RF45mm F1.2 STM レビュー
解像性
- f/1.2 中央の画質はまあまあだが、特筆すべきほどではない。周辺部は平凡、四隅は厳しい描写
- f/1.6 多少改善されるがf/2まで四隅の解像感はない
- f/2.8 一変して中央から周辺の広い範囲でシャープ。四隅もようやくボケから抜け出し良好な画質に
- f/4.0 これ以降は文句のない描写で回折の影響がでるまでシャープ
結論
最近のレンズは、レビューする側から見ると正直ちょっと退屈だ。 もちろん多少の違いはあるが、大半の主流レンズは少なくとも「そこそこ良い」レベルには達している。 だからこそ、RF45mm F1.2 STMは、ある意味で新鮮だった——ただし、良い意味ではない。
このレンズでキヤノンが何を伝えたかったのか、正直よくわからない。 確かにf/1.2というスペックは紙の上では魅力的で、浅い被写界深度の撮影が可能になる。 でも、f/1.2であることが、このレンズのほぼ唯一の輝かしいポイントだ。 それで満足できる人もいるだろうし、それはそれで構わない。
性能面では、まるで1960〜70年代のレンズのよう。 f/1.2では中央の画質は現代基準で「まあまあ」だが、周辺は完全に崩壊している。 絞るほどに改善され、f/2.8以降では画面の広い範囲が良好になる。 それ以上では「非常に良い」と言える画質になるが、45〜50mmのレンズとしては特に驚くべきことではない。
波打つような像面湾曲も、キヤノンの通常の高い基準からすると物足りない。 倍率色収差(横収差)は許容範囲だが、軸上色収差は開放付近でかなり目立つ。 まあ、サイケデリックな色が好きな人もいるかもしれない。 好ましくないのは、絞るほどに顕著になるフォーカスシフト。 強めの周辺減光と樽型歪曲もあるが、これは自動補正である程度カバーされる。 ボケ味もシーンによって良し悪しが分かれる。
ビルドクオリティは、コンシューマー向け単焦点としては標準的だ。 エンジニアリングプラスチック製で、やや中空感はあるが、そこまで悪くはない。 AF速度もキヤノンらしくまずまず。 ただし、STM駆動とやや古めのフォーカスシステムのため、動体撮影には不向きだ。
総じて言えば、キヤノンがこのレンズを出した勇気は評価すべきだろう。 彼ら自身が公開しているMTFチャートも、控えめに言って「低め」。 真面目なレビューサイトからどんな評価が来るか、キヤノンも分かっていたはずだ。 もしかすると、YouTubeで何でも絶賛する系のインフルエンサーたちに期待しているのかもしれない。 今の時代、それもあながち間違った戦略ではないのかもしれない。
- 良い点
- 中間絞りで非常にシャープ
- f/1.2を手頃な価格で体験できる
- 悪い点
- f/1.2〜f/2では周辺がボケボケ
- f/1.2で軸上色収差が非常に目立つ
- フォーカスシフトが大きい
- 像面湾曲が波打つ
- シーンによっては周辺のボケがひどい
- 価格に対して割高感がある
解像性は解放では厳しい
RF45mm F1.2 STMのレビューをOpticalLimitsが公開しています。上記はまとめ部分を引用したものになり、より詳細なレビューや作例がありますので、全文は本記事下部の記事元リンクからご覧ください。
レビューによるとRF45mm F1.2 STMは、非常に個性的な立ち位置にあるレンズだと評されています。
まず最大の特徴は、やはり f/1.2 という非常に明るい開放F値です。フルサイズ用の単焦点としては大口径で、背景を大きくぼかした写真表現が可能とされています。被写界深度が浅く、被写体を浮き立たせるような描写は、このレンズならではの魅力だと伝えられています。
一方で、開放付近の描写性能については賛否が分かれる内容となっています。レビューでは、f/1.2 では周辺部の解像力がかなり低く、画面全体の均一性という点では弱さが見られるとされています。また、軸上色収差が目立ちやすく、コントラストの強い部分では色にじみが発生しやすいとの指摘もあります。さらに、絞りによってピント位置が変化するフォーカスシフトも確認されており、厳密なピント精度を求める撮影では注意が必要だと述べられています。
ただし、こうした光学的な「欠点」とされる要素について、別の見方もできそうです。このレンズは、最新の高性能レンズに見られるような完全補正を目指した設計ではなく、あえて収差をある程度残すことで、独特の描写を生み出しているとも受け取れます。開放で撮影した際のやわらかさや、周辺に向かって溶けていくような描写、色収差を伴ったにじみは、数値的な解像力とは別の「写真らしい味わい」を演出しているとも考えられます。
実際、レビューでも、絞りを f/2.8 以上に絞ると中心部の解像力は良好になり、日常的な撮影では十分な画質が得られるとされています。そのため、このレンズは常に最高のシャープネスを求める用途よりも、開放付近の描写を楽しむことに価値を見いだせるユーザー向けだと感じられます。
また、STM駆動によるオートフォーカスは実用的なレベルで、サイズや重量も大口径レンズとしては比較的コンパクトと評価されています。高価で巨大なLレンズとは異なり、持ち歩いて日常的に使える f/1.2 レンズという点も特徴のひとつだと言えるのではないかと思いますね。
RF45mm F1.2 STMは、スペック上の明るさと引き換えに、現代的な完璧さよりも描写の個性を優先したレンズだと伝えられています。収差を抑え込んだ「正確な写り」を求める人には向かない一方で、開放のクセや甘さを表現として楽しみたい人にとっては、他にはない味わいを持つ一本になり得る、そんな評価のレンズだと言えそうです。
さらにキヤノンの新特許を「キヤノン 70-200mm f/2.8-4、70-200mm f/3.6 の特許を出願」で詳しくお伝えします。




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