なぜα9 IIIのISOは250スタートなのか?
グローバルシャッター採用のα9 IIIのISOが250スタートであることが話題になっています。どうして250スタートなのでしょうか?
これは素晴らしい技術だが、低ノイズと高感度耐性が悪化するというトレードオフがある。
ソニーのα9 IIIのグローバルシャッターはISO感度で250-25,600だ(拡張で125-51,200)。これを考慮すると、ソニーのカメラは伝統的にISO100がベースとなっている。他のブランドではニコンのカメラはベースISOが64、OMシステムのカメラ(マイクロフォーサーズでセンサーが遙かに小さい)はベースISOが200だ。
(中略)
なぜそうなのか?私たちはソニーヨーロッパのマーケティング責任者と話す機会があった。彼の説明によれば、ISOが高いのは単にグローバルシャッターセンサーの特性だという。
「このISOの設定は250から25,600までで、それがセンサーの基本的感度であり、これがグローバルシャッターとしての性質だ。しかし、静止画撮影では、基本的にISO設定を125まで下げることができる。しかし、それがセンサーの特性で、センサーのあり方だ」
以下の動画は、ソニーのグローバルシャッターセンサーとローリングシャッターセンサーの違いを説明し、各設計のメリットをうまく説明している。基本的にグローバルシャッターは高速なキャプチャ(歪みのない高画質)のために設計されており、ローリングシャッターは優れた画像品質(低ノイズと高感度)のために設計されている。
(中略)
従ってグローバルシャッターは奇跡の技術のように思えるが、それは制限がないわけではない。どんな写真撮影のツールでも特定の目的のためら設計されている。すべての目的に適しているわけではない。
ソニーのα9 IIIのベースISOがなぜ高いのかTheDigitalCameraWorldが解説しています。
記事によれば、α9 IIIのセンサーがISO250スタートなのは、グローバルシャッターの特性なのだそうです。ソニーのマーケティング責任者が述べているので、それは間違いないところなのでしょう。
そのため、グローバルシャッターセンサーとローリングシャッターセンサーは、それぞれ補完する関係にあるようです。つまり素早く動く被写体や流れる風景などに関してはグローバルシャッターのセンサーを、より低ノイズ高画質の写真が欲しければローリングシャッターのセンサーを選択するということになるようです。
しかし、たぶん将来的にはグローバルシャッターのセンサーが低ノイズ化したり、高感度に強くする技術も開発されるでしょうから、将来的にはある程度のカメラまではグローバルシャッターセンサーが採用されるかもしれません。またローリングシャッターセンサーも現在は積層型センサーで読み出し速度が速くなっており、今後も速くなる可能性があるので、ある程度の被写体まではローリングシャッターセンサーでも問題ないということにもなるかもしれません。
そうすると、これら二つの方式のセンサーそれぞれがかなりそれぞれ近づいた性能をもつセンサーになっていく可能性もあるのかなと思いますね。それでも非常に高価になることは間違いないと思いますので、価格が20万円台ぐらいのカメラですとローリングシャッターのセンサーはしばらくは搭載される可能性は低いのではないかなと思いますね。
さらにクローバルシャッターになったことのメリットについて「α9 IIIのグローバルシャッターで写真が変わる 主な3つのメリットとは」にて詳しくお伝え。
主な特徴
- 世界初グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサー搭載デジタル一眼カメラ
- 新次元のスピード性能を生かす最先端のAFシステム
- プロの撮影を支える快適な操作性と高い信頼性
- 即納をサポートする高速ワークフローと高い拡張性
センサーサイズ | 35mmフルサイズ (35.6 x 23.8 mm)、Exmor RS CMOSセンサー |
画素数 | 約2520万画素 |
イメージプロセッサ | BIONZ XR+AIプロセッシングユニット |
被写体認識 | 人、動物、鳥、昆虫、車、列車、飛行機 |
手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 (補正方式はレンズ仕様による) |
手ぶれ補正効果 | 8.0段 |
高速連続撮影 | 約120コマ/秒 AF・AE追従 |
動画撮影 | 4k 120p |
フラッシュ同調速度 | 1/80000 秒 |
シャッター速度 | 静止画撮影時: 1/80000-30 秒、バルブ、動画撮影時: 1/8000-1 秒 |
ISO | 静止画撮影時: ISO 250 – 25600 (拡張: 下限ISO 125、上限ISO 51200) |
フォーカスポイント | 759点(カバー率約95.6%) |
EVF | 0.64型 約943万ドット電子式ビューファインダー |
背面液晶 | 3.2型 約210万ドット 4軸マルチアングル液晶モニター |
メモリカードスロット | CFexpress Type Aデュアルスロット |
サイズ | 約136.1 x 96.9 x 72.8 mm |
重量 | 約703 g(バッテリー、メモリカード含む) |
- α1 IIは高解像度とスピードのバランスを改善 AF性能には非常に感心
- ソニー α1 II、α1、α9 IIIの違いは何か!? 主な仕様の比較と相違点
- カメラのキタムラ売れ筋ランキング Nikon Z30が首位 EOS R5 IIが2位で猛追
- ソニー FE 28-70mm F2 GM正式発表 想定価格約50万円 ソニー初全域f/2ズーム
- ソニー α1 IIを正式発表 想定価格99万円 AIチップ搭載によりAF性能が進化
- ソニー 28-70mm f/2.0 GMの仕様が流出か 重量は918gとなる模様
- α9 IIIのDxOMarkスコア公開 グローバルシャッターは革新的だが性能に妥協がある
- ソニー E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS IIは価格を考慮すれば検討する価値がある
- ソニー カメラ14製品 レンズ36本の大型キャッシュバックを実施へ
- 誤掲載!? α1 IIの製品ページが公開され、新製品がα1 IIであることが確認される
Twitterいいねとリツイートのお願い
記事をよんで面白いと思ったら、Twitterでのいいねボタン、リツイートをしていただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
コメント
コメント一覧 (4件)
ようやくグローバルシャッターを民生機に採用できる段階になったんだなぁと思います。尖り方や用途・金額的にはまだ業務用の域とはいえ、家電量販店で普通に買えますから。
ダイナミックレンジやコストの問題を残してでも、必要とされる用途を獲りに行く姿勢ですね。
解決策の1つであろうキヤノンのSPADは日が浅く、高コストかつ小さいセンサーなのでまだ産業用のみですが、製品化はされたので今後が楽しみです。
パナの有機CMOSは……表に出てから7〜8年、デモ展示や車載提案等の話はありますが、どうなったんでしょう。数年後の実用化とは言っており、動向が気になります。
初号機なので色々と制限があるのは仕方が無いのかもしれません。
ストロボの同調速度1/80000 秒も制限付きですね。
本機対応の機種で無ければ 1/500 秒です。
だれも言及しませんが同調速度1/80000 秒を実現させるのにストロボ発光と
シャッターの遅延コントロールに苦労したかもしれません。
でも同調速度 1/500 秒は一般的なカメラより倍速なので日中シンクロは
しやすいでしょう。
ソニーの良くないところは、こういった実験機を、さも最先端の万能機のようにアピールするところ。
自分もソニーの誇大アピールには何度か煮え湯を飲まされました。
次期α7Ⅴではセンサーの読み出し速度とBIONZの性能が上がって、裏面照射積層型でなくてもα9Ⅱに近い性能を出せるようになるのでは。そうするとα9シリーズの立ち位置がなくなるので、まだ技術的に未完成とも言えるグローバルシャッターを載せてきたのではと思っています。
同様に、センサーと画像処理エンジンの高感度性能が上がり、α7Sシリーズも微妙な立場になってきているので、ZV-E1という派生機種を出して来たのでしょう。
α9 IIIって万能機のようにアピールされてますか?
ソニー公式サイトを見てもそのような文言は見つけられませんでしたが。