ニコン 28mm f/2.0の特許 レンズと樹脂層のハイブリッドレンズ採用

レンズのイメージ画像

ニコンの広角レンズの特許

公開日 2022-04-11
出願日 2020-09-30

■ 実施例1

焦点距離 28.819mm
f値 2.867
半画角 37.317度
像高 21.700mm
全長 50.000mm
バックフォーカス 0.860mm
バックフォーカス(空気換算距離) 11.955mm

■ 実施例2

焦点距離 28.805mm
f値 2.067
半画角 37.270度
像高 21.700mm
全長 59.500mm
バックフォーカス 0.800mm
バックフォーカス(空気換算距離) 11.855mm

(当サイトの解釈です)

レンズ特許

IP Force

ニコンが広角レンズの特許を出願していることが明らかになりました。いくつかの実施例があるのですが、その中から性質の異なる二つの実施例を引用してみました。

これらのレンズは、どちらも28mmレンズの特許なのですが、開放f値が異なり実施例1ではf/2.8で、実施例2ではf/2.0となっています。そして、像高はそれぞれフルサイズセンサーの像高ですし、バックフォーカスも短いので、少なくとも一眼レフ用のレンズでないことは明らかです。

特許の内容をまとめると、実施例1は28mm f/2.8、実施例2は28mm f/2.0というレンズになります。

どのようなレンズなのか?

この特許の内容をみてみると、面白い記述がありました。それがこれです。

【0130】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズL11と、正レンズL12とから構成される。正レンズL12は、ガラス製レンズ本体の像側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像側の面が非球面であり、正レンズL12は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号3がレンズ本体の物体側の面、面番号4がレンズ本体の像側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号5が樹脂層の像側の面を示す。

この記述をみると、構成するレンズの一部にレンズと樹脂を接合させたハイブリッドレンズが採用されていることがわかります。いままでニコンのレンズで、樹脂のハイブリッドレンズが採用された事例は記憶にないのですが、もしかしたらこれか初めてかもしれません。

ちなみにソニーにもSEL28F20があり、こちらは全長が60mmで価格は7万1500円となっています。なので今回の特許のf/2.0のほうと比較すると全長的にはほぼ同じで、特段小型化しているわけではないように思えます。

ではどんなレンズなのかというと、レンズ構成図を見る限りは、すでにニコンが発売している28mm f/2.8と非常に近いです。

レンズ特許

ニコンWebサイトより

 

どうでしょうか?ほぼ同じにみえませんか?そうすると、これはやっぱりNIKKOR Z 28mm f/2.8の特許なのでしょうか。そうするとNIKKOR Z 28mm f/2.8の非球面レンズの1つには樹脂層があるレンズを採用していることになります。

NIKKOR Z 28mm f/2.8の仕様をみると、このレンズには、ニコンスーパーインテグレーテッドコーティングというレンズコーティングが採用されているということですので、ひょっとしたら、この樹脂層というのは、このニコンスーパーインテグレーテッドコーティングのことを意味しているのかもしれません。このコーティングは以下のようなものだそうです。

ニコンが独自に開発した多層膜コーティング
ニコンが独自に開発した、広い波長域で高い透過率を実現する多層膜レンズコーティングです。レンズ構成枚数の多いズームレンズでも逆光時等のフレアやゴーストを軽減し、高コントラスト、豊かな階調表現が可能。カラーバランス、色再現性に優れ、赤外線写真など特殊用途における光学性能も向上させています。また、デジタルカメラ特有の現象である撮像素子からの内面反射によって発生するフレアやゴーストも抑制します。F マウントレンズ、Z マウントレンズの現行ラインアップ全てに採用されています。

ニコンWebサイト

そうすると、他のレンズにも採用されているはずで、たぶん特許を詳細に読んでいなかっただけで、他のレンズ特許にも、同じような記述があったのかもしれません。

しかし、コーティングをしたものをハイブリッドレンズというのに違和感を感じるのも事実です。実際にはこの特許はNIKKOR Z 28mm f/2.8とは別の可能性もありますが、どうなのでしょうか。特許も見てみると非常に興味深いですね。

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「ニコン 28mm f/2.0の特許 レンズと樹脂層のハイブリッドレンズ採用」への2件のフィードバック

  1. これはレプリカ非球面レンズと呼ばれる物ですね。
    ガラスレンズの片面にプラスチック層を設けそこに
    型で非球面を作成するという物です。
    非球面レンズの作り方は4種類あってそのうちの
    一つです。
    当該レンズと特許に記載されている光学レンズの
    組み合わせで小型にしたという事のようです。

  2. 路傍のカメラ好き

    レプリカ非球面レンズ、ニコンの呼び方では「複合型非球面レンズ」というものですね。
    https://www.nikon-image.com/products/nikkor/about/technology.html#as

    ↑だと2種類ですが、キヤノンの非球面レンズ50周年特設ページに4種類の工程や違いがあってわかりやすいです。
    研削>GMo>レプリカ>PMoの順で性能とコストが高いんでしょうか。
    https://global.canon/ja/c-museum/special/exhibition1.html

    見比べると、ニコンが68年に製品化、キヤノンが69年に試作→71年に製品化、とバチバチやってたのが窺えて面白いです。
    PMoはキヤノンが先だったようですが、ニコン側の情報が出てこないのはそもそも使っていないからですかね? 求める画質に達しないのかもしれません。

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