Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジは問題にならない
Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジがZ 6IIよりも悪くなっていることに驚いた人も多かったのではないでしょうか?どうやら部分積層型センサーがダイナミックレンジの悪化に影響を与えているようです。しかし、このことは問題にならないという意見もあるようです。
Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジの悪さは(ほとんど)問題にならない
Nikon Z 6IIIのピークダイナミックレンジは、その前モデルであるNikon Z 6IIに追いつくことができていない。その差は些細なものではない。しかし、それがどれほど重要なのか、そしてそれが写真家が古いモデルを選択すべきかどうかを意味することになるのだろうか?
手短に説明すると、Nikon Z 6IIのベースISO(ISO100)でのピークダイナミックレンジは11.26EVで、Nikon Z 6IIIは10.46EVで頭打ちとなる。それはかなりの差で、フルサイズのα7 IV(11.57EV)とAPS-Cのα6700(10.93EV)の差よりも大きい。
PetaPixelは、この問題についてニコンからさらに情報を入手しようと試みたが失敗した。Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジの性能の最も可能性の高い説明は、新たに開発された部分積層型イメージセンサーが原因であるということだ。それが唯一、理にかなっている説明だ。
余談として、Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジはISO800でNikon Z 6IIと同じになるので、ダイナミックレンジの差はベースISOと非常に低いISO設定での画質に影響する。
もちろん新しいセンサーは低ISOでのダイナミックレンジ性能が悪化する原因となる可能性があるが、Nikon Z 6IIIの最もエキサイティングで魅力的な機能の一部も担当している。これには最大ISOの向上、高ISO画質の改善(ここでもEXPEED 7プロセッサが役割を果たしている)、プリキャプチャ機能、大幅に大きなバッファ、高速撮影、オートフォーカス性能の向上、動画性能の大幅な向上などが含まれている。
客観的にはダイナミックレンジが悪化するとカメラは画像の最も暗い部分から最も明るい部分までの色調の値の範囲が相対的に狭くなることを意味する。これは明るさの範囲が広い写真を撮影する写真家、例えば風景写真家にとっては特に重要だ。センサーのダイナミックレンジが悪いと1枚の画像で様々な露出値を捉えることが、より難しくなる。
(中略)
しかし、すべての写真家が画質を何よりも重要視しているわけではない。速度、オートフォーカス性能、動画機能、全体的な撮影体験を重視する人々にとって、Nikon Z 6IIIは明らかに素晴らしい選択肢だ。おそらく2000ドルから3000ドルの価格帯のフルサイズミラーレスとしては、全体で最良の選択肢だ。
(中略)
イメージセンサーのダイナミックレンジは、評価の指標の一つでしかない。それは確かに重要なものだが、それが全てではない。PetaPixelでは、テストしたダイナミックレンジの数値について議論しているが、それには十分な理由があるからだ。それらは常により大きな文脈の中で考慮されなければならない。
Nikon Z 6IIIのピークダイナミックレンジは、前モデルよりも確かに悪い。しかし、ニコンの最新のカメラは優れており、多くの写真家にとって、Nikon Z 6IIよりもはるかに良い選択肢だ。
(中略)
最適な撮影条件でのダイナミックレンジの低下は、基本的に他の全てが優れていることに対する小さい代償だ。他の人々は合理的に異なる意見を持っているかもしれないが、画像品質の一部分だけでNikon Z 6IIIを完全に無視しないことが重要だ。
Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジについてのコラムが掲載されています。上記は一部分のみの引用になりますので、全文は記事元リンクからご覧ください。
さて、Nikon Z 6IIIはNikon Z 6IIよりも悪化していることは、Nikon Z 6IIIが採用した部分積層型センサーに関係があるのではないかとしているようです。そしてNikon Z 6IIよりも悪化しているが、それはごく小さな代償であって、それにより得られる利益のほうが大きく、クラス最高のカメラであるとしています。
記事では、Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジは、ソニーのα9、ライカのM10、LUMIX G9 II、EOS Rなどと同じレベルにあるとしていて、これらのカメラは最高峰ではないが、全てが素晴らしい写真を撮影することができると指摘しています。
上記のダイナミックレンジの比較グラフ(画像タップで拡大します)をみるとわかりますが、Nikon Z 6IIIはISO800ぐらいまではNikon Z 6IIより悪く、ISO800以降になるとデュアルゲインのおかげでNikon Z 6IIと同等となっています。ISO800まではNikon Z 8と同等ですが、ベースISOではNikon Z 8よりも悪い数値となっています。
ISO100までNikon Z 8と同等なら、まったく問題ないように思えますが、ピーク時のダイナミックレンジを重要視する人にとっては問題になる可能性がありそうです。しかし、ほとんどの一般的なカジュアルなユーザやハイアマチュアぐらいまでならほとんど問題にならないのかなとも思いますし、これらの判断は難しいところですね。
記事では、Nikon Z 6IIIはピーク時のダイナミックレンジを失う代わりにその他の様々な性能が手に入るということで、そのトレードオフは許容できるとしていますが、このあたりも人によって変わってくるのかもしれませんね。
(記事元)PetaPixel
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コメント
コメント一覧 (4件)
この件はいろいろなところで盛り上がっていますが、実際に発売されて高速連写(20コマ/秒で14bit RAWを維持)やAF性能や動画での評価が出揃ってくると評価が定まるでしょうね。
ダイナミックレンジに関しては通常の撮影ではZ6Ⅱと比較して
差は分からないと思います。(僅かな差なので)
高感度側のS/N比の劣化がZ6Ⅱと比較して少し悪いかなと思う
程度でしょう。
実際には使用に関して全然問題にならないと思います。
高速処理の恩恵を堪能すれば良いのではと思います。
>Nikon Z 6IIIのダイナミックレンジは、ソニーのα9、ライカのM10、LUMIX G9 II、EOS Rなどと同じレベルにある
なら問題ないのかな実用上・・・
EOS Rは使ってましたけどね、その中では。
ミラーレス初号機としてはよくできているカメラでした。
ことさらダイナミックレンジが悪いとも感じなかったです。
手放しましたけどね、AFが不満で^^;
EOS Rは5D4のセンサーをDIGIC 8で使える比較的安価で造りも良いカメラでしたので、5D4が高くて買えなかった私にはベストな機種で、今でも使っています。
EOS Rの画質が悪いと思ったことはないですし、おそらくZ6IIIもよほど極端な撮影条件でなければ画質が問題になることはないと予想しています。