Nikon Z 6IIIは発表されるのかしないのか
海外のサイトでNikon Z 6IIIの発表について、激しいやりとりが交わされています。どのようなやりとりがされているのでしょうか?
まずはPetaPixelというサイトのNikon Z 6IIIに関する情報です。
ニコンがZ 6IIIの開発を進めているかどうかは不明だ。しかし、それは理にかなっている。現在、ニコンはスペインのランサローテ島でインフルエンサーにそれを披露しているのでしょうか?それは絶対にない。噂のサイトのNikonRumorsはニコンがスペインで何かを行っていると報じているが、我々は断言できる。それはZ 6IIIや他の新製品とは何の関係もない。
(中略)
ニコンは今月、何らかのイベントを主催しており、写真メディアのメンバーが旅行しているが、これら二つのことは関連していない。そして、それは関係していないため、製品の発売や発表はすぐにはないだろう。
Nikon Z 6IIIは理にかなっているし、Nikon Z fにはニコンがZ 6IIの後継機種に搭載できる魅力的な新機能が多くある。
そしてもちろん、大規模なカメラの展示会(CP+)が横浜で間もなく開催される。2月22日に開幕するCP+では、いくつかの重要なカメラとレンズの発表の場となる予定だ。
しかし、残念ながら写真家は仮想のNikon Z 6IIIをもう少し待つ必要がある。なぜなら、それは絶対にランサローテでは披露されていないからだ。
次に、上記の記事にでているニコンの新製品に関する噂を提供しているNikonRumorsというサイトの反論です。
ランサローテ島でニコンのイベントは実際に存在し、それは私が最も好きでないサイトPetaPixelを含むいくつかの情報によって確認された。彼らは最近、「噂(と冗談)にも関わらずニコンはZ 6IIIを発表しない」というタイトルの記事を公開した。もし彼らがニコンから次にどの新製品が登場するか知っているのなら、この発言をすることで彼らはNDAを破ることになる。もし彼らが次の新製品について知らないのなら、なぜこのようなナンセンスな記事を公開するのだろうか。
もしランサローテ島でイベントが実際に開催されたのであれば、私たちはみな誰もが思っていることだが、なぜ誰もそれについてSNSに投稿しないのだろうか。なんと言っても、これはインフルエンサーが行うべきことだ。彼らはオンラインで製品を宣伝する。彼らは全員がNDAに縛られていて、秘密保持期間が終わるまで旅行について話すことができないのだろうか?私にはわからない。ニコンが10万ドル以上も支払って人々を遠くの島に招待し、日本で開催される2024年CP+の1ヶ月前にただ太陽の下で楽しむだけで新しい製品を彼らに見せないと思うのだろうか?
PetaPixelが正しいと思える唯一のシナリオは、ランサローテ島でのイベントは実際には来週で、SNSで多くの投稿を見始めることだ。秘密保持契約もなく、ただインフルエンサーたちがランサローテ島でニコンの新製品なしに楽しんでいるだけということになる。3つ目の可能性は、ランサローテ島に加えてNikon Z 6IIIが公開される別のイベントがあるということだ。
ランサローテ島で何が行われているか
というわけで、両サイトが激しくやりあっているわけですが、ちょっとわかりにくい部分があるので解説します。
まずNDAというのは秘密保持契約のことです。普通にどのメーカでも何か契約するときに秘密保持契約を結んだりします。カメラメーカとメディアの関係で言えば、例えばカメラメーカが発売前に新製品をメディアに貸し出す代わりに秘密保持契約を結び、発売までは情報を公開させないという約束を結びます。この間にメディアはサンプル画像やテスト撮影を行い、それを記事として書いておき、秘密保持契約の期間の終了後=通常は新製品の発表後には、記述した記事を公開するというようなことを行います。
こうすることによって発売後に一斉に記事が公開されるのでメーカには宣伝になりますし、メディアにとっては無償で機材を貸してもらえる上に、発表までゆっくりとテスト撮影を行い記事を書くことができるというメリットになります。
これを予備知識として、文章を読んでみましょう。
まずPetaPixel(以下、P)はランサローテ島でニコンが何かしらのイベントを行っていて、Pの担当者も参加していることを認めています。そしてPは、そのイベントがNikon Z 6IIIに関するものではないと述べています。
そこでNikonRumors(以下、N)は二つの点を指摘しています。もし秘密保持契約(以下、NDA)を結んでいないただのイベントなら、なぜインフルエンサーたちが何もSNSで情報を発信しないのか?そして、もしNDAを結んでいて公開できないのであれば、Nikon Z 6IIIに関するイベントは開催されていないと公表することもNDAに違反するのではないか?と矛盾を指摘しています。
イベントでNDAを結んでいる場合、そこで何かが行われているかを公開することはできません。なので、もし仮にランサローテ島でのイベントにNDAがからんでいるのであれば、そこで何が行われているかに加えて、何が行われていないのかも発表することは禁止されているはずだというのが、Nの主張です。
そこでNはサンタローテ島のイベントに関する3つのシナリオを提示しています。それぞれ見てみましょう。
- 実際にランサローテ島でZ 6IIIがお披露目されている
- ランサローテ島のイベントはまだ開催されていない(従ってSNSへの投稿もない)
- ランサローテ島とは別の場所でZ 6IIIがお披露目される(されている可能性)
ということになるわけですが、それぞれ判断するのは結構難しいですね。
Nが言うようにNDAがなく、イベントが開催されているのならSNSでインフルエンサーの投稿があってもおかしくありません。なのでNの言っていることは正しいように見えます。一方で、Pは何の根拠もなくNikon Z 6IIIと関連するイベントではないと主張するものでしょうか?そこには何らかの根拠があるはずで、もしPの関係者がランサローテ島に行っているのであれば、実際にZ 6IIIが発表されていないことを知っている可能性が高いです(思わずZ 6IIIの発表はなかったと、うっかり発言の可能性)。
そしてNがシナリオ2で主張している可能性は確かに矛盾がありません。まだランサローテ島でニコン主催のイベントが開催されていないので、インフルエンサーも投稿することがなく、何もSNSに情報がでていないという可能性です。これもNDAと無関係であれば、イベント開催後には多くの情報が流れることになるだろうと思います。これがNが述べているシナリオ2の主張です。
そして実際にランサローテ島に向かっているという情報を発信している人はいるようですし、Pもイベントがあることは認めています。
この情報は1月16日(火曜日)のもので、もし何かしらのお披露目があるとしたら、通常に考えればすでに開催されていてもおかしくないと思います。いま週末なので、ひょっとしたらパーティーも行われているかもしれません。もしNDAとは無関係だったら、そろそろそれらの情報がでてきてもおかしくないはずです。
個人的には、ランサローテ島での話は、恐らくNikon Z 6IIIとは関係ないイベントで、秘密保持契約が結ばれており、すでにイベントは開催されているが、まだ発表できない状況になっているのではないかなと思いますね。
その可能性についてですが、噂されているNikon Z 50IIではインパクトとして弱いと思いますので、動画関連の何かしらの新製品か、それに関係するシステム、またはオリンピックに向けてかねてから噂になっているNikon Z 9Hのお披露目ということであれば、Nikon Z 6IIIのお披露目ではなく、しかし新製品の発売に向けたイベントとして矛盾はないのかなと思いますね。しかし、それでもPが主張する何の新製品も発表しないという情報とは矛盾します。いったい、サンタローテ島では何が行われているのでしょうか?
この二つのサイトはちょっと因縁があるので、かなりバチバチのやり合いになりそうですが、ボールはPに投げられていて、今後どのような対応になるのか心配になってしまいます。そして、実際にはどの製品が発表されるというのでしょうか?
さらに「ニコンの次の新製品は?? Nikon Z 9H、28-400mm f/3.5-6.3ほか」ではNikon Z 9Hの噂について詳しくお伝えしています。
- Nikon Z 9の高速版(Nikon Z 9H?):D1H、D1Xと同様に新モデルの画素数はNikon Z 9の半分になる
- ニコンで最速のフルサイズカメラになる(グローバルシャッター?)
- カメラには低解像度モードも搭載される
- Nikon Z 8、Nikon Z 9のオートフォーカスシステム
- 低い解像度(2400~2800万画素?)
- 高速なカメラ
- カメラのデザインに関しては、Nikon Z 6、Z 8、Z 9の可能性
- Nikon Z 6IIIは2024年始めの登場を予定(第1四半期1月~3月)
- 新しい2450万画素の裏面照射型センサー
- Nikon Z 6と比較してエルゴノミクスに優れる
- 6k ProRes RAW動画のサポート
- ピクセルシフト
- バリアングル液晶
- Nikon Z 6IIより高い連写性能
- Nikon Z 8と同様のフォーカスシステム
- メカシャッター&電子シャッター
- Nikon Z 6とNikon Z 8の中間のハイブリッドボディ(現在のNikon Z 6、Z 7より大きく、Nikon Z 8より小さい)
- Nikon Z 6IIIはスモールNikon Z 8になる
- Nikon Z 8よりわずかに小さくNikon Z 6より大きなボディ
- 2024年4月に登場の可能性
- 2450万画素
- デュアルEXPEED 7プロセッサ
- ISO 100-64,000
- 9種類の被写体認識AF(Z 9と同じ)
- 310シングルポイントAF
- ボディ内手ぶれ補正
- 6k30p、4k120p、N-Log/HLG内部記録
- CFExpress Type-B/XQC+SDメモリカードスロット
- N-RAWなし
- より冷却に優れたデザイン
- ニコン 動画撮影向けパワーズーム搭載 Z 28-135mm f/4 PZを開発発表
- NIKKOR Z 50mm f/1.4という試みはかなり成功 価格は魅力的と言わざるを得ない
- ついに発表か!? Nikon Z50IIまもなく発表の噂流れる EXPEED7搭載との噂も
- ニコンのティルトシフトレンズの発売時期の考察 高画素機とともに発売!?
- Z 50mm f/1.4は開放でも非常にシャープ Fマウントの50mm f/1.4Gを圧倒している
- Nikon Imaging CloudにNikon Zf、Z8、Z9も対応か?? 一時対応カメラ画像が公開
- JAXA ロケットの軽量化技術の「宇宙戦略基金」でニコンなどを採択
- ニコンの新製品発表が近づいている可能性が?? 新しいカメラをWebサイトに登録か
- Nikon Z50IIとZ5IIは2025年1月末までに発売!? 発表のタイミングを予想する
- ニコン Z6III、Zf、Z8、レンズ22本などで最大7万円キャッシュバック実施へ
(記事元)https://petapixel.com/2024/01/18/despite-the-rumors-and-jokes-nikon-is-not-announcing-the-z6-iii/
(記事元)https://nikonrumors.com/2024/01/20/about-that-nikon-event-in-lanzarote.aspx/
コメント
コメント一覧 (5件)
スペインはフランスの隣。パリオリンピックに向けて、Z 9Hのお披露目ではないでしょうか。
ニコンはプロカメラマンを抱えていますので、α9ⅢやEOS R1の対抗機種を出さない訳にも行かないでしょう。
Z 9Hのセンサーを流用して、EOS R6Ⅱの競合機に仕立てたのがZ 6Ⅱと予想しています。
ニコン最速FXモデルだったりデュアルEXPEED7だったり、情報が錯綜してますねぇ…。
2機種の話もどうやらハズレのようで、残念です。
こういう時期が一番楽しいのは事実ですが、そろそろはっきりとした情報が欲しいのもまた事実。
Z35mm f/1.2Sも含めてCP+ではっきりすることを期待したいですね。
Zfがうまく供給できない現状で同じ価格帯あるいは少し上のZ6Ⅲが登場するのは如何なものでしょうか。
Zfの供給が目下六か月とされていますが、なんとか入学式の時期までには解消して欲しいですね。
そうすると次の新機種はパリオリンピックに向けたFXとDXと期待されます。
Z9の高速連射タイプとD500の系譜を持つZ500などが最適です。
Pの関係者(Chris)はランサローテに行かず、サムスンのイベントのためにサンノゼに行った、と原文にはあるように読めます。
Chrisの投稿とニコンのイベントは実は何も関係無い、だからZ6IIiの発表ではない……という感じでしょうか。根拠にしては薄弱に見えますが、自分たちは噂サイトではなくメディアだから新製品発表には招待されて然るべき、ということですかね?
一方でNのNDA関連の話も現状根拠は薄いです。当該製品について話してはいけない→当該製品ではない物については話しても良い、という内容かもしれないので。製品サイクル的にはZ50IIの可能性もありますし。
まぁZ50IIに(Z8に似た)大規模プロモをするのかどうかもまた疑問ですが……
にしても、PとNって仲悪いんですね。
DPReview(D)閉鎖騒動時に何人かPに移籍してましたが、それ関係だったり? それこそ件のChrisも移籍組だったような。
CanonRumorsの中の人と住人がDを嫌ってるのは知っており、Dが嫌われ者説……?
Chris云々は、Chrisの投稿に”Z6Ⅲ?”とか”ランサローテ?”とかのコメントがたくさん飛んでいたこと、また、最初にN側がChrisの”アルバータより暖かいところに行く”と言ったインスタ投稿を引用して、インフルエンサーがランサローテに飛んだと記事にしたこと、の2つの理由で実際にはサンノゼに行っていたんだよと述べているのであって、Z6Ⅲのイベントでは無いことの根拠としてあげているわけでは無いのだと思います。
ただ、静観していれば良いのに、わざわざZ6Ⅲはないと言ってくるということは、やはり何らかの事情を知っているのだと思います。
CP+で全く新機種がないとは思わないですが、Z6ⅢがZ9Hの代替とは思えないので(高速連写機が欲しいプロはZ6Ⅲにバッテリーグリップつけてねは違うと思う)、実際にはZ9Hが発表、Z6Ⅲは開発発表だけとかの可能性もあるのかな?