キヤノン 望遠ズームの特許
概要
【出願人】
キヤノン株式会社
【課題】
ポジティブリード型かつフローティング方式の良好なズームレンズを提供する。
【背景技術】
ズームレンズには、最も物体側に正の屈折力のレンズ群が配置されたポジティブリード型のズームレンズがある。特許文献1、2には、ポジティブリード型であって、フォーカシングに際して2つのレンズ群を移動するようにしたフローティング方式を用いたズームレンズが開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
ポジティブリード型かつフローティング方式のズームレンズにおいて、従来より良好な光学性能を有するものが求められている。
主な実施例
| 項目 | 広角 | 中間 | 望遠 |
|---|---|---|---|
| 焦点距離 | 72.11 | 135.40 | 292.05 |
| Fナンバー | 4.49 | 5.30 | 5.88 |
| 半画角 (°) | 16.70 | 9.08 | 4.24 |
| 像高 | 21.64 | 21.64 | 21.64 |
| レンズ全長 | 189.82 | 214.13 | 238.44 |
| BF | 40.89 | 40.89 | 40.89 |
廉価な望遠ズームの高性能化が目的か
キヤノンが新たなデジタルカメラ用の望遠ズームの特許を出願していることが明らかになりました。主な実施例は上記のように、70-300mm f/4.5-6.0クラスのレンズになるとみられています。おそらく廉価な望遠ズームの特許だと思われますが、どのようなレンズなのか、特許の内容を見ていきましょう(当サイトの解釈です)。
今回の特許は、70–300mm F4.5–5.9のような、いわゆる「廉価クラスの望遠ズーム」を高性能化するための光学設計を示しているようです。実施例の数値を見ると、広角端で約190mmだったレンズ全長が望遠端では約238mmまで伸びており、鏡筒が前方へ伸びる典型的な繰り出しズームであることがわかります。鏡筒を伸ばす構造の方が光学的自由度が高く、部品点数も少なくできるため、このことも廉価な望遠レンズであることを示唆しています。
今回の特許では、ポジティブリード型の構成を採用し、最も物体側に正レンズ群を置くことで、光束を効率よく集めながらズーム比を確保しています。ポジティブリード型は望遠ズームでは一般的で、鏡筒を伸ばす構造との相性も良く、軽量化とコスト削減に向いた方式です。
One Point!:ポジティブリード型 レンズの一番前に“正レンズ”を置く望遠ズームの基本構造だよ。光を効率よく集められて、軽量化やコスト削減と相性がいいんだ。
廉価ズームの弱点は、近距離撮影での像面湾曲や色収差の変動が大きく、望遠端での近接撮影が苦手な点です。今回の特許では、この弱点を克服するためにフローティング方式を採用しています。フォーカス時に第2負レンズ群と第3負レンズ群の2つの群を像側へ移動させることで、近距離でも収差変動を抑え、望遠端での撮影倍率が0.5倍を超えるような近接撮影でも高い光学性能を維持できるようにしているようです。
One Point!:フローティング方式 フォーカス時に複数のレンズ群を同時に動かす方式だよ。近距離撮影で出やすい収差を抑えられて、望遠端でも寄って撮れるようになるんだ。
繰り出しズームでありながら、フォーカスは内部の小径レンズ群だけを動かすため、フォーカス時に鏡筒が伸びないインナーフォーカス構造になっています。これにより、AF速度が速く、動画撮影でも画角変動が少ないというメリットが得られますね。
今回の特許には光学手振れ補正に関する記述はありません。70–300mmクラスの望遠ズームは実際の製品ではほぼ必ず光学手振れ補正を搭載します。望遠端での手振れ量が大きく、ボディ内補正だけでは補正量が足りないためです。
今回の光学系は、後群に比較的小径のレンズ群が配置されているため、手振れ補正ユニットを組み込みやすい構造になっています。製品化される場合は、手振れ補正搭載モデルになる可能性が高いと考えられます。
実施例のF4.49–5.88という値は、明らかに廉価クラスの望遠ズームの明るさです。これは、前群が正レンズで構成されるポジティブリード型では、明るくすると前玉が巨大化し、重量とコストが跳ね上がるためと思われます。繰り出しズームは鏡筒が伸びる構造のため剛性確保が必要で、前玉が大きくなると構造的な負担も増えます。F4.5–5.9という明るさは、光学性能と小型化、そしてコストのバランスを取った現実的な値ということになるようですね。
今回のレンズは、70–300mm F4.5–5.9のような廉価クラスの望遠ズームを、繰り出しズーム構造で小型化しつつ、フローティング方式で近距離性能を底上げし、インナーフォーカスで動画にも強いレンズに仕上げるための設計思想を示しているようです。廉価ズームながら近接撮影や動画向けにも利用のできるレンズとなると思われますね。エントリ向け製品のキットレンズになる特許でしょうか?
さらにキヤノンの超大口径レンズの特許について「キヤノン 200mm f/1.2、50mm f/0.55の特許 超大口径レンズ」で詳しくお伝えします。
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