OMデジタルインタビュー
OMデジタルの財務健全性はどうか?
OMデジタルの財務状況は安定しており、今後の成長見通しとも整合している。弊社が1年のうちに3製品を同時に投入するのは、かなり久しぶりのことだ。オリンパス時代のマックには、写真分野における研究開発の停滞により、新製品の投入が限られていた。しかし、JIPによる買収以降は、研究開発に充てる新たな資金が確保され、オリンパスの技術資産とノウハウを維持しながらも、開発体制が強化された。
ブランド名の変更から4~5年が経過した現在、本当の新製品が登場し始めている。例えば、M.Zuiko ED 50-200mm f/2.8 IS PROはOMデジタルが完全に自社設計したレンズであり、ZEROコーティングのバージョン2も含め、OMシステムとしての独自技術が随所に反映されている。
M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PROに関して言えば、マイクロフォーサーズを成功に導いたコンパクトで手頃な価格という理念から、かけ離れすぎているのではないだろうか?
M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PROの市場での評価は非常に高く、価格に対する否定的な意見はほとんど見られない。焦点距離の広さ、開放F値、手振れ補正の機能など、提供される性能に対して価格は妥当であると理解されている。高価格帯であることは事実だが、それは優れた製品に共通する特徴でもあり、すべてのユーザーが手にできるものではないという点も、むしろその希少性を際立たせている。
数年前までは、マイクロフォーサーズのカメラを700ユーロ程度で購入することが可能だった。では、現在のOMシステムのカメラを予算を抑えて導入したいと考える写真愛好家に対して、どのような選択肢があるのか?
現在でもE-M10 Mark IVやE-P7といったカメラは販売されており、展示ブースや店頭で購入が可能だ。また、500~600ユーロの価格帯に対する需要が再び強まっている。高度な技術の一部を省略することになっても、写真撮影を始めたいというニーズが根強く、ユーザーはそのための妥協を受け入れている。この傾向はOM-5 Mark IIやE-M10 Mark IVの人気にも現れている。
現在では、OMシステムの製品は大きく分けて二つのユーザー層に支持されている。一方はOM-1やOM-3のような高性能モデルを求める層、もう一方はOM-5やE-M10のような、シンプルさと手頃さを重視する層である。これらのエントリークラスが支持される理由は、直感的な操作性と高い汎用性にある。ユーザーは自分のペースでステップアップできる点を評価しており、最初から複雑なカメラに投資することなく、必要に応じてレンズを交換しながら写真技術を磨いている点が魅力となっている。
予算を大幅に超過することなく高品質なレンズを使用したい写真家にとって、マイクロフォーサーズはまだ比較的優位な立場にあるのか?
マイクロフォーサーズは予算を抑えつつ、高品質なレンズを揃えたい写真愛好家にとって、依然として比較的優位性があるフォーマットだ。特に中古市場における価格設定は魅力的で、手頃な価格で高性能なレンズにアクセスすることができるチャンスとなっている。例えば、M.Zuiko Digital ED 45mm f/1.8やM.Zuiko Digital ED 30mm f/3.5 Macroなど、キットレンズから一歩踏み出して焦点距離の選択肢があり、機材の拡張を無理せずに行うことができる。
また、マイクロフォーサーズは他社のシステムと比較しても、レンズ価格が全体的に抑えられている点が特徴だ。例えば、M.Zuiko ED 50-200mm f/2.8 IS PROは3499ユーロで購入が可能ながら、実質的に100-400mm f/2.8相当の手振れ補正付き望遠レンズとして世界唯一の存在であり、コストパフォーマンスは群を抜いている。
同様に、M.Zuiko Digital ED 300mm f/4 IS PROは600mm f/4相当の画角を2549ユーロで実現しており、他社に類似製品が存在しないという点でも、マイクロフォーサーズの競争力を裏付けている。
OMデジタルは分社化後の開発体制を強化
OMデジタルへのインタビュー記事をPhotorendが伝えています。上記は一部を引用したものになりますので、全文は本記事下部の記事元リンクからご覧ください。
インタビューでは、OMデジタルという会社の財務の健全性に関する質問から、これまでの製品開発の状況や、マイクロフォーサーズというマウントに対するOMデジタルの考え方に関する質問がされています。
このことから、質問者がOMデジタルの経営状況と今後の製品展開、マイクロフォーサーズの将来について疑問を感じている様子が感じ取れます。
個人的に非常に興味深かったのは、OMデジタルが研究開発の資金に関しては問題がないことと、オリンパスから分社化して、ようやく自分自身で様々な製品を開発し、発売することができるようになったことを説明していることです。
ここからは完全に想像になりますが、分社化したときに様々な研究開発者などがオリンパスに移籍してしまい、開発に関する人的なリソースがかなり限られていた可能性も考えられそうです。これまで多くのメーカーは4年サイクルで新モデルを投入していたわけですが、OMデジタルにとっては分社化して、ようやく自前の様々な製品を発売する状況が整ったと言えるのかもしれません。
もしそうだとすると、今後は今人気のある小型なミラーレスカメラとしてPENシリーズの登場などが期待できるかもしれませんので、ここしばらくはOMデジタルから目が離せない状況が続きそうですね。
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