キヤノン 超大口径レンズの特許
概要
【出願人】
キヤノン株式会社
【課題】
Fナンバーが小さいながらも良好な結像性能を有する結像光学系を提供する。
【背景技術】
大口径の(すなわちFナンバーが小さい)結像光学系では収差が大きくなり易い。特許文献1には、大口径の結像光学系が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
Fナンバーが小さい(明るい)ながらも、良好な結像性能を有する結像光学系が求められている。
主な実施例
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 12.43 |
| Fナンバー | 1.41 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 14.50 |
| Fナンバー | 1.21 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 21.61 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 28.00 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 35.00 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 40.00 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 50.00 |
| Fナンバー | 1.01 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 51.00 |
| Fナンバー | 0.95 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.80 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 65.00 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 18.00 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 85.00 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 18.12 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 100.00 |
| Fナンバー | 1.00 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 20.94 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 150.00 |
| Fナンバー | 1.40 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 25.64 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 200.00 |
| Fナンバー | 1.20 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 29.47 |
| 項目 | 値 |
|---|
| 焦点距離 | 50.00 |
| Fナンバー | 0.55 |
| 像高 | 21.64 |
| BF | 0.11 |
| 項目 | 広角 | 中間 | 望遠 |
|---|
| 焦点距離 | 20.50 | 32.00 | 39.50 |
| Fナンバー | 1.40 | 1.40 | 1.40 |
| 像高 | 21.30 | 21.30 | 21.30 |
| BF | 0.40 | 0.40 | 0.40 |
| 項目 | 広角 | 中間 | 望遠 |
|---|
| 焦点距離 | 35.70 | 49.38 | 68.00 |
| Fナンバー | 1.40 | 1.40 | 1.40 |
| 像高 | 19.42 | 21.63 | 21.64 |
| BF | 0.40 | 0.40 | 0.40 |
反射×屈折のハイブリッド技術
キヤノンが新たなデジタルカメラ用の大口径レンズの特許を出願していることが明らかになりました。非常に多くの実施例が記載されており、非常に実験色の強い内容となっています。実施例は上記の引用から確認してもらうとして、それぞれどれも像高からフルサイズデジカメ用のレンズで、単焦点だけでなくズームレンズも研究されていることがわかります。
興味深いのは35-70mm f/1.4というレンズや、200mm f/1.2、50mm f/0.5というレンズあたりではないでしょうか?それでは、どうして、このようなレンズが実現できるのか、特許の内容を詳しく見ていきましょう(当サイトの解釈です)。
今回の特許を見ていくと、ミラーレス時代に求められる「明るい単焦点レンズ」を見直した光学系が示されていることがわかります。F1.0のような極端に大口径のレンズでは、どうしてもサジタルコマ収差や軸上色収差が増えやすく、従来の屈折系だけでは補正の限界が見えていました。特に、正レンズと負レンズの屈折率・分散の組み合わせには物理的な制約があり、ガラス材料の選択だけで収差を抑え込むのは難しくなってきています。
そこでこの特許では、屈折系の弱点を補うために偏光透過反射面(透過反射素子)と凹面鏡を組み合わせた“反射×屈折ハイブリッド構成”を採用しています。反射面は色収差を生じないため、屈折系だけでは補正しきれない色収差を大幅に抑えることができるとされています。また、凹面鏡は負のペッツバール和を持つため、正レンズで生じる像面湾曲を相殺する効果があり、結果として大口径でも像面を平坦に保ちやすくなります。
正レンズには低屈折・低分散の材料を使うことで、色収差を抑えながら柔らかいパワー配置が可能になります。一方、負レンズには高屈折・高分散の材料を使うことで、正レンズで生じる軸上色収差を強力に打ち消すことができます。従来の屈折系では、屈折率と分散が正の相関を持つため、この組み合わせは実現しにくかったのですが、反射面を併用することでペッツバール和の補正が容易になり、材料選択の幅が広がっています。
この材料選択の自由度こそが、F1.0級の大口径でも収差を抑え込める理由のひとつです。
特許の中心的な構成要素が、第1透過反射面と第2透過反射面です。これらは偏光ビームスプリッタのような偏光選択性を持つ素子で、光を一部透過し、一部反射することで光路を折り曲げます。以下のレンズ構成図を見ると透過反射面(ハーフミラー)が2枚あり、その間を光路が反射してイメージセンサーに投影されていることがわかります。これにより焦点距離を稼ぐことができ、レンズの小型化を実現できているようです。
ハーフミラーを利用して反射する
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このように光路を折り曲げることで、鏡筒の全長を短くしながら、実質的な光路長を確保することができます。これは、F1.0のような大口径レンズで問題になりやすい「鏡筒の巨大化」を避けるために非常に有効です。また、反射面を使うことで色収差を抑えられるため、屈折系だけでは難しい高性能化が可能になります。
このハーフミラーのようなものを利用すると永遠にレンズ内で反射をし続けるのではないかと思いますが、実際にはレンズ内で光が偏光状態になり、特定の偏光状態の光だけ通過させ、それ以外を反射するといったような仕組みになっているとみられ、一度だけ反射され、一度反射された光はレンズを透過してセンサー側に取り込まれるという仕組みとなっているようです。
今回の特許が示している光学系は、従来の屈折系だけでは難しかった大口径レンズの収差補正を、反射面と偏光素子を組み合わせることで解決するという、非常に革新的な構成になっていることがわかりますね。このハーフミラーを使うレンズが画質にどのような影響を与えるのかは特許からはわかりませんが、実用化すれば小型な超大口径レンズが実現するかもしれません。
さらにEOS R8 Mark IIの噂について「EOS R8 Mark II 画素数が判明か 9月中旬にも発表との噂」で詳しくお伝えします。
–J-PlatPat
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