EOS R1 vs Nikon Z9 vs α1 II
キヤノン、ニコン、ソニーの各社のフラッグシップモデルの対決形式のレビューが掲載されています。それぞれのカメラはどのように評価され、他社のカメラと比較してどのような違いがあるのか、この記事では詳しくお伝えします。
- 風景
- Z9は古いが多くの状況で十分なディテールとダイナミックレンジを提供する。キヤノンやソニーと比較すると若干のダイナミックレンジの犠牲があるが、風景や自然を撮影するのに最適なカメラだ。
- R1は頑丈なボディでダイナミックレンジも優れている。だが注意点は二つ。一つ目はダイナミックレンジはノイズをうまく抑制しているが、RAWで撮影してもきれいな暗部を実現するためにディテールがわずかに失われること。二つ目は画素数が少ないことだ。
- α1 IIはα1と同じセンサーだが、時代を先取りしたセンサーで今でもプリントするのに十分なディテールがあり、ダイナミックレンジはノイズ低減をしなくてもキヤノンと同じ。コンパクトさでは圧勝。
- ポートレート
- Z9はポートレートの被写体を問題なく追跡し、追尾する。3Dトラッキングは設定の中でも最もシンプルで効果的なものの一つ。
- R1は見つけられる生物の目をうまく追跡し、目がみえない状況では頭、動体を追跡する。画素数が少ないことはポートレートではそれほど大きな影響はない。しかし細部の撮影を求められる場合には苦労するだろう。
- α1 IIも被写体を粘り強く追跡するトラッキングAFがある。α1 IIには自動被写体検出機能が追加されうまく機能する。
- スポーツとアクション
- Z9はゾーンフォーカスから3Dトラッキングまで備えており、被写体検出モードと連動し、被写体が何か自動で判別し捉える。テストではほとんどの状況で正確で信頼性がある。Z9は連写速度は速いが最高速はJPEGかトリミングに頼ることでしか実現できない。
- この分野はR1の得意分野だ。AF性能が大幅に向上し、ホッケーのヘルメットを被った選手の目を正確に検出し成功率が高い。特定スポーツでアクションモードを使用すれば結果はさらに向上する。あらゆる種類のプロスポーツやアクション撮影に非常に効果的だ。
- フットボールでの撮影は非常に効果的で、撮影経験が少なかったが非常に高い成功率だった。連写性能はZ9とR1のちょうど中間だ。品質低下を抑えながら、非可逆圧縮RAWで30コマ/秒まで撮影できる。
Nikon Z9は少し古いモデルではあるが、素晴らしいカメラで5000ドル未満という価格で最高のコストパフォーマンスを誇っている。優れたセンサーを搭載し、あらゆる種類の写真撮影に対応でき、動画と写真のハイブリッドとしても最も優れた性能がある。実際、Nikon Z9にとっての最大のライバルはNikon Z8だ。Nikon Z8はNikon Z9とほぼ同じ体験を提供しつつ、よりコンパクトなサイズになっており、デュアルCFExpressメモリカードスロット、GPS、イーサネット接続を犠牲にしてはいるが、多くのユーザはそのことを気にとめないだろう。
EOS R1は6300ドルと間違いなく高価で、スポーツやアクション撮影専用のカメラとして特化している。キヤノンは高速読み出しのセンサーと最先端のオートフォーカスのある革新的なカメラを作り出した。動画撮影としてもまずまずだが、高いお金を支払う必要があるのなら、もっと様々な写真撮影に対応できるカメラが欲しいと感じる。EOS R1は将来的にこのカメラの高解像度版が登場する余地を残しているが、多くのユーザはより小型で同様の性能を持つEOS R5 Mark IIを選択するだろう。
α1 IIは物議を醸し出すカメラとなっている。一方では、ソニーのラインナップに既に存在する技術を取り入れ、α9 IIIのボディと古いα1の中身を組み合わせた基本的なモデルで、あまり革新性はない。しかし他方では、非常に高い性能があり、素早い連写、高い連写速度、他社よりも多くの画素数を提供している。オリジナルのα1の先進性を証明してはいるが、プリキャプチャや自動被写体検出のようなアップデートはかなり小規模だ。動画機能は大幅に改善されるべきもので、4年前のフラッグシップモデルと比較して処理能力はほとんど向上していないようだ。その上、非常に高額な6500ドルという値札を考えると、α1 IIIは高性能であるにも関わらず、期待されるほどの改善が見られないカメラのように見える。
それぞれ個性的なカメラ
キヤノン、ニコン、ソニーのフラッグシップカメラについて、それぞれジャンルに分けたレビュー記事が掲載されています。上記は一部を要約したもの、結論部分を引用したものになります。この他にも動画に関するレビューなどもありますので、全文は記事元リンクからご覧ください。
さて、レビューではそれぞれ対決形式で比較しているわけですが、なかなか興味深い比較になっていますね。
Nikon Z9に関しては古いカメラであること、メカシャッターがないことが指摘されていますが、通常に利用するぶんにはAF性能は十分で、動画の性能も高く、コスパが高いと評価されています。
EOS R1は価格が高いけれども、最新のAF性能でスポーツ撮影やアクションの撮影には非常に機能するようで、撮影の成功率が向上するようですが、解像度が問題視されています。
α1 IIは非常に高い性能があるが、α1のマイナーバージョンアップというカメラになっていて、元々の潜在能力が高かったので問題ないとしながらも、もう少しカメラにプラスとなるようなワクワクする機能を求めていたらしいことがわかりますね。
このように見てみると、それぞれ各社の違いがでていて面白いです。それぞれ無理なものを削ったり、省略したりすることで価格を適正にしようとしたり、プロフェッショナル向けに本当に必要と思われる機能を追加した結果、マイナーバージョンアップに近いものになってしまったりと、各社によって方針が違うということになっているようですね。
まあ、いずれにせよカジュアルに撮影する筆者にとっては、まったく手が出せるようなカメラではないわけですが、これらの機能がハイエンドAPS-Cやフルサイズのエントリー機にまで降りてきているので、今後は低価格帯の機能向上が期待できると思うと楽しみになってきます。
さらに「ニコンインタビュー “EXPEED7は10倍の性能 Z50IIの鳥認識はサブ機利用を念頭”」ではニコンへのインタビュー記事について詳しくお伝えします。
センサーサイズ | 35mmフルサイズ Exmor RS CMOSセンサー |
画素数 | 約5010万画素 |
センサークリーニング | アンチダスト |
イメージプロセッサ | BIONZ XR |
AIユニット | AIプロセッシングユニット |
手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 |
補正効果 | 8.5段 |
高速連続撮影 | 電子シャッター時:最大約30コマ/秒 メカシャッター時:最大約10コマ/秒 |
動画撮影 | 8k 30p、4k 120p |
シャッター速度 | 電子シャッター:1/32000-30秒 メカシャッター:1/8000-30秒 |
フラッシュ同調 | フルサイズ:1/400秒 APS-C:1/500秒 |
ISO | ISO 100 – 32000 拡張:50、102400 |
フォーカスポイント | 最大759点 |
EVF | 0.64型 943万ドット |
背面液晶 | 3.2インチ 209万ドット バリアングル |
メモリカードスロット | SD、CFExpress Type Aデュアルカードスロット |
サイズ | 約136.1 x 96.9 x 82.9 mm |
重量 | 約743 g(バッテリ、メモリ含む) |
(via)PetaPixel
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コメント
コメント一覧 (3件)
各社のフラグシップに対する考え方の違いがモロに出ているのだと思います。
キヤノンがいちばん簡潔でわかりやすい。スポーツや報道に潔く特化していますね。
一方ニコンとソニーはこのフラグシップに万能機を持ち込んできました。これが報道・スポーツのプロにどう捉えられるのか興味あります。
ただZ9とα1Ⅱの直接のライバルはキヤノンだとR5MarkⅡになるような気がするのですが…
フラッグシップ機はプロのニーズを汲んだ上でのメーカーの答え(製品)なので、報道やメディアの現場にも昔ながらのスチール特化というよりもマルチなカメラ(例:高画素・動画機能)が求められているということだと思います。 Z9はそういう意味ではどれも丁度良い塩梅でバランスの取れたプロ機のように感じます。
先進機能をありがたがるのはスペックマニアか趣味人くらいで、プロの多くはとにかくノーリスク、ノーストレス、変化を望まず堅実さを求めます。
プロは費用度外視とにかくお金をかけるだけかけられる(経費に出来る)と誤認されがちですが、そういった運営ができるのは大企業かトップオブトップの個人プロで、多くの人たちはお財布とリターンを天秤にかけて備品を揃えます。いわゆる費用対効果というやつです。そういった意味でもリーズナブルであること。一台で全てこなせる多機能機であること。この辺の要素は今のフラッグシップ機に求められるファクターなのではないでしょうか。
α1 は動画を生業にしている人にとっては良い機種のようででこちらの
カタログスペックで比較した評価とはまた違う結果ですね。
メーカーそれぞれが何を主体にするかで性格が異なるので比較が難しいです。