コダックが倒産した理由
しかし、それ以上に、コダックには「保守派」「守旧派」と呼ばれるステークホルダーが多く存在していました。銀塩周りの写真品質にこだわる技術者や、現像に関わる販売店など、従来のコダックのビジネスモデルによって潤う人たちはたくさん存在したのです。このような技術的転換点において、経営者はジレンマに陥り、そして、ジレンマは「希望的観測」を生み出します。「こうなってくれた方が私たちにとって強みが活かせる」「この方が私たちに都合が良い」という願いが冷静な分析を打ち消していくのです。
創業者のジョージ・イーストマンが考えたように、この当時の経営陣もビジネスを「ゼロベース」で考えるべきだった、というのはその通りでしょう。しかし、実際の経営は、こういったジレンマに伴って湧き上がってくる「希望的観測」を黙らせないと前に進まないというのが現実。コダックはその向き合い方に失敗したのかもしれません。
-JBpress
フィルムメーカとして有名だったコダックが倒産した理由についての記事が掲載されています。かなり詳細な記述がありますので、全文は記事元リンクからご覧ください。
これまで一般的には、カメラのデジタル化が進んでいったことにコダックは対応できず、カメラ用などのフィルム製品以外の新事業を展開することができずに倒産してしまったというように思われていると思うのですが、この記事では少し違う見方をしているようです。
実はコダックは早くからデジタル化に取り組んでいたのですが、撮影から現像、そして保存までを統合して儲けるような仕組みを考えていたため、市場から取り残されてしまい倒産してしまったというのです。そして、既存のフィルム現像などで儲かっていた販売店なども多くあったので事業転換が難しかったとしています。
デジタル化で現像や編集、印刷などは個人で行えるようになったので、撮影から現像、アルバム造りなど全体で利益を得ようとするビジネスモデルは通用しなくなったということを言いたいのだと思います。そして、結論としては、やはりどの時代も経営陣はゼロベースで考えることが重要だったとしています。
ニコンにも同じことが起こっていないのか
デジタル化によって技術的な転換を見通すことができなかったコダックと同じように、ミラーレス化によって技術的な転換点を見通すことができなかった企業としては、やはりニコンを思い浮かべてしまいます。
上記の記事では、コダックが保守派という利害関係者がいたり、フィルムによる写真品質に拘る技術者がいたことで経営者はジレンマに陥ったとしています。
そして、ニコンは以前の記事で社内では一眼レフ志向が強いことを認めています。これは一眼レフに拘る技術者が多いということを意味しています。
そして市場では、ニコンはミラーレスに参入するのが3年遅かったのではないかと言われています。
このことから考えると、やはりその時点でゼロベース(まったく何もない状態)から、理想な状況を考えて、それを目標にして経営をしていったほうがよかったのではないかなと思いますね。ミラーレスを発売することで一眼レフの共食いを防ぎたいという、「保守的」な考え方では実際にはあまりよくなかったということなのだろうと思います。
ですが、後から考えれば簡単に指摘することはできますが、その時点で最適な解答を導き出すのは非常に勇気のいることで、なかなか難しいという側面はあったのだろうと思いますね。
販売シェア的には、一眼レフ時代よりかなり落ち込んでしまっていますが、まだ技術的に巻き返すことはできると思いますので、ぜひ頑張ってほしいと思いますね。
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コメント
コメント一覧 (9件)
Fマウントカメラとレンズを使用している者として同感です。
巨大な過去のの資産がその企業の手かせ足かせになっていることは容易に想像できます。
Fマウントシステムは、別会社を設立して全てを移管してしまうぐらいの荒療治が必要かもしれません。
そして私の様な古い利用者には、Z5をブラシュアップして提供して頂ければ十分です。
具体的にはZ6Ⅲが登場しましたら。Z5の心臓部をZ6にして連写と動画性能を向上さたものです。
つまりSDカードダブルスロットのZ6です。
とにかくニコンには頑張って頂きたい。
(フルサイズ)ミラーレス化での出遅れ、共食いを防ぎたい思考はキヤノンにも言えた話でしょうが、どこで差がついたんでしょうかね。
・捨て去るも引きずるも難しいFマウント/まるまる引き継げるEFマウント
・↑による一眼レフ(というよりFマウント)思考が強いメーカーとユーザー
・そもそもの基礎体力・研究開発力・マーケティング力の差
差がついたと言えば、ニコワンとEF-Mも力の入れなさ具合は大差無かった気がするんですが、片やディスコンで片やBCN上位常連。
この差は一体……ニコワンの方が出たの早かったんですけどね。これこそ基礎体力の差でしょうか。アダプターでF/EFレンズ使う層は少ないでしょうし……
没落するコダック・・・・
それに比べると富士フィルムはよく頑張ってますね。
フィルム会社だったのにね、今や多角経営(*_*)
カメラ部門に関してもね、フジの成功の秘密みたいな比較記事もみたいです。
ニコンは・・・・ニコワンの失敗がねえ^^;
あそこでZマウントを出していたらと思うけどそれは無理があるかなあ。
せめてキャノンより先んじてミラーレス専用のマウントを・・・APS-C用だけど口径が大きめでフルサイズもいけますよみたいなの。
ううむ。
フィルムについてはソニーがマビカの試作機を発表した頃
キヤノンの技術者は近い将来フィルムはいらなくなると
言っていました。
コダックも気がついていたと思いますが主力事業が大きな
収益を上げていた関係上、深刻には考えなかったのかも
しれませんね。
ニコンの場合は少し苦戦はしているけれども倒産したわけ
でもなくミラーレスのZシリーズ等、開発する力はあるわけで
あまり心配してもしょうがないような気がします。
Fマウントについては最初からレンズ内モーターが出来ていれば
状況はもう少し良かったのかなと思います。
ミノルタ方式を追従したのがレンズ互換に制限をもたらし新規の
ユーザーを混乱させました。
ニコンは一眼レフ屋であることに固執してしまったように思いますね。
ミラーレス(ニコワン)のこともアドバンストカメラと呼んだり色々とニコンは拘りが強い。
それがいい方向に働くときはいいですが、こういう転換点では柔軟性が大事です。
ニコンとキヤノンのWEBサイトを見ると面白いのが、ニコンはカメラボディを一眼レフとミラーレスで別ページにしてて、キヤノンは一眼レフもミラーレスもボディは一括りに一覧されます。
これはおそらく考え方としてニコンは一眼レフとミラーレスは別物の”カメラ”として捉えてて、キヤノンは一眼レフもミラーレスも同じく”カメラ”であると捉えてるのだと思います。
なのでキヤノンはミラーレスのR5を売れ筋である一眼レフ5D系の後継機だと断言しましたが、ニコンはZ 7/Z 6の後にもD780を出したり一眼レフとミラーレスの両輪で行く姿勢でしたね。
それとやはりニコンはZレンズのラインナップの仕方やZボディ/レンズのデザインなど訴求力に乏しかったと思います。
一眼レフの需要はフィルムカメラなどと同じように消えることはないですが減少していくことはニコンもわかってたはずで、変化を恐れず主軸を見極めることの難しさを感じますね。
ニコンは一刻も早く、これから成長もなく競争に勝てそうにないカメラ事業を切り捨て、半導体装置事業に力を注いだほうが良いと思います。
もしくは価値のあるうちにカメラ事業売却か?
もし決断が下せれば株価は相当上がると思います。
全く同じ意見です。
ミラーレス市場に旋風を起こすよう、二番煎じから脱却してキャノン、ソニーのように新たな革新技術を投入してユーザーをワクワクさせて欲しいですね。
もっとも、根幹となるセンサーの内部対応が前提として大きなウエイトを占めることから、ハードルは高い?かも知れません。
但し、OMDSやパナソニックのように、そのような中でも出来ることはあるはずです。
保守的にならず、ニコンならではの尖った独自性を期待しています。
上の方達と同じ感想ですが、
Z6 Z7でフルサイズミラーレスに参入しましたが、機能性能面で2~3年前に販売されたα7シリーズと大差の無い(機能性能で2~3年遅れ)基本性能でユーザーを振り向かせる機能性能を載せて来なかっ点でニコンはレフへ忖度と言うか拘りがあったのでしょう。
そして昨年の6Ⅱ 7Ⅱのマイナ-チェンジでレフへの拘りが顕著に出た気がします。
ライバルキャノンは全く逆でR6 R5はR RP とは一線を画する機能性能を載せてレフ拘らない姿勢を見せました。
結果ソニーvsキャノンの様な状況となっています。
少数派の意見かもしれないですがユーザーとして今のZのニコンが一番好きです。
まず、すでにFマウントの一眼レフ事業はかなり清算してしまっている印象ですがどうでしょうかね。まだしがらみは残っているのでしょうか。
ミラーレス最後発になったことでニコンがZマウントでレンズ勝負してくれているのも、現場の方は大変でしょうが、レンズ優先のユーザーとしては実は嬉しかったりします。
むしろ APS-C 向けだった小口径マウントでフルサイズも頑張ってるソニーについては企業努力としては凄いと思う一方で、かつての F マウントと同じ危うさを感じてレンズを買う気には全くならないです。