2000年から2010年ぐらいまでのわずかな期間でしたが、一家に1台はデジタル一眼レフカメラとか持たなきゃとか、子供が生まれたらとりあえず高級カメラを持とう、旅行に行くからいいカメラを買おう、というお客さんが大勢いました。でも、今は一般的にスマートフォンでいいと思われている。
一方、従来からの写真愛好家だけでなく、最近はYouTuberや映像クリエイターも増えています。鉄道や飛行機、天文などの趣味のために撮影している人も、スマートフォンではなく高級カメラとレンズで撮影しています。もちろん、プロのカメラマンもそうです。こういった市場は確実に残ります。
これだけカメラ市場が縮小していますが、カメラに興味を持つ人はいまだに多く、メディアに取り上げられることも多い。私はまだお客様のカメラに対する関心は減っていないと思っています。むしろ、カメラメーカーがお客様の期待に応えられるものを出せていないことが問題だと思っています。新しいライフスタイルに合う、いいものを作るのがメーカーの責務です。
──ニッチなところで生き残るということでした。これは、特定の需要に応えるニッチということか、それとも高級ブランドとして生きるということなのか、どちらでしょうか。
山木:世の中一般のコンシューマーエレクトロニクスの中のニッチという意味です。一眼レフやミラーレス、交換レンズはそもそもニッチです。プロの方が本当に大切な一瞬を撮るためのツールですので、信頼性高く品質性能がいいことが大前提です。
ただ、それだけだと面白くありません。今までになかったようなものとか、大手がやらないことをあえてやる。わざわざスマホではなく大きなカメラを使う方は、それなりの目的や意思があります。その需要はかなり多様化しているはずです。ベースになる製品の品質性能を担保した上で、その中で細かく対応することが重要です。
(記事を一部引用しています)
(記事元)https://news.yahoo.co.jp/articles/0bcb73918f3e8f99cb966aa4278bf5081d068534
ニッチ市場で頑張るシグマ
JBPressがシグマ山木和人社長とのインタビュー記事を掲載しています。全文はかなり長くとても面白い情報がありますので、詳細は記事元リンクからご覧ください。
記事によれば、シグマは未上場企業なので、株主の顔色をうかがう必要性が少なく、まずは雇用の維持が経営目標の上位になるのだそうです。なので簡単に海外には移転せず、日本での雇用を守るために工場を維持する必要があり、そしてニッチな市場で生き残る戦略を実施しているのだそうです。
また、今後は基本的にミラーレスに軸足をおいて開発していくようですね。いまもソニー用のレンズなどでかなり高品質、低価格なレンズを発売し上位にランクインするほど売れていますので、シグマとしては嬉しい結果だと思います。
そしてスマホが台頭している状況では、確かにカメラが売れずにスマホに移行しているけれども、カメラに興味がある人はまだ多いので、その人たちの要求に応えられていないカメラメーカに問題があるとしています。これはシグマ自身にも言えることだと思いますので、内省の気持ちをこめての発言だと思われます。今は各メーカとも高品質なレンズ、動画機能の向上が最優先になっていて、ビデオブロガーをターゲットにしているようですが、そちらも機能がある程度こなれてきて、ニーズが満たされるようになると、またカメラが売れなくなるということになりそうですので、それまでに次の一手を考えておく必要があるのかも知れませんね。
さらに、カメラを趣味としている人はもちろん、スマホで写真を撮っている人にも、このカメラは欲しいと思わせるカメラを作ることが重要なのかもしれません。
ちょっと今回のインタビュー記事をみていてシグマという会社がさらに好きになりました。
レンズは海外で製造するのが難しい高付加価値製品
記事ではレンズは製造が難しく、海外に工場をつくろうと思ってもすぐに製造するのは難しいのだそうです。なので、あえて日本に残り国内工場の能力を活かして生き延びていくことに決めたとしています。
実際に確かにそのような側面があり、国内製造でも高付加価値の商品を製造できることで、高い価格を維持し続けることができ、メーカとして成り立っていくことができたというところだと思います。逆に言うとレンズはそれだけ利幅が大きな美味しい商品ということがいえるのかもしれません。
ニコン、キヤノンは完全に自社製造ですので、レンズのレンズの売上げに関しても期待できるわけですが、パナソニック、ソニー、オリンパスなどはマウント仕様を公開していたり、アライアンスに加盟することでマウント仕様を得られ、他社であっても完全互換のレンズを販売することができるわけですが、そのぶんメーカは利幅の大きなレンズから得られる利益が目減りしている状況になりますので、このあたりは痛し痒しという状況かもしれませんね。特にソニーとしては、シグマやタムロンのレンズばかりが上位にランクインしているのは、今となっては面白くないと思っているかもしれません。
マウント仕様の公開のメリットとデメリットは様々ありますが、公開したほうがいいのか、それともよくないのかは、もっと長い目でみないと結果はわからないのかもしれません。
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コメント
コメント一覧 (2件)
シグマにはfpの完成度をもっと上げたfp2を早く出してほしいです。
メカシャッターを無くすということまでしたんだからローリングシャッター歪みが出ないように、それとAFはやはり重要で動画でも高速AFは求められています。
ソニーのZV-1が動画ユーザーにウケたのもあの高速AFがあったからでしょう。
α7Cも好調なようですし長方形型フルサイズ機としてfpはもっと動画特化でもいいから完成度を高めてほしいです。
そうすれば自ずとシグマのレンズ(Lマウント用)ももっと売れるでしょうし。
この山木社長の言葉は一部言いすぎです。
この中で昔から天文に関し使えるカメラを開発販売してきたのは
キヤノンだけ。
またキヤノン、ニコンは昔からあらゆる撮影対象を考え開発、販売を
し商品展開をしていると思うので余計そう思います。
またシグマは解像度優先で他の収差を一切無視し後処理で賄うという
方法で一石を投じました。
その為か周辺光量落ちが激しく歪曲の多いレンズが増えました。
フィルムカメラを擁するメーカーでは作れないレンズですね。
リバーサルフィルムでは使い物になりません。
デジタル化を見越しその弱点を狙った戦略が功を奏した分けですが
いずれレンズの補正係数が失われれば古いデータは再現できなく
なります。
特に重要な歴史的絵画や国宝の記録などですね。
キヤノン、ニコンにはその使命を忘れないで欲しいと思います。
Zレンズはデジタル補正前提なので少し心配です。
キヤノンはLレンズの単焦点はデジタル補正に頼らない設計のようで
安心できますが。