マイクロフォーサーズは終わったのか?
近年、インターネットでは「一眼レフは終わった」「オリンパスは崩壊した」「マイクロフォーサーズは死んだ」といった見出しが目立っている。特にフルサイズこそが唯一の正解だと信じている人にとって、マイクロフォーサーズは過去の遺物のように語られることが多い。しかし、実際にマイクロフォーサーズユーザーのコミュニティを見てみれば、数百枚もの写真が毎日投稿されており、“死”を否定する根拠に溢れている。
RED35のJimmy Cheng氏は、YouTubeに「マイクロフォーサーズは・・・死んだ」という動画を投稿し、この風潮に一石を投じた。彼は、クライアントが撮影機材に関心を持つことはほとんどなく、マイクロフォーサーズやフルサイズなど複数のフォーマットを使い分けながら撮影していると語る。重要なのは写真そのものであり、使用機材に対する過度な批判は無意味だと指摘している。
パナソニックがフルサイズに注力する姿勢を見せたときには、マイクロフォーサーズからの撤退を懸念する声もあった。しかし、パナソニックは依然としてLUMIX Gシリーズの新製品を投入しており、Lマウント連合の拡充が優先されているだけで、マイクロフォーサーズの開発が止まったわけではない。
物理的な法則から言えば、小型軽量なシステムを求めるのであれば、センサーサイズも小さくなる。マイクロフォーサーズはその点で利点にかなっており、オリンパスやパナソニック、さらには富士フイルムなどが高性能な小型機を提供している。
マイクロフォーサーズは単独企業ではなく、複数メーカーによるコンソーシアムとして構成されている。OMシステムやパナソニックのほか、Blackmagicdesign、Alice Camera、Logitechなどもマイクロフォーサーズ規格に準拠した製品を展開しており、ロボティクスや天体撮影、高速な撮影の分野でも活用されている。
レンズメーカーも豊富で、Sigma、Tamron、Laowa、SLR Magic、Tokina、Kowa、Cosina、Yongnuo、TTArtisanなどがマイクロフォーサーズ用のレンズを供給している。
OMデジタルは2025年にOM-5 Mark IIと新型のOM-3を発表し、レンズ群も刷新している。パナソニックも2024年にLUMIX GH7を投入しており、開発の勢いは衰えていない。
選択の自由を重視するのであれば、マイクロフォーサーズほど柔軟なシステムはないだろう。周囲の意見に惑わされるよりも、自分が何を求めているかを見つめ直すことが大切だ。最高の写真家である必要はない。自分にあった機材で写真を楽しむことこそが本質なのだ。
製品の継続性がカギか
マイクロフォーサーズは終わったわけではないとする記事をAmateurPhotographerが公開しています。
記事では、OMデジタルもパナソニックも製品を発売しているし、参画しているレンズメーカーもレンズを発売しているので、決して消滅するような兆候はないとしています。そして、フルサイズが正解と考えるのではなく、自分に合った選択をする必要があるとしています。
しかし、逆に言うとこのようなコラムが記述されること自体、この筆者がマイクロフォーサーズに対して心配していることの裏返しと言えるのかもしれません。
個人的には、フォーマット(センサーサイズ)の有利不利と製品の継続性を一緒に論じてしまうと、混乱してしまうと思っています。センサーサイズについては、大きなセンサーならば大きなセンサーのメリットとデメリットがあり、小さなセンサーなら小さなセンサーのメリットとデメリットがあり、これは仕方がないことだと思いますね。
しかし、商品の継続性に関しては別の話となりそうです。メーカーが積極的に製品を拡充したり、新製品を発売しないと、マイクロフォーサーズは尻すぼみになってしまうのではないかと考える人が出てきてしまいます。将来が保証できないのであれば、将来的に新レンズを購入できなくなったり、別マウントに移行しなければならないと考える人も増えて、結果的にAPS-Cやフルサイズを検討する人が増えることになると思いますね。
現時点では、記事のようにOMデジタルもパナソニックもマイクロフォーサーズカメラの新製品を投入していますが、以前より新製品投入の勢いが弱くなっていると感じている人も多いのではないでしょうか?このあたりを払拭しないと、心配する人が増え、製品の購入数も少なくなるという負のスパイラルになってしまう可能性も高いのではないかと思いますね。
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