フォトキナの終焉は、カメラ市場のヒエラルキーの崩壊を表している。カメラ・写真の世界は、プロカメラマンやプロ向け機材を頂点としたピラミッド構造になっていた。フィルム写真全盛だったころ、写真はまだまだ高度な技術を必要とする難しいものだった。そもそも撮影は、現像してみなければ写っているかどうかも分からない。とてもリスクが高い作業だった。
しかし、デジカメの登場から今日までの進化に加え、写メールからスマートフォンに続くカメラの流れは、決定的に市場を変えてしまった。写真が手軽で身近なものへと「民主化」が進んだ。もはやプロはあこがれの存在ではなくなり、プロ機材も「いつかは手に入れたい」と思うほどの存在でもなくなった。
ライカは、こうしたヒエラルキーの象徴的ブランドともいえる。世界的には、販売台数の8割以上が日本メーカーで占めるデジカメ市場。しかし、ライカというブランドは別格だ。異論は多いだろうが、数あるカメラメーカーの頂点にライカを置くと「座り」が良かった。ライカを生んだのがドイツだ。そのドイツで開かれるカメラの見本市こそ、世界の頂点ともいえるカメラの祭典、という位置づけだったわけだ。
しかし、現地ドイツですら、ライカのブランド力は弱まっている。それ自体知らない若者も増えているという。ライカは、とっくの昔に憧れのブランドではなくなってしまったのだ。
(記事を一部引用しています)
(記事元)https://news.yahoo.co.jp/articles/dd5e17d1f6632485f79526f29ba1ffb8df0003a2
世界的なカメラ展示会が終了
BCNがフォトキナの事実上の終了について解説しています。
ドイツで開催される絵カメラや映像関係の世界で最大の展示会の一つであるフォトキナが、本来予定されていた来年の開催を断念したということが報道されました。来年以降については明言されていないものの、これは事実上のフォトキナの終了だと思われていますし、そのような報道が多くあります。フォトキナの運営元は、これらの報道について反応を示していないようですので、事実上の終了だということで間違いないだろうと思いますね。
フォトキナはドイツで隔年で開催されていたのですが、ある時期から毎年5月に開催することに変更されていました。ですが、日本では毎年2月に、同様に世界最大級レベルの展示会であるCP+が開催されることから、展示内容がほぼ同じになってしまうですとか、これは特に日本メーカに言えることですが、日本からドイツまで行って莫大な資金を投入してブースを設置するメリットがないということもあるようで、ニコン、オリンパスなどはフォトキナへの出展を見送ると声明を出していました。これは新型コロナウィルスの影響が顕著になる前のことです。
その結果、一眼レフではまだまだ存在感のあるニコンや、ドイツの有名メーカであるライカが出展しない展示会に何の意味があるのか?といった声もありましたが、結局は新型コロナウィルスの影響に背中を押されるような形で事実上の終了になってしまいましたね。
カメラ市場の縮小、ライカのブランド力も弱まる
ライカというとカメラを趣味としている人なら、恐らくは誰もがいちどは聞いたことがあるような高級カメラメーカとしての認識があると思います。例えば、LEICA Q2とかは70万円ぐらいもする超高級品です。なので、ライカを所有しているという所有欲をかき立てるような商品でもあるのですが、記事によればドイツですらライカのブランド力が落ちてきているのだそうです。
ブランドと価格の関係ですが、一般的には有名ブランドのほうが、同じような製品を発売していても価格が高めになる傾向があります。ブランドとして有名なので、消費者としては多少高くても安心して購入できるということもあるでしょうし、メーカとしてはブランドとして有名なので多少高くしても売れるという関係になっているのだと思います。
その良い例がドラッグストアなどで販売されている薬で、例えば虫刺されの薬などは、中身がほぼ同じなのに有名メーカの製品の価格は高く、あまり有名でないメーカのジェネリック的な製品は比較的廉価で販売されていたりします。カメラもライカというだけで、ブランド力があるので高めの価格に設定できていたということもあるのでしょうね。
ですが、上記の記事のようにブランド力が、もし弱まっているとしたら、それだけ高い価格を維持するということも難しくなると思います。今後はライカとしてはブランド力をどれだけ高く保てるかが重要になると思いますね。
そして、ニコンはミラーレスはもう無理だから高級な一眼レフに特化してライカのようになればいいという意見もネット上で散見されます。それも一つの手だとは思いますが、上記のようにライカのブランド力が低下し、その競争力が低下して高額な製品が売れなくなってしまうようなことがあるとしたら、同じ路線を仮にニコンが進んだとしても同様の道を辿ってしまうと思いますので、あまり良い方法ではないのかもしれません。
カメラ市場は縮小しているわけですが、スマホにはより高機能なカメラの搭載が求められています。製品としてのカメラの市場は縮小しても、よりキレイに撮影したいという需要が減っているわけではありません。これまでのカメラメーカの見識を活かして、カメラを趣味としている人ではなく、スマホなども含めて撮影を趣味としている人にフォーカスする製品というのが必要なのかもしれませんね。
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コメント
コメント一覧 (19件)
う~ん。
ミラーレスカメラに限ればNikonのブランド力もソニーの台頭で落ちていると思いますよ。特に今の10代-30代はNikonのカメラを持っていても優越感みたいな感覚って無いと思われます(メーカー側が若いユーザーに興味を持ってもらえるような製品展開もしていなかったので)。昔はNikonのカメラを持っていると「すごいだろう」みたいな感覚ってありましたけどソニーの躍進で無くなった感があります。メーカー側がF時代からの年寄りユーザーを大事にし過ぎてレフに固執する限りはSとCの技術開発スピード、それに繋がる製品展開スピードに追い付ついて行けないままでブランド力は落ちる一方でしょうね。なのでレフ専門メーカーとしてニッチ市場で生き残るっていくのも一つの方法と思いますよ。今、年金や配当金でカメラを買っている世代は10年先にはお墓に入って行き需要としては先細りするだけですからね。
ミラーレスを続けたいならばレフはプロ用以外作りませんと株総やホームページで公言するか、CのR5やR6クラスのスペックを持ったミラーレスカメラを発売し「もうレフは新規開発しません」と無言の宣言をすることと思います。
若い人にとって「カメラ」で憧れやブランド力を感じるのは「Apple」でしょうね。
たとい「Leica」のことを知っててもM型は自分とは縁がないものと感じ興味関心もないでしょう。
ただLeicaはHUAWEIスマホと組んでたりして意欲的ですね。
来年の東京オリンピック・・・もし開かれるとしてですよ(個人的には難しいと思ってるけど)。
ズラ〜っと並びますかね報道席にミラーレス。
僕がスポーツカメラマンならやっぱり一眼レフ使うなあ。
メーカー絡みの圧力がなければ^^;
4年後のパリ五輪では?
この当たりで逆転しますかね、レフ機とミラーレス。
それとも半々ぐらいの割合ですかね?
ニコン、パリまでが勝負かな・・・的はずれな話でスミマセンm(__)m
来年の五輪の主流はレフでしょうね。R5 R6はレフのサブ機として使ってもらいスポーツCマンの反応を見てみるつもりなのかもしれません。
スマフォやソニーのカメラメーカーとしての台頭でNikonもCanonもブランド力は低くなっていると思います。今何故ソニーが売れているかと言えば、ブラン力ではなくフルサイズミラーレスカメラと言う未知の商品を発売し、一部レフより劣る面はあるがAF 連射 動画で肉薄または凌駕する機能を持っているからだと思います。
ここにいる人達は想像力がないのか?
数年後の未来しか見れないのか?
もうすぐスチルという概念はなくなるのです。
8k60Pの次の時代はスチルはなくなっています。
編集が大変とかデータ重いとかはPCの飛躍的進化が解決します。
ガラケーからスマホに写っていく進化をみんな見ているはずなんだけどね。
瞬間を狙うのがプロカメラマンだと思ってる人がいるけど、そういう事自体に意味がなくなるのです。
現状、動画切り出しはシャッタースピードの関係で限度は知れています。
fpsが現状のまま止まってると思うのですか?
未来が読めない会社ほど消え去って行きます。
もし未来というなら、AIがCGを描くようになればカメラの撮影行為自体が無くなるんじゃないんでしょうか?
意外とそんなに遠くないと思いますけどね。ビッグデータはかなり蓄積されてきていますから。
>瞬間を狙うのがプロカメラマンだと思ってる人がいるけど、そういう事自体に意味がなくなるのです。
ううむ。
私はそれでも大戦機が好きです、ステルス戦闘機より・・・って、もうすぐ無人戦闘機の時代ですか(^^)
それが分かっているから各社とも動画に力を入れているし、メーカー間の連携もいろいろ模索されるんだろうと思いますけどね。
自動車メーカーが電池会社やICT企業と手を組むみたいに。
いずれにせよ、ここ数年が正念場ですなあニコン。
もともとスチルというのはライカの創業者が映画用フィルムを転用して考え出したもの。
デジタルになって回帰したということです。
数年後には回しっぱなしにしてキャプチャーするという写真論になるでしょう。
その頃には写真、もしくはフォトグラフという名前ではなくなっていると思いますが。
そういう未来が来るときに一眼レフに力を入れるなんてどうかしてます・・・
動画の場合は基本的にfpsに合わせたシャッタースピードですよね(60fpsなら1/60秒)。
動画からの切り出しとスチルってそういったところでも概念が違うと思いますが。
120fps 240fps …..
あっという間に時代は変わっていきます。
想像してください。
8K120fpsやら240fpsなんて10年後でも一般に普及してないことが想像できます。
江戸時代の人に大阪まで2時間半で行けると説得するのは難しい理論・・・・
何も難しいことはないでしょう。
根拠があるなら示せばいいだけのこと。
それもせず「想像しろ」などと投げっぱなしでは話にならない。
日本版ライカを目指すというよりも、ニコンは元々、廉価機を作るのが上手くない。
ニコン1しかり、DLしかり、キーミッションしかり。企業の規模を考えても、高額な路線に舵を切るのは自然です。
ただ、ソニーやオリンパスは一眼レフをもう作れないのですから、一眼レフとミラーレス両にらみで進めるのは当然と思いますね。一眼レフはフルサイズ2機種、APS-C2機種程度に収斂するでしょうが、Dタイプレンズなど古いレンズなどの互換性も問題もあり、一眼レフは辞めないでしょう。
ミラーレスは、瞳AFなど変なギミックを取り入れるよりも、高額性能など画質、操作性、ファインダーの見やすさなど、電気メーカーと違った路線を追求することは正しいと思います。足りないのは、もう少し買いやすく使いやすい機種とレンズを揃えることでしょう。
自分はTVはニュースしか見ず、動画もほとんど見ませんので、動画がスチルにとって代わる世の中は来ないと確信しています。
先月、35-105mmDタイプレンズを落として割ったので買い替えの踏ん切りがつき他社のミラーレスを注文しました。
連投すみません。ニッチに進むなら
完全マニャアル【マニャアル露出 マニャアルフォーカス】のデジタル一眼レフなんて売り出したら面白そうだけどな。年寄りしか買わないかぁ
僕が思うには、単独で商売が成立するのはソニーとキャノンだけです。
二強時代。
パナが新しいフルサイズ用のマウント出したとき、ニコンと共同でZマウントにしたら良かったんですよ。
ニコパナ同盟!
今からだと、富士フィルムと同盟関係を結ぶ。
フジからZマウントのフルサイズ機が出る。
ニコンからGFXみたいな中盤デジタルが出る・・・みたいな。
同盟者を探すしかないと思うけどなあ、生き残りには。