シグマ 画素積層型センサーの特許
【出願人】
【氏名又は名称】株式会社シグマ
【要約】
【課題】主光線角度の変化による受光感度の低下を改善しつつ、偽色の発生も抑制することが可能な積層型固体撮像素子の製造方法を提供する
【解決手段】1画素に複数の光電変換層を有する積層型固体撮像素子において、各層の前記光電変換層は、感光した光を電荷に変換する受光部を有し、前記積層型固体撮像素子は、前記受光部にて変換された電荷を蓄積し転送する蓄積部と、一部もしくは複数の前記蓄積部の物体側に設けられ、特定の透過ピーク波長をもつフィルタ部、を有し、前記受光部は、各層の前記光電変換層が感光する波長範囲に応じて電荷を発生し、前記フィルタ部は、当該受光部が感光する波長範囲の光を透過させる又は当該受光部を有する前記光電変換層より物体側に配置される前記光電変換層が有する前記受光部の感光する波長範囲の光を吸収することを特徴とする積層型固体撮像素子
【技術分野】
本発明は、積層型固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
デジタルカメラやビデオカメラや携帯電話などに付属されるカメラなどの撮像装置は、受光した光を画像信号に変換する固体撮像素子を備える。
Foveonセンサーの新特許か
シグマがデジタルカメラ用の積層型イメージセンサーの新特許を出願していることが明らかになりました。
積層型といっても、メモリーと画素やロジック層が積層されているセンサーのことではなく、R、G、Bのそれぞれの画素が積層されているタイプのセンサーのことです。通常のイメージセンサーが平面的にRGBの各フィルターをモザイク状に配置しているのに対し、Foveonは縦に3層の画素が積み上げられているのが特徴です。この結果、同じ画素数であれば約3倍の解像度が得られると言われています。
今回は、そのFoveonに関する特許のようです。どのような特許なのか、詳しく見ていきましょう(当サイトの解釈です)。
この特許をについてざっくり記述すると、「積層型センサーの弱点である周辺部の色ズレ(偽色)と感度低下を、蓄積部にも色フィルターを持たせて改善しようというアイデア」のようです。
まず前提として、この特許が想定しているのは一般的なベイヤー配列センサーではなく、1画素の中にRGBの受光層を縦方向に積み重ねた積層型センサーです。通常のベイヤーセンサーは画素ごとにR・G・Bのどれか1色しか取得できませんが、積層型センサーは1画素でRGBすべての色情報を取得できます。そのため理論上は色再現性や解像性能で有利になります。
しかし積層型センサーには大きな課題があるといわれています。撮像素子の中央付近では光はほぼ真っすぐ入射しますが、センサー周辺部になるほど光は斜めから入射します。すると上層の受光部は問題なくても、深い位置にある下層の受光部には光が届きにくくなります。結果として周辺部では赤や緑を担当する深い層の感度が低下しやすくなります。
さらに問題になるのが「蓄積部」です。積層型センサーでは受光した電荷を一時的にためる蓄積部がシリコン表面付近にあります。本来この蓄積部は光を受けることを想定していませんが、周辺部で光が斜めに入射すると、本来なら受光部へ行くはずだった光が蓄積部へ入り込むことがあります。すると蓄積部でも光電変換が発生してしまうそうです。
例えば赤を担当する層の蓄積部に青い光が入り込むと、本来存在しない青成分が赤信号へ混入してしまいます。これが特許で繰り返し説明されている「偽色」の発生です。従来であれば金属遮光板を大きくして光を遮れば解決できます。しかし遮光板を大きくすると今度は受光面積が減り、感度が低下してしまいます。
そこでこの特許では発想を転換しています。光を完全に遮るのではなく、蓄積部の上に色選択フィルターを配置します。例えば、赤層の蓄積部には赤だけを通すフィルターを置き、緑層の蓄積部には緑だけを通すフィルターを置きます。そうすることで、本来その層が扱う色だけが蓄積部へ到達するようになります。例えば赤層の蓄積部なら赤色光だけを通し、青や緑は遮断します。これによって偽色の原因となる不要な波長の光を防ぐことができるということですね。
さらに面白いのは、この特許では蓄積部に光が入ること自体を活用している点です。通常なら蓄積部に光が当たるのは問題と考えますが、この特許では「どうせ感光するなら有効利用しよう」と考えています。赤層の蓄積部には赤だけを通し、緑層の蓄積部には緑だけを通すことで、蓄積部も追加の受光領域として利用できます。その結果、斜め入射で感度が落ちやすい下層の受光部を補助できる可能性があります。
つまり、従来は「蓄積部に光が当たると偽色になるので遮光する」だったものを、この特許では「蓄積部に正しい色だけを当てて感度向上に利用する」という考え方を採用しています。
まとめると、この特許は「積層型センサーで問題になる周辺部の偽色と感度低下を、蓄積部に専用フィルターを設けることで改善しようとする技術」ということになりそうですね。
Foveonセンサーの開発は難航しているようですが、この特許が出願されているように、少しずつ問題が解決しているのと同時に、新たな手法についても開発されていることがわかります。どのようなイメージセンサーになるのか、どのデジタルカメラに搭載されるのか楽しみですね。
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