切実な国内の転売問題
日本国内のカメラの価格が高くなってしまっている理由に、為替差を利用し利益を得るための海外への転売を防止するという目的があるようです。しかしカメラの価格が高いと国内ではカメラが売れなくなってしまいます。なんとかこの為替差を利用した転売を回避することはできないのでしょうか?
最近は日本国内でカメラが十分に供給されていない可能性があるようです。以前、富士フイルムは、日本国内のカメラの供給状況について、以下のように述べていました。
「インバウンドのお客様が製品を買われていて、国内のお客様には正直、製品が渡りづらい状況が起こっていた。しかし、円高によりそこがある程度ブロックされはじめ、需給が安定してきて、国内のお客様にもお買い求めいただけるようになってきている。X100VIなどはまだ厳しい状況にあるが、バックオーダーについては順次緩めているところで、安心していただければと思う」と状況が改善しつつあると説明した。
日本国内では円安ということもあって、海外からの観光客が増えています。同様に、円安ということで海外からみると廉価に感じられるカメラが多かったらしく、インバウンドの観光客が日本国内でカメラを購入するケースが多かったようです。また一部の人によって、為替差によって利益を得ようと日本国内で数多くのカメラを購入し、それを海外のフリマサイトのようなところで転売するということが、かなり大規模に行われていた可能性もあるようです。
通常、メーカはある程度の基本的な為替レートを設定して、国内、海外のカメラの価格を設定すると思うのですが、現在のような極端な円安のときに将来の円高を見込んだ価格設定にすると、日本国内で販売されているカメラは安いということで海外の人に買われてしまいます。
かといって転売防止のために現在の極端な円安に合わせて日本国内の価格を設定すると、カメラの国内価格は非常に高いものになってしまい、国内の消費者にとっては非常に高価になってしまう可能性が出てきてしまいます。
また、最近の為替レートは非常に短期間に急激に変動することもあるため、想定為替レートを設定しても、それ以上に為替レートが変動してしまい、やはり日本国内に供給したカメラが海外の需要によって購入されてしまうという状況も多くなってしまうかもしれません。
そう考えると、多少の為替レートの変動があっても、国内のカメラが特に海外への転売目的で購入されないような、何かしらの施策を実施する必要があるのかなと思いますね。
為替差を利用した利益目的の転売を回避する施策
それでは為替差を利用して利益を得るための転売はどのように防止すればいいのでしょうか?すでにメーカが実践しているいくつかの例や施策について見ていきましょう。
保証をローカルの保証に変更する
世界のどこでも通用する国際保証書を設定している製品もあると思います。国際保証書の場合、世界中のどこにいても製品購入からのメーカ保証が受けられることになるので、世界中を移動するような写真家にとっては便利かもしれません。しかし、逆に日本国内で購入された製品でも、転売先の海外で保証が受けられることになるため、より転売しやすくなってしまいます。
逆に日本国内保証を設定すれば、そのカメラはメーカ保証期間内に故障しても日本国内でしか保証が受けられないため、逆に故障してしまった時には輸送コストや手配コストなど、かなりのコストを支払わなければ保証が受けられない可能性がでてきます。
このことが障害となって転売された製品の購入を諦めようという人は一定数でてくるかもしれません。しかし、最近の製品は優秀なのでメーカ保証期間内で壊れることはあまりなく、そのリスクを冒しても低価格で購入したい人というのはいるかもしれません。また、組織的に転売している場合には、日本に拠点を構えて、日本に郵送することで日本国内の保証を受けられるようなシステムを作り上げている場合には、あまり問題視されない可能性もでてきそうです。
メニューをローカル言語だけにする
カメラのメニューシステムをローカルの言語にしてしまうというのも一つの対応策となりそうです。英語だと無意味かもしれませんが、日本語のようなローカルな言語なら海外で理解できる人が少なく、意味はありそうです。従って、特に日本の円安時の日本国内への対策として、日本で発売するカメラのメニューについては、すべて日本語しか選択できないようにすることには意味があると思います。
もちろん、この言語設定については後からの追加料金で言語を変更できるようにしておきます。このようにすると、英語に言語を変更するのに製品購入金額よりもさらにいくらかのお金を支払う必要がでてくるため、為替差による金額差をいくらか埋められる可能性があるかもしれません。
キャッシュバックを利用する
為替差による転売を防止するための究極の施策は、想定為替レートをかなり極端な円安に設定することです。例えば、1ドル155円に設定して日本で販売するカメラの価格を設定すれば、日本国内で購入して海外へ転売しても、輸送コストなどを考えると海外で購入したほうが安くなるでしょうから転売しても利益を出すことができません。
そのかわり海外では1000ドルのカメラが国内では15万円5000円という価格になってしまいます。仮に1ドル120円ほどを想定していた場合では、カメラの国内価格は12万円という価格になりますので、かなりの割高な設定になってしまいます。
これを解消するために利用するのがキャッシュバックです。かなり極端に高い価格に設定する代わりに定期的にキャッシュバックキャンペーンを実施し、実際に販売したかった国内価格で販売できるようにすれば、転売抑止効果になると同時に、国内での販売も伸ばせる可能性がでてきます。
そして、キャッシュバックキャンペーンの応募規約には、転売目的と思われる応募については応募が無効になるとの記述があります。
もちろん組織だって行えば、転売したい人が購入した製品について、すべてニコンに対してキャッシュバックを申し込むことは可能です。しかし、いくつかの制約があります。それが以下になります。
- ニコンイメージング会員への登録が必要
- 製品登録が必要
- 領収書、納品書のコピーが必要
- 保証書のコピーが必要
- 製品箱のバーコードの切り抜きが必要
まずニコンイメージング会員への登録が必要ということで、転売しようとするすべてのカメラについてアカウントを作成して製品を登録する必要がでてきます。同じアカウントにいくつものカメラを設定したら転売かもしれないとして目を付けられる可能性がでてきますので、すべて別々のNikon IDを生成しなければならないことは手間となるため、ハードルとなり得るのではないかと思います。
また、Nikon Z6IIIなどで利用できるNikon Imaging CloudにもNikon IDの生成が必要になります。キャッシュバックを申し込んだ製品はすでにNikon IDと製品登録が済んでいることになるので、キャッシュバック申請の直後に、同じ製品がNikon Imaging Cloudを利用するために別のNikon IDに紐付けされた場合には転売された製品であると解釈することができるかもしれません。
またこれが一番抑止力になるかもしれませんが、製品の箱の切り抜きが必要になることです。製品の箱にハサミを入れることになるため、それだけ価値が目減りしたり、転売品だとより分かりやすくなるため、購入する側の抑止力として働く可能性があると思いますね。
というわけでいろいろ見てきましたが、それぞれ少しずつ意味のある対策にはなりそうです。ただメニューの言語変更については、英語だったらほぼ意味はなく、ドイツ語、フランス語ぐらいだったら多少は意味があるのかなという感じですね。日本語はマイナーな言語だから効果はありそうです。
その他の施策についても、それぞれ組織的に行えばほとんど解消できてしまうかもしれません。しかし、それぞれ少しずす手間がかかるので、この手間を考えると転売するのは止めておこうと思う人が増えるかもしれません。
いずれにしても、円安のためにかなりの価格に設定しないと為替差益で儲けようという人たちが製品を購入し、国内の製品供給にまで影響がでてしまう可能性もあるため、なんとかしたい問題ではありますよね。
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コメント
コメント一覧 (1件)
フジフイルムはどうやってインバウンド客が大量に購入したのを知り、国内市場への流通に悪影響が出たと言い切れるんだろうなぁ
見たのかなあ?
その影響はそんなに大きいとどうして言えるんだろ
他社ではそんな話はあまり聞かないのに
その上、カメラに限った話じゃないが、在日外国人が母国に転売してるのはあまりにも有名な話
特に有名なのは中国人と韓国人とベトナム人
この3カ国メインに転売が行なわれ、不正に資金を稼ぎ出し、税金も納めないで不法滞在してるのが多数居る
完全に犯罪の温床になってる