富士フイルムは意図的にカメラの生産台数を少なくしている?
富士フイルムがわざと生産台数を少なくしカメラの価格を高止まりさせるような戦略をとっているのではないかそう考えているひとがいるようです。しかし、それは早計かもしれません。
(前略)
そこにはかなりの情報があり、一部の人々は、製品の不足がマーケティングの戦略を反映していると誤って結論付けているかもしれない。
最近のX100VIの例にとると、数ヶ月前に発売されて以来、定価で購入することが難しい状況が続いている。3月には既存の注文を満たすために「数ヶ月」かかると富士フイルムは述べており、まだ解決の兆しは見えない。このカメラはアメリカや他の地域の小売店で予約製品となっており、B&Hでは製品ページでの注文すらできないという珍しい状況になっている。
X100VIの供給不足は、生産の課題によるものと同じくらい意図的なものとも言える。過剰な供給は財務の観点から見れば悪いことだが、既存の需要を見たいことができないことも同様に悪いことだ。理想的な世界では、富士フイルムは市場が求めるだけの数のカメラを正確に生産するだろう。
「X100VIが好評を得ていることにとても満足しており、すべての顧客がX100VIを注文できるように引き続き努力している。生産を加速して需要を満たすために、私たちのコミュニティのサポートと忍耐に感謝する」と富士フイルムは我々にメールで伝えている。
「十分な在庫を販売することは私たちの成功の一部であり、市場ニーズを満たすことにも合致している」と富士フイルムは声明で続けて述べている。「現時点では、これらの製品の多くの在庫がない。これらはできるだけ早く製造され、すぐに出荷されている」
同社の最も人気のあるカメラであるX100VIを含む一部の製品の需要を満たすことができないのは、努力が足りないからではない。富士フイルムは以前に我々に対して月に1万5000台を生産していることを確認しており、これはかなりの生産数だ。富士フイルムはX100VIがその前モデルよりも約2倍の人気になると考え、それに対応して計画した。しかし、需要はこの野心的な目標をさらに上回ってしまった。
富士フイルムが十分なカメラを販売するだけの在庫を持っていないことに満足しているとか、生産の不足が実際には計画的なものであるという主張は、富士フイルムによれば不正確だ。
「X100VIについては、その前モデルであるX100Vの大成功を受けて、予想される需要に対応するために生産を予測し、生産能力を大幅に増やした。しかし先進的な生産計画と生産能力を増やしても注文リストが残っている。この増えた需要に対応するために生産を増やすことは時間がかかるだろうが、すべての注文をすべての顧客に届けることに注力している。この件について私たちのコミュニティのサポートと忍耐に感謝する。」と富士フイルムは伝えている。
富士フイルムが予約や供給不足を広範なマーケティングの戦略の一環と考えているかどうかを尋ねたとき、富士フイルムは「いいえ。私たちのマーケティングの戦略は、デジタルカメラとレンズのラインナップの背景にあるイノベーションを紹介し、クリエイターに様々な選択肢を提供することで、彼らが自分の仕事に最適なツールを選択することができるようにすることだ」と述べている。
後藤氏のライカへの言及と、それが富士フイルムがミラーレスカメラを販売する方法にどのように関連するかについて、富士フイルムは「私たちの目標はユーザに長期的な価値を持つ製品を作ることだ。私たちにとって重要なのは何年も持続する製品を作ることで、それらが使用しているここの人々の生活に価値を加え続けることができる」と述べている。
目標は希少価値を通じて名声を築くことできなく、写真家が愛する製品を作ることによって築くことだ。
「富士フイルムが多くのコンテンツクリエイターに選択されるブランドになったことに私たちは本当に感謝し、光栄に感じている。私たちはコミュニティのサポートと忍耐に感謝している。私たちは生産を加速して需要を満たすために努力をしている」と富士フイルムは述べている。
人々が常に定価で富士フイルムのカメラやレンズを認定販売店から購入できないことにイライラしていることは理解できる。これは複数のメーカーで一般的になってきている本当の問題だ。しかし安心してほしい。富士フイルムは意図的に生産能力や供給を制限しているわけではない。単純に現在の需要を見たいための製品を十分に作ることができないだけだ。
先日の富士フイルムの株主総会での質疑応答に関連する話題です。上記は一部を引用したものになりますので、全文は本記事下部の記事元リンクからご覧ください。
富士フイルムの株主総会での質疑応答に関して、え、そんなこと言って良いの?と思った人は多かったかもしれません。質疑応答の内容はこのリンクのPDFからご覧になれます。
どのような発言か、以下に引用しています。これだけだと切り抜きとも言われそうなので、全文は上記のPDFへのリンクからご覧ください。
ポイントはブランド⼒をどれだけ作って、それをどう維持するかが最⼤のポイントです。ですから作りすぎちゃって、値段を下げるとか、それはかなりもったいないことというか、富⼠フイルムがずっとやろうとしてきたところはやっと今それが叶うようになってきた。
例え話で⾔えば、社内で僕が⾔っているのは、ドイツの有名なメーカーライカっていうのは、いまだに古いカメラも、今売っているカメラも、かなり⾼い価値を維持しているところが⽬標とするところです。これまでの富⼠フイルムのカメラの売り⽅を、根本的に変えていくところが、ミラーレスカメラのわれわれが⽬指すところでございます。
というわけで、この文章だけ読むと、富士フイルムは生産数を絞って希少価値を持たせて価格をつり上げたり、大量生産して価格を下げるようなことはしないというようにも受けとることも可能です。
しかし、記事では、その解釈は間違いであるとしています。わざと生産数を減らして価格をつり上げているのではなく、単純に需要に対して応じるだけの製造能力がないだけだとして、その根拠となる富士フイルムの様々な発言を取り上げています。またカメラの価値の部分については、
質疑応答の内容を素直に読めば、単純に売れないカメラを作って値下げして販売するのはもったいないので、ブランド力を高めて顧客に積極的に選択してもらえる製品を作らなければならない、そのためには良い製品を作って高い価値を持ち続ける製品を開発する必要があると言っているように思えます。悪意的に解釈すれば、少量ずつ生産して価格が落ちないようにしているとか、ライカのようにものすごい高い価格でしか販売しないようにも受け取れます。しかし実際には前者を意味しているのだろうと思いますね。
というわけで、決して、ごく少量だけしか作らず、値下がりしないようにしているわけではないと思います。
しかし一方で、富士フイルムは国内市場よりも海外市場に重きをおいていて、国内市場のことはどうでもいいと考えているのではないかと思う人もいて、そのあたりの感情を含めて複雑な問題になっているのかもしれません。
(記事元)PetaPixel
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コメント
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今は新型が出れば飛びつきその後に中古市場に流すと言ったことが
行われているのでメーカーとしても易々と生産ラインを増設は
出来ないでしょう。
要は話題作りで金銭を稼いでいる人達もいるので仕方ないですね。
迷惑な話です。
まぁ、今の在庫状況は適正だ!といったのは親会社の富士フイルムHDのCEOであり、数字はグローバル全体の在庫でもあり…在庫を絞ってるとは自分は見てませんでした。ただ、生産能力が足りてないのを適正といったのはやはり問題かと思いますが…。
富士フイルムとしても、余計な在庫を持ちたくないという気持ちがあれば、転売される以上に生産して市場を壊すよりは、転売される分も含めて適正な生産をしていきたいという趣旨だと思います。なので、このままフジのカメラはフジの生産能力からみても転売ヤーからしか買えない状況は続くと思うので、自分は普段使いカメラの候補にしてましたが諦めました。