米国防総省は2020年12月3日、中国人民解放軍と関係が深い中国企業として、半導体製造専門のファンドリー(受託生産)である中国SMICを指定すると発表した(ロイター、12月4日)。米投資家の株式購入の禁止対象となるほか、同社と米企業の取引も禁止されることになる。
12インチ用の装置で90nm以降の微細性の半導体を製造するのは、ハードウエアをデッドコピーしただけの中国製の装置では困難だと思われる。したがって、12インチ工場を拡張したり新設する場合は、日米欧の装置の導入がどうしても必要である(図5)。
ここで、軍事企業に指定されたSMICに対しては、米製の装置の導入が禁止されるが、日本と欧州が協力すれば、40nmの半導体の製造も、相当苦しい分野はあるが不可能ではない。したがって、SMICが米製の装置を使わずに2023年までに28nmを量産すると計画したのは良い読みと言える。
ところが、米商務省がSMICに対する米製の装置の輸出申請を義務づけた9月末以降、TEL、SCREEN、Nikonなど日本の装置メーカーがSMICへの装置輸出にブレーキをかけ始めた気配がある。これは、米政府が日本政府に対して何らかの圧力をかけたのかもしれないし、または、日本の装置メーカーが米政府に睨まれたくないために忖度しているのかもしれない。
(記事を一部引用しています)
(記事元)https://news.yahoo.co.jp/articles/515d30c6fb27c8e56eb90363e017fbcf22199932
中国半導体大手SMICが苦境に
JBpressが中国の半導体製造大手SMICの状況について報道しています。記事は図も含めて極めて詳細な内容なので、詳しく知りたい人は記事元リンクから全文をご覧になることをお勧めします。
記事によれば、中国の半導体製造大手のSMICが、アメリカから軍事企業認定されたことから、米国製造の様々な機器を利用することができなくなり、半導体製造が停止する危機にあるとしています。
問題はアメリカの中国最大の通信機器メーカであるHUAWEIを、通信機器にバックドアを仕込んだり、仕込む可能性があるとして国家の安全保障的に問題があると考えた事から始まります。そのためアメリカはHUAWEIへの制裁を強めていて、HUAWEIへ半導体を納めていた台湾のTSMCにも圧力がかけられ、現在台湾のTSMCからHUAWEIへ製造した半導体製品を供給することができなくなっているようです。
じゃあ中国国内で半導体を生産すればいいじゃないということで矢面にたたされたのが中国企業であるSMICですが、こちらは今回、アメリカから軍事企業認定されたことで、SMICに日米欧の半導体製造装置メーカは製品を供給することができなくなるかもしれないという内容になっています。
国家間の壁を逆手に美味しいどこどり
中国は様々な手法で、先進国の先進技術を入手して、それら製品の違法的なコピー製品を製造し、国内で流通し製品を製造させていると言われています。今回の半導体製造装置についても、あるレベルのものはすでにコピーされ、最先端ではないにしても、それなりのものが製造できるような状況になっているようです。
国家と国家の間には壁があり、どんなに他の国がもう一方の国へ不当だと訴えても、訴えられた国が無視を決め込めば事実上何もできないことのほうが多いですよね。中国もそれを承知で行っていると思いますので、中国への技術譲渡や、安い人件費や土地などを目的に工場を建設して技術を持ち込むと工場ごと技術も取られてしまうということもあるので、非常に慎重に行う必要があるといえそうです。
半導体に話をもどしますが、それでも最先端の機能となると、まだまだ日米欧のメーカの製造装置が必要ということで、今回の軍事企業認定により、日米欧の各メーカは訴訟のリスクや、アメリカ市場における制裁などの可能性があることから、中国企業への製品の納入は二の足を踏んでしまうという状況になっているようです。
記事にもあるように、ニコンからもSMICへの製品の供給が止まりつつあるような状況ということのようで、ニコンにとっても少なからず痛手になる可能性はあるのかもしれません。いまは様々な製造企業が中国で乱立しているわけですが、そのどれに対しても製品の供給ができなくなる可能性もあるので、かなり厳しい舵取りが求められるかもしれませんね。
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