対中国輸出規制の煽りを食らったニコン
日本、アメリカ、オランダが半導体製造装置の対中輸出規制をすることに合意したと報道されています。そのなかで取り上げられた企業が、オランダのASMLという有力企業やニコンでした。
なぜこれらの企業が取り上げられることになったのでしょうか?
オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLは「半導体露光装置」を製造する世界最大の会社で、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客だ。中国もその中の一人で、中国はASMLを頼りにしてきた。
一方、ASMLは2003年から「液浸露光技術」を用いて発展していったのだが、その基本特許は日本のニコンが持っているために、今般の対中輸出規制に参加する日本の企業は、図表1にある世界第3位の東京エレクトロンとニコンになっている。上位10位に入ってないニコンが対中制裁の企業の中に入ったのは、このためだろう。
特に今般の肝心な規制対象は193nm波長のArf液浸露光装置(DUVの一種)で、ニコンのNSR-S635EとNSR-S622DとASMLの2050i、2000i、1980Di、1970Ciが該当するのでニコンが入った(用語が専門的になるので、ここでは詳細は省略する)。
記事によれば、半導体製造装置のメーカとしては、ニコンは10位以内にも入っていないのに、なぜか制限の対象になっていることを説明しています。
これまでの報道された記事においては、オランダのASMLとニコンが輸出制限を受ける可能性があると指摘されていました。しかし、オランダのASMLは半導体製造装置の売り上げで上位にある企業ですが、ニコンはトップ10にランクインしていない企業です。なぜニコンが制限を受けることになったのでしょうか?
基礎特許を所有していたニコン
記事によれば、ニコンは半導体製造装置のシェアではTOP10にははいっていないものの、オランダのASMLが利用している技術の基本特許をニコンが取得していたり、その技術を利用してニコン自身も半導体製造装置を販売していたので、ニコンも半導体製造装置の輸出制限の対象企業として名指しされてしまったというのが実際のようです。
記事によれば、ニコンのほか、東京エレクトロンも輸出対象の制限にかかるようで、これらの企業としては経営的に多くないかもしれませんが、影響がでる可能性が高そうです。
記事では、ニコンも大きな損失を被る可能性が高いとしているので、経営的にはちょっと心配になりますね。また日本企業が脱中国化するのか、海外の資本関係のない現地法人などを通じて抜け穴を探すのかなど、今後の動向が気になります。
記事は長文で興味深い記事ですので、本記事下部の記事元リンクから全文をどうぞ。
(記事元)https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230129-00334870
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コメント
コメント一覧 (1件)
基礎特許ではなく文中で示されているように基本特許ですね。
企業としては中国に真似されたら、より高機能の装置を開発すれば良いと
考えていると思いますが如何でしょう。
半導体製造装置のトップは米国企業なのでそこが脅かされそうになると
必ずアメリカはちょっかいを出してきますね。
軍事等、その他の最先端技術を持つ企業も同様です。
日本の半導体企業は以前、世界のトップでしたがアメリカに叩きつぶされました。
プラザ合意等ロクな事はしません。
アメリカはあくまで自国の利益優先なのでそこを考える必要もありますね。