ニコンがビデオ圧縮特許侵害で訴えられる
Red Digital Camera LLCは、また別のメーカーを訴え、侵害の疑いがあるとして損害賠償とロイヤリティを要求しています。これまでにもKinefinity、Sony、Nokiaに対して同様の訴訟を起こしており、今回も圧縮内部RAW記録の機能を主張している。
今回は、ニコンが、ニコンZ9(新しいタブで開く)の最新のファームウェア2.0アップデートで実装されたintoPIXのTicoRAWフォーマットを使用して、データ圧縮技術を違法にコピーしたとしてレッドに訴えられている、ホットシート内の1つです。
この訴訟は2022年5月25日に提起され、レッド社は損害賠償またはロイヤルティとニコンの侵害行為の差し止めを求めています。ニコンが最近発売した新型フラッグシップカメラの機能により、同社の動画圧縮特許(新しいタブで開く)を侵害したと主張しています。
(機械翻訳したものです)
DigitalCameraWorld
ニコンがNikon Z 9で採用しているビデオ圧縮技術に対して、Red Digital Camera社が特許侵害の疑いがあるとして、ニコンを訴えていたことが明らかになりました。
この記事は以前にも報告されていたのですが、あまり概要がわからなかったので当サイトでは記事にしていませんでしたが、その後、いろいろわかってきたので取り上げてみたいと思います。
さて、今回はNikon Z 9のファームウェアがバージョン2.0にアップデートされ、それにともない8k 60p録画が可能になったことが発端となっているようです。上記の記事によれば、ニコンはZ 9でintoPIX社のTicoRAWという形式のRAWを使用しているのですが、それがビデオ圧縮技術の特許侵害だとして訴えられているとしています。
まずはNikon Z 9の動画コーデックの話です。Nikon Z 9の仕様によればNikon Z 9のRAWの映像圧縮方式には2種類あります。一つがアップルのPreRes RAW HQ(12bit)で、もう一つがN-RAW(12bit)です。
そして、これとは少し別の話になりますが、intoPIX社が2021年12月7日にNikon Z 9にTicoRAW技術が搭載されるということを発表しています。
intoPIXのTicoRAW技術が、ミラーレス一眼カメラのフラッグシップモデル「Nikon Z 9」の高効率RAW録画機能に追加
スマートな戦略的行動により、カメラのプロは、ストレージを大幅に削減しながら、スチル&ムービーのRAW フォーマットでより高い解像度の恩恵を受けることができます。
Mont-Saint-Guibert, ベルギー, 2021年12月7日- intoPIXは、TicoRAW技術が株式会社ニコンの最新フラッグシップミラーレスカメラ「Z 9」を含む新世代のカメラに搭載されたことを発表しました。
intoPIXのTicoRAW技術を選択するという大胆な戦略をとった株式会社ニコン:既存のカメラの限界を超えて、ライブスポーツ、映画、野生動物のドキュメンタリー、その他の困難な環境に関わらず、映像のプロの高度な要求と今後の要求をすべて満たします。これにより、新しいZ 9カメラは、高効率のRAW 、最大8K、60fpsの記録が可能になります。 (2022年のファームウェアアップデートで利用可能) RAW フォーマットのすべての利点を維持しながら、非常に低い電力処理と非常に速い伝送速度を実現しています。
intoPIX Webサイト
恐らくNikon Z 9のN-RAWは、このTicoRAWである可能性が高いと思われます。ここでよくわからないのは、もしTicoRAWがintoPIXによって開発されたもので、その技術の使用ライセンスをニコンに与えたということであれば開発の主体はintoPIX社なので、本来RED社が訴えるにはintoPIX社になるはずです。
もしintoPIXとニコンが共同で新しい圧縮技術を開発し、それをニコンが実際に製品化したことで特許の侵害となった可能性もありますが、両社の関係性や開発の経緯などがわからないので、なんとも言えません。なので一部では、実際にこの圧縮技術が製品に搭載されるまで待って、タイミング良く訴えたのではないかと考えている人もいるとしています(お金のため?)。
ややこしい特許の話
別の記事では、これは圧縮技術そのものよりも、センサーから読み出した生データを加工する際の処理に関するものだという記事もあります。
REDCODEは、同社のコーデックとして知られているように、Graeme Nattressによって開発され、ウェーブレット圧縮を使用して、画像への影響を最小限に抑えながら高性能を実現しています。ウェーブレット圧縮は、当時でも新しいものではありませんでした。しかし、REDの特許は、実際には従来の意味でのビデオ信号の圧縮に関するものではなく、信号の再構築とNLE内へのデベイヤリング(デモザイク)を可能にする前に、生のRGBセンサーデータを正確にキャプチャして圧縮することを目的としています。言い換えれば、REDCODEはカメラ内部でのデベイヤリングを行いません。REDは、選択した圧縮率に応じて、REDCODEは「視覚的に無損失」または「数学的に無損失」のいずれかになり得ると述べています。
(機械翻訳したものです)
RedSharkNews
この記事をよると、どうやら通常の動画圧縮コーデックの場合、ベイヤー配列で得られたデータを、いったん人間が普通に閲覧できる状態に戻したあと(デモザイク)、それから圧縮して動画として保存しているようです。ところが、RED社の圧縮方法は、デモザイクしない生のRAWデータをそのまま圧縮するという方法になっているようです。
イメージセンサーのカラーフィルターパターン
Wikipedia
恐らくTicoRAWでは、それと同様にいったん画像を生成することなく、直接、圧縮RAWを生成しているところが特許侵害になっている可能性があるというように読むことができます。
そして、RED社はニコンに対して損害賠償、またはロイヤルティの支払いを求めているそうで、ニコンとしては新ファームでこの機能を削除するという選択肢もあるとされています。
ファイリングは、申し立てられた侵害およびニコンがさらなる侵害を禁じる差し止め命令に対する損害賠償および/またはロイヤルティを求めています。原告はまた、弁護士費用の裁定を求めています。ニコンは、費用のかかる法廷闘争でそれを戦うか、Z92.0ファームウェアアップデートから新機能を削除することができます。1つの問題は、更新が2022年4月20日から利用可能であり、削除プロセスが事実上不可能であるということです。
NewsShooter
まだ情報が限定的でどのような特許の侵害があったのか、どの部分の機能のことなのかということがよくわかっていません。そして本当に侵害しているのかどうかも不明です。ですが、せっかく人気のあるZ 9が水を差された状態になってしまったのは残念ですね。ともかく莫大な損害賠償とか、巨額なロイヤリティなどにならないように願いたいと思います。
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コメント
コメント一覧 (3件)
この企業、2013年にもSONYに対して訴訟起こしていますね。訴訟ビジネスの一環とも言えるかもしれません。
調べた感じ、REDの圧縮RAW(REDCODE RAW)関連ではソニーとの訴訟(2013年)にも勝利しているようです。ProRes RAWはREDCODE RAWに似た技術のため、REDにライセンス料を支払う必要がある(Appleが異議申し立てをしたが、却下)とか。Blackmagic RAWはこれを回避すべく独自開発されたようですね。
ニコンが訴えられたのは、intoPIX自体はTicoRAWを搭載した製品を持っていない=それだけではREDに損害が出たとは言いづらい、というのがあるかもしれません。Z9に搭載されたことで、「特許侵害の製品でうちの製品が売れなくなって損害が出た」と言えるようになりますからね。
また、いわゆるパテント・トロールと違い、REDはREDCODE RAWを搭載したシネマカメラを作り続けていますから、単純な訴訟ビジネスと捉えるのは違うかなと思います。
特許の有効性はソニーとの訴訟で認められていることもあり、勝算があっての提訴の可能性は高く、結構危ういかもしれませんね……穏便に着地してくれればいいのですが。
カメラ関係の特許侵害の話はミノルタとハネウェルで争ったオートフォーカスの
話を思い出しますね。
動画は詳しくないので分かりませんがパナソニックやキヤノンは問題ないのでしょうか。