぼやけたり色がにじんだりする現象だよ。広角ほど収差が出やすいから、設計でしっかり補正する必要があるんだ。
まるっとまとめると、このズームレンズはフルサイズ向けの交換レンズではなく、小型センサー向けの広角ズームとして、広角端の画質・ズーム全域の安定性・レンズ全長の固定化を同時に成立させるための新しい光学設計だと言えそうです。
気になるのはどのようなカメラ向けということですが、実施例や特許の中身をみるとビデオカメラ向けである可能性が高いようです。しかしコンパクトデジタルカメラでも利用できそうな特許ですので、いま噂されているキヤノンのコンパクトデジタルカメラへの応用も期待できるかもしれませんね。
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