予想できなかったライバル企業の買収
ニコンによるRED社の買収が大きく話題になっています。この買収がカメラ業界にもたらす波紋を深掘りする記事を紹介します。
(前略)
REDは以前キヤノンと密接な関係があり、RED社が非常に成功したRAW録画の特許の保護者として裁判所で訴訟を起こすのではなく、ライセンス契約を結ぶ様子をみることは非常に珍しい光景だった。しかし、これはまさにREDがキヤノンと結んでいたもので、キヤノンは圧縮RAWの内部録画フォーマットを提供することができ、一方でKomodoはキヤノンのRFマウントを使用できた。
しかし、いまキヤノンの最大のライバルであるニコンがREDを購入したという事態が発生し、これまでのすべてが風前の灯火となっているように見える(それとも完全にゴミ箱に捨てさるべきだろうか?)。
10億ドル規模となる問題は、ニコンがキヤノンの圧縮RAWの使用を止めさせるか、続けさせるのか、それともREDCODE RAWを他の日本のメーカにライセンスするのかということだ。もしニコンがそれを独占的に保有しようとすると、キヤノンのCinema EOSシリーズの野望にとって問題となる。いずれにせよ、キヤノンがこの状況から上手く抜け出すことは難しいだろう。キヤノンがRAW内部録画機能の提供を継続するか、代わりにBRAWのライセンスを取得するには、多額のライセンス料が必要になるかもしれない。
また、これがREDのシネマカメラにおけるキヤノンのRFマウントの終焉を意味するといっても過言ではない。今後のKomodoはニコンのZマウントになるだろう。ニコンは子会社の製品にライバルのレンズマウントが存在することを望んでいないはずだ。
また特定のニコンのミラーレスカメラにREDのブランドが表示される可能性もあり、今後のニコンのカメラ、例えば、Nikon Z 9 Mark IIは私の意見では世界最高のRAWコーデックであるREDCODE RAWで撮影することができるようになるだろう。
これは高品質動画において、ニコンにキヤノンとソニーに対する大きな戦略的な優位性を与えることになるだろう。
(中略)
AIは動画制作史上の大部分を占める可能性があり、これがニコンが行った買収の最大のデメリットになるかもしれない。戦略的に多くのメリットがあるものの、タイミングは致命的なものかもしれない。
もしAIの映画制作により、大規模な仕事やカメラ機器の崩壊が今後数ヶ月から数年以内に発生すると、ニコンが支払った価値は早く下がることになるかもしれない。
私はニコンがREDブランドをどのように扱うのか、そしてブログや特定の顧客に対し物議を醸してきた会社をどのように取り扱うのか楽しみだ。
(中略)
最悪の場合、ニコンは特許だけを欲しがり、REDのシネマカメラの生産を終了したり、大幅に縮小するかもしれない。彼らの将来にどのような意図があるのかはまだわからないし、ニコン自身もそれを把握していないかもしれない。
(中略)
一方で、この購入によって他の日本のメーカにREDCODEを最終的にライセンスするのであれば、将来のハイエンドミラーレスカメラにとっては良いことだらけで、私はそれが2025年以降のREDのハイエンドシネマカメラの将来の野望にとっていいことかどうかはわからない。
他のメーカへの影響は、そして買収は正しかったのか
ニコンがRED社を買収したということで、海外のカメラ界隈ではものすごく話題になっています。このことを歓迎する向きもあれば、心配する人々もいたりすることがわかります。今回は、その心配をしている人の考えをみてみたいと思います。上記は一部を引用したものですので全文は記事元リンクからご覧ください。
さて、もともとは訴訟で争ったライバル企業を買収するということで話題になっているわけですが、そこには他のメーカに対して所有する特許をどのように取り扱うのかといったことが、やはり問題視されています。
そのメーカの一つとしてキヤノンが取り上げられています。これまでRED社は圧縮RAWの内部記録に関する特許で、一般的には他のメーカとの訴訟を選択してきたが、キヤノンとはライセンス契約をすんなりと結んだことに驚いたとしています。その目的は明白で、キヤノンは圧縮RAWの内部記録の機能をカメラに搭載したかったことで、RED社はRFマウントの仕様を開示してもらってRFマウントのシネマカメラを販売するということが目的だと考えられていたそうです。
しかし、そのRED社をニコンが買収するということで、キヤノンは今後のシネマカメラの戦略を変更しなければならない可能性があるとしています。
可能性としてはいくつかあるようですが、このようなことが考えられているようですね。
- ニコンがキヤノンにREDCODE RAWの特許の使用を認めるかどうか
- ライセンス料はどの程度になるか
- ニコンが特許の使用を認めない場合、他のRAWフォーマットに変更するのかどうか
このあたりが指摘されています。キヤノンがREDCODE RAWを諦めてBRAWという別のRAWフォーマットに変更することも可能かもしれませんが、既存のカメラとの関係もあるので、実際にはニコンに認めてもらいたいというのが本心なのではないかと思います。しかし、ニコンはどうするのでしょうか?ライセンス料金を値上げして認めない方向にするのも一つの選択肢となるのかもしれません。
そしてRED社が販売するカメラがどうなるのかというのも心配の一つだとしています。RED社はRFマウントのカメラを販売し続けるのか、それともZマウントに移行するのか、これもすでに販売しているカメラとの兼ね合いがあるので、いきなりマウント変更というのも難しいのかもしれません。しかしレンズの売上げを最大限にしたいと考えた場合にはZマウントのシネマカメラの発売は待ったなしです。
最後の心配は、そもそもRED社の先行きがどうなのか?ということのようですね。もしAIによる動画生成が一般的になり、実際にカメラで撮影するような映像が少なくなれば、この業界の先行きは暗い可能性があるとしています。もしRED社がこの事実にかなり早くから気がついていて、自社に利益があるうちに売却してしまったということになれば、ニコンは煮え湯を飲まされたことになるかもしれません。
そんなこんなで、驚きのニュースだったわけですが、皆さんはどう思いましたか?
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コメント
コメント一覧 (3件)
ニコンはシネマレンズがないのでどうするかですね。
しばらくはRFマウントのカメラを販売するつもりかもしれません。
恐らく多くの技術屋も退職したでしょうからこれからの
対応がどうなるかですね。
欧米では特許権を持つのは企業ではなく個人なので
買収しても中身がないなんてこともあるので注意が
必要かもです。
日本では使用権を企業が買うようにしたりと様々です。
最後の項が分かりにくいのでもう少し付け加えます。
欧米でも日本でも特許権は個人の所有物です。(業務上の発明であっても)
多くは何某かの形で特許権者に使用権を支払う方法を採ります。
年単位の場合と報奨金の形で一括等、様々です。
特許権者が競合会社に転職したら通常その特許は使えなくなります。
ニコンはREDの看板が目的だったのかなと思ったりもします。
発明者は個人ですが、特許権者はほとんど会社ですよ。
職務発明と言って、業務上の発明は会社へ承継されるのが通常です。それは外国でも同じです。
ニコンはREDを通じて、その特許を使えるようになります。動画ビジネス強化のため、REDを買収したと考えるのが自然な見方でしょう。
ソニーやキヤノンは、REDの技術や特許をあまり必要としていなかったのでしょう。