旭化成が半導体工場の復旧を断念か?
旭化成マイクロシステムが火災で損傷した半導体工場の復旧を断念する可能性があるそうです。どういうことでしょうか?
旭化成は3日、火災で操業を停止している宮崎県延岡市の半導体工場について、既存の建屋の復旧断念を検討していると明らかにした。損傷が大きいためで、今後は新工場の建設も含めて検討する。復旧断念に至れば、半導体の世界的な供給不足に追い打ちをかける可能性もある。
火災は昨年10月に「旭化成マイクロシステム」延岡事業所で発生し、5階建ての工場のうち火元とみられる4階部分などの損傷が激しい。旭化成は半導体の代替生産を同業他社に委託し、取引先への供給を続けている。
-共同通信
トピックだけをみると、旭化成マイクロシステムが半導体生産から撤退するかのような印象を受けますが、実際には既存の半導体工場を修理して製造を開始することを諦め、新工場などの建設も検討するという意味のようです。つまり、現工場の半導体工場の復旧を断念する可能性があるということのようですね。旭化成マイクロシステムが半導体生産から撤退するという内容ではないようです。
記事によれば、工場の損傷がかなり激しく、このままでは修復することができない可能性があるとしています。熱などで建物の鉄筋に損傷があると、工場そのものが倒壊する可能性があったり、耐震性能が基準を満たせない可能性があるということなのでしょうね。旭化成マイクロシステムとしては大変な状況になってしまっているということになります。
復旧の目処はこれまでも不明としていましたが、新工場の建設からとなると恐らく1年以上の期間が必要になると思われるので、完全復旧までは長期間かかることが必至の状況といえそうです。
続々と問題が発生している半導体製造工場
この旭化成マイクロシステムとは別に、先日、ルネサスの半導体工場で火災がありました。ルネサスは、当初は使用不可能になった装置が11台と発表していましたが、その後に23台になったと発表を訂正しています。
最終的に被害台数は倍以上の23台に膨らんだ。ルネサスの柴田英利社長は30日の会見で「(21日時点で)11台以外に使えない設備があるとは認識していなかった」と釈明。
-日刊工業新聞
そのためか1ヶ月で生産の再開を目指すが、事故前の水準まで戻すためには数ヶ月を必要とするようです。ルネサスの工場では自動車用の半導体部品を製造しており、ルネサスは他の工場へ製造を依頼するとしていますが、トヨタ、ホンダ、スズキなどは部品供給が滞ることから生産規模を縮小して対応することにまでなってしまっています。
ところが半導体製造工場のトラブルはこれだけではありません。例えばサムソンでは大寒波によりテキサス州の工場が一時的に停止することになり、半導体製造の大手である台湾のTSMCは台湾の水不足の問題で半導体製造への影響が心配されています。半導体製造にはキレイな水が必要ですので、水不足は致命的です。
一部の懐疑的な人々は、日本の工場のセキュリティの低さを問題視し、米中の経済戦争の煽りを受けて何かしらのテロ攻撃によって火災などが頻発しているのではないか?と見る人もいるようです。実際にそのような可能性は低いと思いますが、半導体製造はまだまだ日本でも行われていて、国内で製造できる体制を整えておくことは重要だと思いますので、もっと基幹企業に関するセキュリティを高めたほうがいいとは思いますね。
いずれにせよ、世界的な半導体製造企業に何かしらの問題が発生しています。今後も需要は高まる一方だと思いますし、もう電子機器のない製品などほとんどない状況になっていますので、生活に直接影響がでてくる可能性があり非常に心配になりますね。
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