大手メーカーも安泰ではない。特に厳しいのが一眼レフカメラでキヤノンと双璧をなしてきた名門ニコンだ。ニコンは2020年3月期連結決算でデジカメを中心とした映像事業が171億円の営業赤字に初めて転落。好採算の一眼レフや交換レンズの販売が振るわないのが原因だ。
ニコンが厳しいのは市場環境のせいだけではない。縮小するカメラ市場の中でも人気が比較的高かったミラーレスカメラでの出遅れが響いている。小型軽量で高画質の写真が撮れるミラーレスは一眼レフカメラの需要を浸食し続け、2018年には国内出荷台数でついに一眼レフを逆転した。
一眼レフとの食い合いを恐れていたニコンが重い腰をようやく上げ、ミラーレス市場に本格参入したのは2018年のことだった。
だが、時すでに遅し。2019年のミラーレスの生産台数は首位のソニーが165万台に対して、ニコンはわずか28万台。ライバルのキヤノンも94万台を生産しており、ニコンの一人負けは鮮明だ(テクノ・システム・リサーチ調べ)。
ソニー、キヤノンという上位2社に対し、ニコンは6月にようやく一眼レフの最上位新機種「D6」を出したが、ミラーレスカメラでは出遅れが目立つ。損益面でも、2020年3月期と2021年3月期に合計100億円を投じて商品点数の絞り込みや生産拠点の再編、人員削減を進めている。
コロナで加速したデジカメ市場の縮小がこのまま進めば、現状のソニー、キヤノン、ニコンという3強体制は維持できない。現状の構造改革だけでニコンが事業を継続できるのか。オリンパスのカメラ事業撤退を機に、カメラ各社の帰趨が注目されている。
(記事を一部引用しています)
(記事元)https://news.yahoo.co.jp/articles/28373f9dbe86319593ec653a5cfafcb52ce30762?page=1
厳しいカメラ業界
東洋経済ONLINEがカメラ市場の状況について記事にしています。原文はかなり長い文章で、オリンパスやソニーについての記述もありますので、全文は記事元リンクからご覧ください。
記事によれば、カメラ市場の縮小と新型コロナウィルスの影響でカメラ市場はよりいっそう縮小していくとしています。そしてオリンパスは残念ながら映像事業が赤字続きで、カメラ事業からの撤退に前向きでなかった人もいたようですが、撤退を模索するような状況が続いていたようです。そして新型コロナウィルスが、ついにその背中を押してしまったというような状況になっていたようですね。
そしてソニーに関しては早くからミラーレスを投入し、レンズラインナップも拡充、イメージセンサーも関連会社で製造していることから、いまやカメラ市場のリーディングカンパニーになったとしています。
3強体制は維持できないことの衝撃
記事では、このままでは市場が減少し、ニコン、ソニー、キヤノンという3強体制を維持できないとしています。そして、いまの改革ではニコンが映像事業を継続できるのか疑問に感じているようですね。
カメラだけでなく最近は科学技術の発達で、様々な消費行動の変化があり、様々な企業の存続が難しくなっているという側面があります。身近なところでは、少し前までは至る所に家族経営的なガソリンスタンドがあったものですが、それも燃費の向上で需要がかなり少なくなったり、より低価格なセルフスタンドが台頭していて、小さなガソリンスタンドが閉店してしまったり、ガソリンの元売りが合併するような状態になってしまっています。
町の本屋さんなども、最近はネットで専門書を購入できたり、週刊誌的な記事についてもネットで閲覧できるということもあり、小さな町の本屋さんというのはかなり減ってしまっていますよね。
カメラ市場が小さくなると、当然、その市場から得られる利益が減るわけですので、その狭い市場に3社で製品を販売していると、どうしても利益を得られなかったり、赤字になってしまったりすることはあり得ると思いますね。現実にニコンは新型コロナウィルスの影響で2期連続の赤字を覚悟しなければならないというような発言をしています。
ソニーのような世界的な企業は資本的に安心でしょうし、キヤノンも複数の事業で活躍していますので経営的には安心かもしれません。そうすると、映像事業のシェアが高かったニコンが次に業界から撤退するような企業になるかもしれません。恐らくこの記事では、そのようなことを述べたいのだと思いますね。
ニコンは戦略的に比較的廉価なNikon Z 5やそのキットレンズを発売しています。いまはZマウントを広げることが重要だと思いますので、ここ1年ぐらいで発売されるカメラがニコンの将来の命運を担っているということが言えるのかもしれません。
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コメント
コメント一覧 (17件)
ニコンからカメラ事業を取ったら何が残るんだ?
しかしもう、コロナで止めを刺されるかもしれないね・・・
昔はカメラを含め、光学機器の名門と言えば日本光学の時代でした。
かっては国産最大の天体望遠鏡は日本光学製であり、公立施設、学校の据え付け天体型望遠鏡と
言えば日本光学と五藤光学だった。
今は大型望遠鏡は西村製作所、三鷹光機などに取って代わられ国策のような超大型望遠鏡の
光学系はキヤノンになってしまいました。
(補機類の分光器などはニコンが作っていますが)
そういった選ばれた企業でしか作れない物からニコンブランドが消えていった時にニコンは
なんとなく落ちて行っていると思いました。
ちなみに五藤光学はミノルタと共にプラネタリウムの名門企業ですね。
放送局ではソニー、パナソニック、(キヤノンもあるかな)のカメラ、装着されているレンズは
キヤノン、フジノンですしデジタルカメラや双眼鏡あとはメガネレンズでしかニコンブランドを
見る機会がなくなった今、デジタルカメラの衰退と共にニコンは危ないと思われても仕方がないですね。
ミノルタは今、コニカミノルタですね。
三菱系の会社ですから、大丈夫でしょう。
別にカメラだけやってるわけじゃないし。
匿名さん
ニコンは倒産することはないと思います。
財務状況を見る限り自己資本率が非常に高く製造業としては超優良のレベルです。
経済誌は不安を煽って買わせようとするので心配にはなってしまいますが。
ただカメラは機種は絞って行くでしょうね。
レフ機とFマウントレンズの新製品はもう出さないかも知れません。
出すとしても次のD7までではないでしょうか。
これからはZマウントに経営資源を注ぎ多くのユーザーに受け入れられる
ボディとレンズのラインナップを早く構築することですね。
ニコンもこれからは光学屋ではなくイメージング部門の割合を小さくして
産業向け、医療向けを伸ばしていくと思います。
またDMG MORIと提携し工作機械分野にも進出するようです。
D7が出ると思っているなんてお花畑過ぎます!
寧ろ三菱グループであるからこそ危ないんですよ。
三菱というブランド自体が破滅への道を着実に歩み続けてるんだから。
Nikonブランドが再びかつての輝きを放つ可能性は限りなくゼロに近いどころか、もはやいつ消滅しても何の不思議もありません。
三菱グループと言えば三菱自動車がふっと頭に浮かびました
大丈夫という前向きな意見も重要だと思います
GOTOの話題まで出て、旭光学の話題が出てこない所に違和感を感じました。(笑)
ニコンが向かう方向は、今の富士フイルムのラインナップのようなものが正しかったと思う。
Zシリーズのデザイン一つ取っても、ニコンらしくない気がするし、私も食指が出ない。
ニコ1のV2のデザインが受けなかったのを忘れてしまったようだ。
ひょっとして同じデザイナーの仕事か?
それなら、あのダサいデザインにも納得がいく。
Fマウントに代わる新しいマウントに変えたいのだろうが、全く新しいマウントはリスクがあり、キヤノンと同じ手法を使えば良かったのに。
まるで、コンタックスの失敗を再現してるようだ。
Z6買うなら、α7買った方がFマウントレンズも使えるし、幸せになれる気がする。
少なくとも、今のニコンの製品企画担当はユーザー目線が足りないと思う。
他社レンズ付けたら露出計が効かなかったり、露骨に制約あるし、マニア受けするシャッターダイヤルもない。
D5ベースのDf2でも出した方がニコ爺に売れるから目先は何とかなるかも。
若い頃(当然、フィルム時代)には、キャノン、ニコン、ミノルタ、ペンタックス、オリンパスが一眼レフでは大きく(京セラのコンタックスも加えるべきか。。。。。)、コンパクトカメラではそれに加えて、フジ、コニカ、リコーがという感じだったのですが、寂しい限りです。個人的には現在、コンパクトデジカメにおいては、すでに選べる範囲が狭すぎて、嫌になっています。
当然、一眼レフはもっと高く、当時は1メーカーしか持っていなかったですが、新製品比較他でも楽しかった気がします。単に私の偏向部分によるものもあるやもしれませんし(弱小系のメーカーの方が好きかも、現段階ではフルサイズミラーレスを持っていないし、買う予定もないし。。。。)、時代の流れ(技術の流れ)には逆らえないのかもしれませんが、個人的には現状況は寂しい限りです。
toke413さん
昔は東京光学がトプコン、他にはマミヤ、ヤシカ、ペトリ、ミランダなど
様々なメーカーがありましたけれど機械式だったこともあり、どこのカメラでも
フィルムさえ入れれば普通に撮れました。
オートフォーカスでCMOSになってしまった今とは隔世の感がありますね。
toka413さん
ハンドルネームを間違えました。
申し訳ありません。
あの銀座ニコンサロンを閉業したくらいだから、危機的状況なのは間違いない。長年、ニコンサロン運営の怠慢を見過ごしてきたが、危機的状況になってやっとメスを入れた。ここで、なんとか踏ん張れるか注視したい。
所詮、虚像の切り取りの道具としては、大き過ぎるし重いと、思います。フィルム時代だったら、35ミリの大きさ、理解できますが、そのような道具は、お金の稼げるプロに、任せて、
スマホのカメラで十分と、最近思います。
素人考えでもニコンに明るい未来の要素がない。
次の決算時にコロナの影響が現れると思いますが、そのときに何かしらのアナウンスがあるかも・・・
フィルム時代からニコンはマーケティングが下手と言われていましたが、ここ数年その傾向が顕著です。Zシリーズもソニーのミラーレスの後を追っているようなカメラで魅力に欠けます。またZシリーズに関してはマーケットが縮小する中で自社の立ち位置や自社のターゲット顧客層などを分析して製品開発をしているの?とも思えます。またデジタルカメラの心臓部である撮像センサーをライバルであるソニー製(グループ会社)のセンサーを多用してては魅力あるカメラは作れないと思います。現状のマーケットを分析し、APSCサイズから撤退して撮像センサーの研究開発内製に経営資源を集中し購買意欲の湧くカメラを発売して欲しいです。