■ はじめに
最近はUSB Type-Cの充電環境が整ってきました。USB Type-Cの端子しかない充電アダプタも存在していますし、ノートパソコンでもUSB Type-Cしか搭載していないものもあります。デスクトップにもUSB Type-Cの端子が搭載されはじめています。スマホもほとんどがUSB Type-C充電になっています。
そして、カメラもUSB Type-Cを採用しUSBからの充電や給電を可能にしています。ゲーム関連では、Switchの電源がUSB Type-Cによる充電/給電になっていますし、PS5のデュアルショックコントローラーもUSB Type-Cになるそうです。
なので、今後はUSB Type-Cが普通になるなということで、今後、購入するUSB充電器、ケーブル、ノートパソコン、マザーボード、PCケースなど、すべてUSB Type-C採用の製品に切り替えて、ケーブルに関する問題を一気に解決しようと考え、そしていろいろと調べてみることにしました。
今回は主に充電に関してUSB Type-Cに統一しようと考えたもので、PCやノートパソコンと接続したりして、データ転送のことは、あまり主眼に置いていないので、そのあたりはあらかじめご了承ください。また、自分で調べた内容ですので、技術的に誤っている可能性がありますので、そのあたりもご理解のうえご覧ください。かなり長文になっていますので、そのあたりもご容赦ください。
■ 自分の充電環境の確認
まずは、自分の充電環境の確認です。通常使用している機器で、自分がどのような端子の製品を利用しているのかを調べてみることにします。すると以下のようになっていることがわかりました。
・iPad Air3 Lightning端子
・iPhone XR Lightning端子
・ドコモのガラケー FOMA用充電端子
・MediaPad M5 lite 8 microUSB
・DualShock3 miniUSB
・DualShock4 microUSB
・ワイヤレスイヤホン microUSB
・Switch USB Type-C
充電している機器は以上のような感じになります。かなりバラバラですよね?これをすべて変換アダプタや変換ケーブルを利用してUSB Type-Cに置き換えることはできるのでしょうか?
■ 最初に考えたこと
これをみると端子的には、Lightning、miniUSB、microUSB、USB Type-C、FOMA用充電端子と、かなりバラバラになっています。FOMA用端子をUSB Type-Cに変換するのは難しいとして、とりあえず、USB Type-C(オス)-USB Type-C(オス)のケーブルを購入して、接続する機器ごとにType-C(オス)からiPhoneのLightning(オス)や、microUSB(オス)、miniUSB(オス)に変換するアダプタを利用して充電すればいいんじゃないのかな?と思いました。
そうすれば、Type-C(オス)-Type-C(オス)のケーブルに、それぞれの端子に対応する変換アダプタを利用すれば、Type-C(オス)-Type-C(オス)ケーブル1本ですべての機器を充電することができるようになるからです(ガラケーを除く)。そしてUSB充電器はUSB Type-C端子の充電器で揃えることができるので共通して利用ができるのでは?と考えたわけですね。
■ 使用できる変換アダプタは限られている
ですが、その夢は実現が不可能だということがわかりました。
なぜかというと、USB Type-Cと変換できる端子というのは、規格で限られているということがわかったからです。具体的には、以下のような変換アダプタしか規格上は存在しません。
・USB Type-A(メス)-USB Type-C(オス)
・microUSB(メス)-USB Type-C(オス)
なので、USB Type-CをminiUSBに変換するアダプタというのは規格上存在しません。Amazonなどで販売されていますが、それらは規格外の製品ということになります。
問題はLightning端子で、こちらはApple独特の規格ですので、他の規格と直接的に比較するのが難しいのですが、USB Type-CをLightningに変換するアダプタというのもAmazonなどでは販売されていますが、アップル製品と互換製があることを認証するMFI認証に対応しているUSB Type-CをLigntning端子に変換するアダプタは存在しないようなので、やはりこちらも非公式な製品ということになるのだと思います。
このことから、USB Type-C(オス)ケーブルを購入して、Type-CをminiUSBに変換するアダプタ、Type-CをmicroUSBに変換するアダプタ、Type-CをLightningに変換するアダプタというのは存在しないことになるので、Type-C-Type-Cケーブルですべてをまかなうという計画は実現することができないということがわかりました。
■ 変換アダプタの最適解
そのため、どの端子から、他の端子へ変換することができるのか調べてみると意外なことがわかりました。最も、他の端子に規格上公式に認められているのは以下の端子です。
・micro USB(メス)→USB Type-C(オス)の変換アダプタ
・micro USB(メス)→Lightning(オス)の変換アダプタ
・micro USB(メス)→mini USB(オス)の変換アダプタ
なので、USB Type-C(オス)-micro USB(オス)のケーブルを購入し、それぞれmicroUSBからUSB Type-C、Lightning、mini USBへの変換アダプタを購入すれば、USB Type-C-micro USBのケーブル1本ですべて機器を充電できるということになります。
ここで規格の話になりますが、micro USB→USB Type-Cの変換アダプタは上記で記述したように、公式に認められた規格ですので存在しています。そして、micro USB→Lightningについても、micro USB→USB Type-Cが認められていることから、事実上公式に認められているような感じになっているようです。micro USB→mini USBは後方互換なので、特に問題ないといったことのようですね。
ですが、いまさらType-C-microUSBのケーブルを購入して、わざわざType-Cへの変換アダプタを利用するのは馬鹿らしい感じがします。将来的にはType-Cで統一されると思いますので、今現在の利便性を考慮してmicroUSBに統一するのはもったいないと思います。
■ いま存在するType-C端子のケーブル
ちなみに、今存在しているType-Cを他の端子に変換してくれるケーブルは以下のようなものがあります。
・USB Type-C(オス)-USB Type-C(オス)
・USB Type-C(オス)-microUSB(オス)
・USB Type-C(オス)-Lightning(オス)
それぞれType-C、microUSB、Lightningに対応しているケーブルがあるので、その機器専用にケーブルを購入してもいいのならば、USB充電器をUSB Type-Cの端子のものだけで揃えることが可能です。ただし、機器によって使い分けしなければならないので、それだけが面倒です。
miniUSBに関しては、Type-Cからの変換ケーブルはほぼないと思いますので、microUSBをminiUSBに変換するアダプタが必要になると思います。
■ 従来のケーブルを利用する場合
ケーブルをType-Cで揃えるのは将来的に行うとして、とりあえずいま所有しているケーブルを利用したいという場合に活躍するのが、USB Type-Cの端子にUSB Type-Aのケーブルを挿すことができるように変換する、USB Type-C(オス)-USB Type-A(メス)の変換アダプタです。これを利用すれば、USB Type-C(メス)の端子のUSB充電器で、既存のUSB Type-A(オス)の充電ケーブルを利用することができます。
特にmicroUSBは、今後なくなっていく規格だと思いますので、USB Type-CのUSB充電器でUSB Type-C(オス)-USB Type-A(メス)を利用して、いま所有しているUSB Type-A(オス)-micro USB(オス)のケーブルを利用し、将来的にmicro USB搭載のスマホやタブレットをUSB Type-Cのスマホやタブレットに買い換えするという選択肢もありだと思います。
■ 高速充電ができるかどうか?
しかし、ここで一つ問題があります。それはmicroUSBをUSB Type-Cに変換するアダプタや、USB Type-AをUSB Type-Cにアダプタを利用して、本当に高速充電が可能なのかどうか?ということです。そうするとスマホやUSB充電器の充電規格についても調査しなければならなくなります。ただUSB充電器の充電端子をUSB Type-Cに統一したいだけなのに、もうかなりの遠回りになってしまっています。
■ 高速充電の仕組み
それでは、そもそも高速充電というのはどのように実現しているのでしょうか?
これまでUSBによる給電は、電圧が5Vまでと限定されていました。なので充電を早く行うためには電流を高めるしかありません。ですが、電流を高くするとケーブルそのものの信頼性とか安全性が問題となり、あまりに多くの電流を流すと問題になる可能性があるようです。
ちなみに家庭用のコンセントの電源タップは1500Wまでとなっています。日本国内のコンセントの電圧は100Vですので、電流としては15Aしか流れていないということになります。
なので5Vのまま電流を多く流すということは危険が伴うので、いちおう安全を考えて3Aまでという規格になっているようです。そうすると、5V 3Aが最高ということで15Wの充電しかできません。じゃあどうすればいいのか?ということで考え出されたのが、電圧を高めてワット数を増やそうとする方法のようです。
たとえば、同じ3Aでも電圧を高めて15Vにすれば45Wまで供給することができます。これが、基本的な高速充電の仕組みです。
クアルコムのQuick Chargeという技術では、以下のような充電の電圧と電流に対応しています。
■ Quick Chargeの対応ワット数
・QC 1.0 5V 2A 10W
・QC 2.0 5V 3A 15W、9V 2A 18W、12V 1.67A 20W
QC 1.0では電流を多く流すことで急速充電に対応し10W充電を実現し、QC2.0では電圧を高めることで、より多いワット数を得ていることがわかります。
■ USB Power Delivery(USB PD)の対応ワット数は?
それでは、最近の標準となりつつUSB Power Deliveryはどのような電流電圧で高速な充電を実現しているのでしょうか?調べてみると以下のようになっているのがわかります。
● USB Power Deliveryの規格
・5V 3A 15Wまで
・9V 3A 27Wまで
・15V 3A 45Wまで
・20V 5A 100Wまで
上記はUSB Power Deliveryで対応しているワット数の上限です。規格をみると最大で5Aもの電流が流れていることがわかります。かなりの電流ですね。
■ 高速充電に対応するケーブルはどんなケーブル?
さて、ちょっと遠回りになりましたが、高速充電の規格には前述のような様々な電圧と電流の組み合わせがあり、USB充電器側が接続された機器に合わせて最適な方法で充電してくれるということがわかりました。では、高速充電をするためには、どのようなゲーブルが必要なのでしょうか?
ということで調べてみると、基本的には、3Aまでならどのケーブルを利用しても高速充電ができるということがわかりました。5A以上の出力を出せるものは、ケーブル内に専用のチップが埋め込まれていることが条件になるようです。チップを入れることで、5Aの電流を流せるという認証を得たしっかりとした製品であることがわかるというようなことになっているようですね。
同様に、iPhoneのLightningに関しても変換アダプタやケーブルにMFI認証を得たものでないと将来的に使えなくなってしまったり、事故になる可能性があるのでLightningケーブルや変換アダプタに関しては、かならずMFI認証を得ている製品を選ぶことが大事です。
そして、USB Type-Cの変換アダプタについても、それぞれのメーカをホームページなどを確認すると、変換アダプタを経由しても3Aまでの充電なら、高速充電が可能という製品が多くあります。なので、USB-Type-C-USB Type-A変換アダプタ、USB Type-C-microUSB変換アダプタ、microUSB-Lightning変換アダプタを経由しても3Aまでの高速充電なら大丈夫なようです(対応しているアダプタ、ケーブルを利用している場合)。
■ デバイスはどの充電モードに対応しているのか?
というわけで、一般的なUSBケーブル、変換アダプタを利用していても3Aまでの充電だったら、別に問題なくできてしまうということがわかりました。
それでは充電される側の機器はどのような充電に対応しているのでしょうか?デバイスが3A以内の充電しか求めていないのであれば、わざわざ高価な5A対応のUSBケーブルや、USB充電器を購入する必要もありません。
ということで、iPhoneとSwitchについて調べてみると以下のようになっていることがわかりました。
● iPhone 7以前の高速充電の規格
・5V 1A 5W
・5V 2.1A 10W
・5V 2.4A 12W● iPhone 8以降の高速充電の規格
・9V 2A 18W
● iPad Pro11インチの高速充電の規格
・15V 2A 30W
● SwitchのUSB充電器の規格
・5V 1.5A 7.5W
・15V 2.6A 39W
USBの基本的な充電規格の電圧は5Vです。なので、iPhone8以降は9Vの電圧に対応しているため、これらは急速充電に対応していることになります。
前述しましたが、USBのケーブルは基本的に3Aまでしか対応していないですし、充電器も最大で3Aとしていることがほとんどですので、5Vでは最高でも15Wの充電しか対応できませんし、高速充電規格を採用していない場合は5Vでは最大2.4Aまでの電流しか流すことができないようなので、標準規格では事実上、5V 2.4Aの12Wまでの充電しかできないことになります。
ですが、その仕様を拡張して電圧を高める方向で高速充電に対応するため、上記のように電圧が9Vや15Vに対応しています。そうすると、2Aの対応ではありますが、9V 2Aで18W、15V 2Aで30Wという高速充電を実現しているということがわかると思います。
ということは、iPhone用や多くのスマホ用のUSB充電器としては9V 3Aに対応しているUSB充電器で十分ということになりますね。アンペアも2Aまでなので、既存のType-A-Lightningケーブルでも高速充電が可能ですし、変換アダプタを利用しても高速充電は可能ということになります。
Switchはかなり特殊なデバイスのようで、USB Type-Cを充電用の端子に採用しているにも関わらず、公式にはUSB Power Deliveryに対応しているとは明記していません。どうやら、USB Power Deliveryに完全に準拠していないようなのです。
USB Power Deliveryに対応している充電器ならば、通常は9A出力にも対応していなければなりませんが、SwitchのUSB充電器は対応していません。なので、SwitchのUSB充電器をスマホなどに利用すると5V 1.5Aの7.5Wでしか充電できない可能性があります。スマホなどの充電には利用しないほうがいいということになりますね。
逆にSwitchに充電/給電するには5V 3A、15V 3Aまでの充電器に対応していればSwitchに利用できるということになると思います。たぶん5V 1.5AはSwitchのコントローラーの充電用やスリープ中の充電で、利用中やドックに入れてテレビでのプレイ中には15V 3Aの規格で給電しているのだろうと思います。
ですが、こちらも3Aまでの電源ですので、5A対応しているケーブルでなくとも大丈夫だと思われます。USB充電器の選択に関しても、かなり特殊なデバイスなので、メーカの説明でしっかりとSwtchに対応という記述がある製品を購入したほうがいいと思いますね。
■ Power Delivery対応じゃないケーブルって?
ここまで調べて思ったのですが、十分に高速充電になっているのに、なぜかPower Delivery非対応ですというような記述がある製品が多くあることです。
これは調べてみると、どうやら5Aの出力に対応していないから非対応としているだけで、実際には3Aまでなら、どのようなケーブルでも出力することができてしまっていることがわかります。つまり、USB Power Delivery対応の充電器でも、5V 3A 15W、9V 3A 27W、15V 3A 45Wまでだったら、Power Delivery対応と明記されてなくとも、ちゃんとそのワット数で充電してくれるようです。
たぶん、20V 5Aの100Wなど5Aに対応できていないケーブルであるということをPower Delivery非対応と記述しているのだと思われますね。
■ 対応する充電器探しが必要
これまでの調査から、とりあえずノートパソコンを充電したりとかしない限り、スマホやタブレットを利用している限りは3A対応までのケーブルでなんとかなるし、変換アダプタなども利用できることがわかりました。ですが、問題は充電したいデバイスの充電規格に適合するUSB充電器をどのように選択すればいいのか?ということです。
通常、USB充電器の仕様をみると、どの電圧でどのアンペアまで対応しているのか記述製品している製品がほとんどです。
なんとなく高速充電に対応とか、USB Power Deliveryに対応とかいう商品を購入すればいいんじゃないか?とも思いますが、必ずしもそんなことはなく、前述のように自分のデバイスの充電に関する規格を理解して、USB充電器を購入する必要があることがわかります。
例えば、人気のある充電機器を提供しているAnkerは以下のような製品を発売しています。Anker PowerPort Speed+ Duoの仕様は以下のようになっています。
出力:USB-C出力:5V – 3A / 9V – 3A / 15V – 2A / 20V – 1.5A
出力:USB-A出力:5V – 最大2.4A
USB Type-Cの出力はUSB Power Deliveryの仕様どおりになっています。ですが、USB Type-Aの出力は5Vで最大2.4Aです。これでは最大で12Wとなりますので、USB-Type-Aで充電しようとすると、必ずしも最高の充電性能を得るということにはなりません。
仮にiPhoneをUSB Type-Cで充電し、9V 2Aの18Wで充電するとして、iPad Airも充電しようとするとUSB Type-A出力を利用すると最大で12Wしか充電しないことになるので、若干充電時間が長くなる可能性があります。もちろんどちらもUSB Type-Cで充電すれば最高の性能で充電することができますが、USB Type-Cのポートは一つしかないので、それでは2台同時に高速充電することはできないということになりますね。
ところがAnkerは、Anker PowerPort ll PD – 1 PD and 1 PowerIQ 2.0という別の製品も発売しています。こちらの仕様は以下のようになっています。
出力 USB-Cポート:5V=3A、9V=3A、15V=2A、20V=1.5A
出力 USB-Aポート:5V=3A、9V=2A、12V=1.5A
これをみるとわかりますが、USB Type-Aでも9V 2Aや、12V 1.5Aの充電に対応していることがわかります。ということは、このUSB充電器の場合、USB Type-Aのポートを利用しても、9V 2A 18Wの充電ができるということがわかります。
こういうUSB充電器を利用するとUSB Type-Aでも9V 2Aの18Wでの充電ができますので、利便性が高まります。例えば、15V 3Aが必要なSwitchの充電や、iPad Proなどの充電はUSB Type-Aでは難しいかもしれませんが、既存の最新型のiPhoneの9V 2AについてはUSB Type-Aで可能です。なので、9V 2Aまでの充電はUSB Type-Aで対応し、それよりワット数が必要なSwitchや、iPad ProなどはUSB Type-Cを利用するという選択肢がでてくると思います。
■ AnkerのPower IQとは何か?
USB Type-Aでの充電は基本的には5Vがベースとなっています。そして出力は安全を考えて3Aが最高ということが基準となっているようです。3A以上の充電をする場合には、5Aに対応した専用の充電ケーブルが必要ということが、これまでの調査がわかりました。
そうすると最高の高速充電は5V 3Aの15Wの充電ということになり、そこで頭打ちということになってしまいます。なので、どうやらクアルコムなどは電圧を上げて対応することを考えたようだというところまでが、これまでの高速充電に関する調査でわかったところです。
では、USBの給電は基本的に5Vがベースなのに、なぜ12Vというように電圧をあげて充電することができるのでしょうか?それはすでに前述したようにクアルコムなどが、独自の充電規格を決めて、USB Type-Aでも電圧を高めることで、より高速に充電できるという仕組みを作ったことから始まっていると思われます。そして、様々な企業が独自の高速充電技術を開発し、混乱しそうなのでUSB Power Deliveryのような共通規格ができたのだと思われますね。
有名なUSB充電機器メーカであるAnkerもPower IQという独自の充電規格の製品を販売しています。これは、どのような規格なのでしょうか?
調べてみるとPower IQはAnkerのオリジナルの充電規格ではなく、この世の中に様々ある充電規格に対応するデバイスを自動的に判断し、最も最適な充電方法(電圧と電流)を認識して、その電圧と電流で充電するというような仕組みのようです。
なのでこのPower IQという規格を採用しているAnker製品は様々な充電機器に対応できる可能性があるので、それだけ利便性が高いと考えられますね。そして、これは、もちろんAnkerだけでなく、同様の機能を持っている製品が他社にもありますので、それらを利用することは有用だと思われます。
■ Anker製品のUSB Power DeliveryとPower IQの対応の有無
同じAnker製品でも、Type-CのUSB充電器でUSB Power Deliveryのみに対応した製品と、Power IQに対応している製品と2種類あることに気がついた人はいるでしょうか?
このあたりは調べてみないとわからないのですが、Power IQに対応しているType-Cの充電器は、USB Power Deliveryに対応していない製品でも、例えばクアルコムなどの高速充電技術に対応している製品を接続した場合、高速充電で充電されるようです。Type-C(オス)-Type-A(メス)の変換アダプタにも高速充電が可能という製品があるので、そのような製品を利用してType-A(オス)-Lightning、Micro USBなどのケーブルを接続して充電すれば高速充電される可能性が高いと思われます。
一方、USB Power Deliveryのみに対応した製品は、恐らくUSB Power Deliveryに非対応の製品を接続した場合には、5V以上の電圧で充電してくれない可能性が高く、本当の高速充電は難しい可能性があります。たぶん5V 2.4Aの12W充電になってしまう可能性が高いと思います。なので、AnkerのPower IQはAkner独自の高速充電技術ではなく、他の端末が実装している高速充電技術を判別して、適切な電圧と電流で充電する機能ということを覚えておき、積極的にPower IQなどの独自技術に対応した製品を購入したほうが無難だと思います。
なので、Type-AポートもType-Cポートも両方、何かしらのPower IQに対応した製品が無難です。これだと、USB Type-Cを変換アダプタを通じてUSB Type-Aに変換しても9Vや12Vでの高速充電が可能になる可能性が高まりますし、USB Type-Aの充電ポートがあるUSB充電器でも高速充電してくれるので、iPhoneをType-Aポートで高速充電し、iPadなどをType-Cで高速充電するといったことも可能になります。
■ まとめ
USB充電器をUSB Type-C端子のものに統一しようと考えただけで、こんなにたくさんのことを考えなければならないということがわかりました。そして、ある程度、方針みたいなものも見えてきました。
そのあたりをちょっとまとめてみたいと思います。
● デバイスの充電規格を調べることが大事
まず最も重要なのは、デバイスの充電規格を調べることです。多くのiPhoneのように9V 2Aで18Wが最高の高速充電ということもあれば、iPad Pro 11インチのように15Vを利用する製品もあります。またSwitchでの充電も12V 3Aまでの製品が必要になります。
なので、どのデバイスを高速充電したい場合には、どのような充電規格を利用しているかを調べ、購入するUSB充電器にどのような電圧と電流の組み合わせで充電できる機能があるのか、合致するものを選択するのが重要です。
● ケーブルや変換アダプタについてはさほど気にしなくてもいい
これまで調べたところでは、基本的には3A以下の充電にしか対応しないデバイスであれば、3A対応のケーブルや変換アダプタで対応できるので、わざわざ新しいケーブルを購入する必要がないようです。そして、3A以下は、基本的にどのケーブルや変換ケーブルを利用できるので、既存のケーブルを利用して高速充電ができるということがわかります。
ただしiPhoneやiPadのLightningケーブルの場合はMFI認証に適合した製品でないと将来的に問題が発生する場合があるので、どのような製品でもいいということはいえません。
というか、15V以下の充電電圧しか利用できないデバイスの場合、最高の電流は3Aですので、ケーブルも3Aまでのもので十分ということになるので、ほぼ既存のケーブルが利用できてしまうということになると思います。ですが、100均の安いケーブルだといろいろ問題となる可能性があるので、ケーブルについては有名メーカの良い製品を購入しておいたほうが安心だと思いますね。
そしてさらに20V 5Aといったような100Wを供給する製品が欲しい場合には、5Aに対応したケーブルを用意する必要があります。概ね45W対応などと記述されている製品は、15V 3Aまでの対応の製品ですので、100Wが欲しい場合にはそれ用のケーブルを用意してあげる必要がありますね。
● 購入する充電器の仕様も調べる
まずUSB Type-Cの充電ポートについては、最低でも30Wの充電能力があることが望ましいと思います。充電能力としては、 5V 〜 2.4 A / 9V 〜 3A / 15V 〜 2A / 20V 〜 1.5Aまで対応していれば、ほとんど十分だと思われますね。ただ、それ以上の充電能力が必要な場合には、15V 3Aや20V 5Aといった充電器が必要になる場合があるので、その場合は自分のデバイスの充電仕様に合致するものを選ぶといいです。
さらにUSB Type-Cの充電ポートについては、USB Type-Aに変換して充電する機器がある場合には、AnkerのPower IQなどの独自充電技術に対応している機器が望ましいと思います。そうすると、Type-C(オス)-Type-A(メス)の変換アダプタを利用しても高速充電が可能になります。
USB Type-Aの充電ポートがあるUSB充電器についても、同様にAnkerのPower IQのような独自の充電技術に対応している製品が望ましいと思います。USB Type-Aでは基本的に5V 2.4Aの12Wまでですが、Power IQなどが対応している技術には9V 3Aで27Wという充電が可能なものもあるので、それだけ充電能力が高まります。
● 独自技術のSwitch目的の場合は対応製品の確認を
Switchの場合は複雑で、ドックに差し込んだ状態でHDMI出力で利用している場合と、コントローラーを本体に接続して利用している場合、そしてコントローラーを充電グリップに接続している場合という3種類があります。ドックに差し込んでいる場合と本体への充電は12Vが必須になるようですし、いろいろ制限があるようですので、購入するUSB充電器の対応機器としてSwitchの記述があるものが望ましいと思います。コントローラーの充電は5Vにも対応しているようですが、5V 1.5A以上に対応しているUSB充電器が望ましいと思います。
■ 最後に
こうみてみると思ったよりUSB Type-Cの充電界隈については複雑なことがわかります。自分のデバイスがどの充電形式に対応しているかを調べて、できるだけワット数の多い充電に対応している充電器を購入することが重要と言えそうです。
また、今回の記事については、ネット上でいろいろ調べたもので間違いがあったり、不完全な情報だったりする可能性もありますので、そのあたりをご理解いただけると助かります。もし商品を購入する場合にはしっかりとご自分で調べた上で購入してください。
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コメント
コメント一覧 (2件)
>ちなみに家庭用のコンセントの電源タップは1500Wまでとなっています。日本国内のコンセントの電圧は100Vですので、電流としては1.5Aしか流れていないということになります。
15Aでは???
ご指摘ありがとうございます。
完全に計算を間違っていました。その部分の内容については削除させていただきました。
ご指摘いただきありがとうございます。今後とも当サイトをよろしくお願い申し上げます。