マイクロフォーサーズの高画素化の取り組み
今後、マイクロフォーサーズはどのようにして高画素化していくのか、その方向性が見えてきたかもしれません。この記事では今後のマイクロフォーサーズについて詳しくお伝えします。
(前略)
先月、ニューヨークで開催されたBild Expoでインタビューに応じたOMシステムの事業部長は、同社のカメラに搭載されたコンピュテーショナルフォトグラフィー技術によって非常に高い性能を実現していると説明する一方で、特に野鳥写真家は解像度をより重視する傾向があると理解している。
「OM-1シリーズでは野鳥撮影においてナンバーワンのカメラブランドを目指している。しかし、このカメラおよび当社のラインナップ全体において、コンピュテーショナルフォトグラフィー技術による豊富な機能のおかげで、風景写真やマクロ撮影にも優れたツールとなると確信している。各カメラにはユーザーの多様な表現を実現する大きな可能性があり、現在は特にコンピュテーショナルフォトグラフィー技術におけるハードウェアとソフトウェアの改善に注力している」と説明した。
今年の3月、OMシステムのブランド戦略・製品企画担当副社長は、OMシステムがコンピュテーショナルフォトグラフィー機能の性能に強い自信を持っているため、センサー解像度を上げることで、これらの機能のスキャンや処理速度が低下する事態を避けたいと語っていた。
「現状では画素数を増やす場合、コンピュテーショナルフォトグラフィー機能に対応するためには、より強力で高速なエンジンが必要である。処理速度が遅すぎれば、ユーザーの期待に応えることはできない。つまり、新しいセンサーに加えて新エンジンの開発も必要になる。難しい課題だが、やりがいのある挑戦である」と述べた。
(中略)
OMシステムの事業部長は、Adobe PhotoshopやDxOのようなAIベースの高解像技術に関心を示している。これらの技術はノイズの軽減と高解像化が可能であるが、カメラ内での処理が必要となる。実現すれば、キヤノンが昨年、EOS R5 Mark IIやEOS R1で試みた取り組みに続く事例となる。ただし、OMシステムは、キヤノンの際に見られたような不評を避け、写真家たちからの異なる反応を期待しているようである。
AIによる高画素化を目指す?
OMデジタルがインタビューに応じ、マイクロフォーサーズの高画素化について述べています。
インタビューでは、OMデジタルが特に野鳥写真家などは高解像度を求める傾向にあるとして、今後、カメラ内にAIによる高解像度化技術を搭載し、画像の高解像度化を目指す可能性があることを示唆しています。ただし、そのためにはイメージプロセッサの計算能力をかなり高めなければならないようです。そして新しいセンサーも開発することで、より高解像度な写真を撮影できるカメラを検討していることが述べられています。
マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいため、レンズを含めたシステム全体を小さくすることが可能です。しかし、物理的にセンサーサイズが小さいため、画素数を増やそうとすると1画素あたりの面積が小さくなり、高感度耐性が低下するほか、回折という現象によりフォーカスが甘くなるといった物理的な制限が発生します。そのため、画素数を多くすると開放付近でしか撮影できないなどの問題が発生してしまいます。
しかし、上記のように一部の写真家には高解像度の写真を撮影したいという要望があるため、これを解決するために、EOS R1やEOS R5 Mark IIで実装されているようなAIによる超高解像度技術を搭載して高画素化に対応しようという動きのようです。
現在でもセンサーシフト方式の高解像度化技術などがありますが、これは複数の写真を撮影して合成する方式のため、素早く動く被写体には利用することができません。野鳥は飛んでいるときに羽ばたいているため、画像合成による高解像度化は難しく、そのためAIを利用しようとしているのだと思われます。
海外では、この方針を聞いて「面白い解決法ではあるが、倫理的に問題が残るのでは」との指摘もありました。高解像度技術は、本来写っていないものをAIが作り出して高解像度化するため、撮影した写真を「写真」と呼んでよいのかという問題が残るようです。
以前、サムスンのスマートフォンで、ぼけた月の写真を撮影したところ、はっきりとした月の写真が得られたという記事が公開されていました。

このような問題もあるわけですが、これは使い方や公開方法次第とも言えるかもしれません。たとえば、個人がバードウォッチングで記録目的に撮影する程度であれば何の問題もなく、むしろ高解像度で撮影できる小型なシステムとして魅力的になる可能性もありますね。
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コメント
コメント一覧 (3件)
m4/3の20MPはフルサイズの80MP相当なので本来は超高画素ですが、広めに撮ってトリミングという撮影手法の上では低画素扱いするしかないんでしょうね。また、OMDSには現状20MPしかないという選択肢の狭さは少し苦しいか。パナの25MPなら劇的に変わるか、というとそうでもないと思いますが。
もっとも、画素数至上主義なきらいがあるPetaPixelの記事なので「低画素」という主張自体を割り引いて見た方がいいと思います。
「キヤノンの際に見られたような不評」が、R1の立ち位置を理解していないPetaPixel自身の記事引用であることにも要注意ですね。あたかもOMDSがキヤノンを批判したように書くのはOMDSにも失礼です。
キヤノンの際に見られたような不評は、お馴染みキヤノンアンチによるネガキャンでしょ。
本当は某infoにコメントしたかったが絶対に採用しないから。
それはともかく、m4/3は16MPがせいぜいで何なら12MPでちょうどいいくらい。
フルサイズですら32MPが適正サイズでしょ。
やはり撮影時に撮れなかった
羽毛の1本1本まで描写できる…
などというアップスケーリングとなれば、
ないものをあるように見せる写真であり、
写真ではない写真になってしまう…
強烈な批判は出るでしょうね。
そうならない適正なアップスケーリングになればいいですね…