キヤノンのイメージセンサーの特許
キヤノンがイメージセンサーの位相差センサーに関する特許を出願していたことが明らかになりました。どのような特許なのでしょうか?
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光電変換部を有する画素部が2次元配列された撮像素子及び当該撮像素子を搭載した撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置で行われる焦点検出方法の1つとして、撮像素子に形成された焦点検出用画素を用いて一対の瞳分割信号を取得し、位相差方式の焦点検出を行う、いわゆる撮像面位相差方式が知られている。
【0004】
このようなイメージセンサでは、複数の光電変換部が画素内で横方向に並び、瞳分割方向が横方向である構成では、例えば、被写体が横方向のストライプ模様等の場合、視差が表れにくく、焦点検出精度が低下することがある。
【0005】
これに対し、特許文献2には、各マイクロレンズに対する光電変換部の配置方向を2種類にし、瞳分割方向を2種類とすることで、焦点検出精度を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、縦方向に隣接する光電変換部間を分離する構造と、横方向に隣接する光電変換部間を分離する構造とで、電荷を隣接する光電変換部に漏出させる強度を異ならせることが開示されている。この構造により、1つの光電変換部が蓄積できる電荷量を超えて受光した過飽和電荷を予め決められた方向に配置された異なる光電変換部へ漏出させて蓄積することで、1つの光電変換部が飽和した場合にも、横方向、もしくは縦方向の位相差方式の焦点検出が可能となる。
キヤノンがイメージセンサーのクロス測距に関する特許を出願していたことがわかりました。
キヤノンは一つのマイクロレンズの下にある画素を二つにわけて、それぞれ別の画素として扱い、それにより像面位相差AFを行うデュアルピクセルオートフォーカスを採用していることは、皆さんもご存じだと思います。通常は、画素をまるごと位相差センサーに置き換えるため、画素が欠損したような状態になってしまいますし、設置できる位相差センサーの数にも制限がでてきます。しかし、キヤノンのこの方式を利用すれば全画素を位相差センサーとして利用できるので、メリットがあるわけですね。
従来は、画素を分ける方向が同じで、クロス測距を行うことができず、特許にも記述がありますがストライプ柄の被写体ですとフォーカスが合いにくいという問題がありました。それを解決する方法の一つがこの特許ということになりそうです。
この特許では左右に分割する画素だけでなく、縦に分割する画素も用意することで、全画素でクロス測距というわけではないですが、それぞれ半分ずつ、縦と横の測距が可能で、ストライプ模様でもフォーカスを合わせることができるようになるようです。
海外では、これをクアッドピクセルオートフォーカスと紹介しているサイトもあるようですが、クアッドピクセルではなく、デュアルピクセルの縦横を交互に配置しているだけのように見えます(まちがっていたらすみません。実施例としての記述はあります)。この特許が製品化できれば既存の技術でクロス測距が可能になるためクアッドピクセルよりは技術的な難易度が下がるように思えますね。
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(記事元)https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-167258
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コメント
コメント一覧 (3件)
この図面ならば、デュアルピクセルの縦横を交互に配置だと思います。
クアッドピクセルAFのOM-1を持っていますが、正直、画素欠陥のある像面位相差AFと差がほとんど感じられません。全画素をクロス測距にする必要は、あまりなさそうです。
4000-5000万画素をクアッドピクセルにすれば、データ処理量が大きくなり過ぎるので、この発明は現実的なアイディアではないでしょうか。
大本命ですね。これがクリアされればAFに関してはレフ機を完全に置き換えることができるでしょうね。
一足早くマイクロフォーサーズセンサーのOM-1でクロス測距が採用されています。認識精度に関しては各社のアルゴリズム(ディープラーニング)の習熟度による部分が強く、これをもってクロスタイプの必要性を判断するのは早計かと思います。
もちろん当機を使った上ですが、枝葉が絡み合っているようなシチュエーションでの一点AFの精度はかなり高いです。これをフルサイズセンサーも目指すべきでしょうね。
もともと噂されていたデュアルクロス測距を実現しているセンサーは最近IEDM2023で2400万画素程度のものが展示されている段階だったため、これが高画素機の可能性が高いR1に来年搭載される可能性は極めて低いのかなと少し落胆してました。
しかしこの特許にある方式ならデュアルピクセルCMOSセンサーでクロス測距を実現可能ですし、高画素&全域クロス測距対応の新CMOSセンサーの開発や製造コストを下げるためにもR5 IIにも載せてくる可能性は十分にありそうですね。R1はセンサー読み出し速度、連写性能、AF演算回数、バッファサイズ、CFexpress 4.0対応、EVF、ボディなど色々なところで差別化を行えますし。
ちなみにOM-1は以前持っていましたが、そもそも画像処理エンジンやレンズなども含めたAF-Cの性能や信頼性が低すぎたためクロス測距の実力をはかるのは無理でした。ただしAF-Cでの暗所のピントの迷わなさなどはα1よりも結構良かったのでクロス測距自体のポテンシャルはかなり高いと感じました。