ニコン 米国業務用シネマカメラを発売するRED社を子会社化
株式会社ニコンが、業務用シネマカメラの開発、製造、販売する米国のRED.com, LLCを子会社化すると発表しました。動画撮影向けのカメラにも注力していくことになりそうです。
米国の映像機器メーカーRED.com, LLCを子会社化
株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)は、業務用シネマカメラの開発、製造、販売、サービスを行う米国のRED.com, LLC(President: Jarred Land、米国カリフォルニア州、以下「RED社」)の創始者であるJames Jannardならびに現社長であるJarred Landとの間で、本件の各種クロージング条件の充足を条件とした上で、RED社の持分の全てを取得することを内容とする持分譲渡契約を締結し、RED社を当社の子会社とすることに合意しました。
ニコンが業務用のシネマカメラを開発、製造、販売するRED社を子会社化したことを発表しました。
RED社はプロフェッショナル向けのシネマカメラを発売している会社で、独自のRAW圧縮技術を展開しています。この買収によってニコンも静止画だけでなく動画撮影向けのカメラに本腰を入れることになりそうですね。
ちなみに、この両社には因縁があり、以前にNikon Z 9に搭載されているN-RAWでの動画圧縮技術の特許に関して訴訟をしていた間柄でした。その後、何かしらの合意に至ったとみられ、この訴訟は取り下げ、ニコンはN-RAWを提供し続けることが可能となりました。しかし、その結末がニコンのRED社買収で終わるというのは、意外というか皮肉というか、ちょっと考えられない結末になりました。
ニコンのN-RAWがRED社に特許侵害で訴訟されていたことには、ちょっと複雑な経緯があります。この経緯については以下で簡単にまとめていますので、興味のある方はご覧になってみてください。
かつては訴訟した間柄
Nikon Z 9のファームウェアがバージョン2.0にアップデートされ、それにともない8k 60p録画が可能になったわけですが、上記の記事によれば、ニコンはZ 9でintoPIX社のTicoRAWという形式のRAWを使用していて、それがビデオ圧縮技術の特許侵害だとして訴えられているようです。このためニコンがバージョン2.0で採用されたN-Logという動画に関するフォーマットは、恐らくintoPIX社のTicoRAWそのものであると考えられています。
このあたりもっと詳細なことを知りたい方は別記事で詳細に記述していますので、こちらの記事をご覧ください。
ニコンは他社(intoPIX社)の技術を採用しただけなのに、なぜに他社からニコンが訴えられるのか意味不明で、RED社はintoPIX社を訴えればいいと思うのですが、それはともかく、ニコンとしてはこれに対処する方法は、以下の3つあるのではないかといわれていました。それがこの3つです。
- Nikon Z 9の新ファームを取り下げる
- Red Digital Camera LLCとライセンス契約を結ぶ(対価を支払う)
- 裁判で争う
今回ニコンは3番目を選択したことになります。
簡単に説明すると、ニコンはintoPIX社のTicoRAWという形式のRAWを採用していると言われていて、そのRAW技術がRED社の特許に抵触したのではないかと言われていました。しかし、ニコンはintoPIX社のRAW技術を採用したわけで、実質的に特許に抵触しているのはintoPIX社です。にも関わらずニコンのほうが訴訟を受けたということで、資金的により体力のあるニコンを、金銭的な目的で標的にしたのではないかとも噂されていました。
しかし、この特許訴訟は互いに何らかの合意があって取り下げられることになったのは前述の通りです。
そして、今回の買収ということで、これまでの流れを考えると本当に不思議ですね。この訴訟が、今回の両社を引き合わせたことになったのだとしたら皮肉な感じもしますね。
さらに「ニコンの新型カメラNikon Zhの噂の全貌 これまでの噂を徹底解説」では超高速カメラNikon Zhの噂について詳しくお伝えします。
(記事元)ニコン
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コメント
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驚愕です。
同名他社があるのかと真面目に調べる程度には信じられませんでした。
ニコンと去年までRAW関連の訴訟で争っていたとか、キヤノンと技術提携しているとか、ソニーとかAppleとかDJIとか etc.
色々な意味で有名なあのREDを子会社化ですか…。
マウント開示だとかライセンス契約だとか業務提携ではなく子会社化。
業務用シネカメメーカー大手のREDを取り込む、それだけニコンは映像事業に本気であるという姿勢が示されたと単純に受け取っていいのでしょうか…。
REDを買収して新規にシネマレンズのシリーズも開発する
予定でしょうか?
現行のZレンズは使えないでしょうから他社製を使うつもり
なのかもしれません。
凄いニュースが来ましたね。
ニコンも業務用シネマカメラのラインナップを持ってハリウッドに進出するということだと思いますし、そこで得られたノウハウがコンシューマー製品にも活かされるのでしょうね。
RED が RF マウントを使ったシネマカメラを作っていて、キヤノンが内部 RAW 収録可能なカメラを発売しているということはおそらく二社間でクロスライセンスを結んでいたということでしょう。
ニコンが買収した以上 RED の今後のシネマカメラは Z マウントになり、クロスライセンスはおそらく更新されないと思いますが、キヤノンのこれからのカメラ、例えば EOS R5 Mark II には内部 RAW 収録機能が含まれるのでしょうか?