α7 V vs EOS R6 Mark III
α7 VとキヤノンEOS R6 Mark IIIの比較が注目を集めている。どちらも非常に優れたカメラであり、単一機種の性能だけでシステムを乗り換えるべきではない。ただし、細部に目を向けると、両者の明確な違いが浮かび上がってくる。
1)ソニーの根本的なアーキテクチャ上の優位性
α7 Vは、部分積層型の最新センサーアーキテクチャと、AI統合型の新型プロセッサを搭載している。一方、EOS R6 Mark IIIは非積層型の従来設計に基づいている。この違いにより、α7 Vはファームウェアアップデートによる将来的な機能追加において、はるかに大きな余地を持っている。現時点で未搭載の機能(例:オープンゲート)も、理論上はハードウェア的に十分対応可能だ。今後、ソニーがそれを実装するかどうかが注目される。
この点はあまり語られていないが、EOS R6 Mark IIIが従来型の設計に留まっている一方で、α7 Vは将来性を見据えたハードウェアを採用している。
2)スピードの王者はα7 V
読み出し速度では、EOS R6 Mark IIIが13.5ms、α7 Vが15.1msとわずかに劣るが、α7 Vは14bitフルデータで処理しているのに対し、EOS R6 Mark IIIは12bitにデータ量を削減している。これにより、α7 Vはダイナミックレンジで1段以上の優位性を持つ。EOS R6 Mark IIIの40コマ/秒(低画質)は、α7 Vの30コマ/秒・14bit RAWには及ばないと感じる。
3)静止画画質ではα7 Vが優勢か
16ストップのダイナミックレンジは非常に魅力的であり、今後のテストでα7 Vの静止画性能がEOS R6 Mark IIIを上回るかどうかが注目される。
4)動画性能ではEOS R6 Mark IIIが勝利
EOS R6 Mark IIIは120pのノンクロップ撮影、オープンゲート、ウェーブフォーム、フォールスカラー、7K内部RAW記録などを備えている。α7 Vの唯一の利点は、オーバーヒートの問題が少ないことだ。ただし、α7 Vはセンサーの速度とプロセッサの処理能力により、将来的なアップデートで動画機能を強化できる余地がある。今後の展開に期待したい。
5)オートフォーカス(要検証)
EOS R6 Mark IIIは100%のAFカバー率を誇るが、α7 VのAFシステムの方が実用的かつ高速・高精度である可能性がある。これは今後の実地テストで確認が必要だ。
6)操作性とその他の特徴
この点は個人の好みによる部分が大きい。EOS R6 Mark IIIはサイズが大きく、持ちやすいと感じる人もいるだろう。一方で、α7 Vのコンパクトさや、4方向に可動するバリアングルモニターを好む声もある。また、バッテリー持ちに関しては、α7 VがEOS R6 Mark IIIを大きく上回っている点も見逃せない。
見解:
このカメラが発表される前は、年間最優秀カメラの称号をEOS R6 Mark IIIに与えるつもりだった。しかし、α7 Vもその座を争う有力候補になった。純粋に写真性能だけを見れば、画質やAF性能でα7 Vがわずかに優れていると感じる。ただし、ハイブリッドな写真・動画機としては、EOS R6 Mark IIIの方がやや魅力的だ。
両者は主要スペック(3300万画素の解像度、優れた4K録画)において非常に接近しており、それぞれが特定分野で強みを持っている。α7 Vは将来的な成長の可能性がより大きいと感じるが、それはソニーがその可能性を認識し、ファームウェアアップデートで新機能を追加する意志があるかどうかにかかっている。
α7 Vはアーキテクチャで有利か
α7 VとEOS R6 Mark IIIはどちらが優れているのかという記事をSonyAlphaRumorsが公開しています。
記事では7つの特徴について解説しており、それぞれα7 VとEOS R6 Mark IIIの有利・不利に言及しています。まとめると、基本的に静止画ではα7 Vが有利であるのに対し、EOS R6 Mark IIIは動画で有利という結論になっていることがわかります。これは、他のレビューでも見られる傾向と同じです。
しかし、ソニーの最も有利な点としては、カメラが新しいアーキテクチャで作成されているというところのようです。
その違いとは、キヤノンは読み出し速度が速いセンサーを搭載しているとしても非積層型であるのに対し、ソニーは部分積層型を採用している点がまずひとつ。もうひとつは、キヤノンがDIGICにDIGICアクセラレーターを搭載しているのに対し、ソニーはAIを統合したイメージプロセッサを搭載していることが挙げられています。
そのため、キヤノンは既存のシステムのまま新しいセンサーや機能を搭載しEOS R6 Mark IIIを開発したのに対し、ソニーはまったく新しいシステムを開発しα7 Vを開発したと指摘しています。そして、ソニーは新アーキテクチャのため伸びしろがあり、このため将来の新ファームで大規模な機能追加が行われる可能性があることを指摘しています。
これはコンピューターのマザーボードとCPUの関係に似ているかもしれません。PCの場合、周辺機器がより速いメモリやSSD、USBの転送速度を実現するために機能を向上させ、次々と新しくなっていきます。また、CPUも新しい機能に対応するために次々と新しくなっていき、古いマザーボードでは最新のCPUが使用できないようなことがあります。
このように、α7 Vは内部が刷新されたカメラである可能性が高く、今後のαシリーズはこのシステムをベースに様々な開発が進んでいく可能性が高いと思われますね。α7 IVの登場から時間がかかったのも、まったく新しいシステムとしてベースから開発してきたからなのかもしれません。
ただ、現時点ではα7 VとEOS R6 Mark IIIに格段の差があるかというとそんなことはなく、いずれも一般的にカメラを趣味とする人には十分な機能を提供していることは間違いないと思います。
さらにレンズの互換性問題について「α7 V サードパーティー製レンズの多くが正常に動作しない可能性??」で詳しくお伝えします。
α7 V 関連情報アーカイブ !
α7 V 最新情報
ソニー 最新情報
α7 V主な仕様
| センサーサイズ | 35mmフルサイズ、部分積層型Exmor RS CMOSセンサー |
| 画素数 | 約3300万画素 |
| センサークリーニング | アンチダスト機能 |
| イメージプロセッサ | BIONZ XR2 |
| 手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 |
| 手ぶれ補正効果 | 中央最大7.5段、周辺最大6.5段 |
| 高速連続撮影 | 電子:最大約30コマ/秒 メカ:最大約10コマ/秒 |
| 動画撮影 | 7Kオーバーサンプリング 4K 60p 4K 120p(APS-Cクロップ) |
| シャッター速度 | 静止画撮影時 (メカシャッター): 1/8000-30 秒、バルブ |
| ISO | 静止画撮影時: ISO 100 – 51200 (拡張: 下限ISO 50、上限ISO 204800) |
| フォーカスポイント | 静止画時:最大759点 (位相差検出方式) 動画時:最大759点 (位相差検出方式) |
| EVF | 0.5型 約369万ドット |
| 背面液晶 | 3.2型4軸マルチアングル液晶モニター 約210万ドット |
| メモリカードスロット | SLOT1: SD (UHS-I/II対応)カード、CFexpress 2 Type Aカード用マルチスロット SLOT2: SD (UHS-I/II対応)カード用スロット |
| サイズ | 約130.3 x 96.4 x 82.4 mm、約130.3 x 96.4 x 72.3 mm |
| 質量 | バッテリー、 メモリーカード含む: 約695 g |



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