Nikon ZR開発秘話
Nikon ZRは2024年にREDを買収する以前から数年間にわたり開発が進められていた。それでもニコンはこの新たに得た資産を活用してカメラを強化し、当初の構想よりもはるかに高性能かつ多用途なカメラに仕上げた。
先月、アムステルダムで開催されたIBCでのインタビューで、ニコンの映像事業部門の上級執行副社長兼ゼネラルマネージャーは、Nikon ZRがREDの買収前から開発されていたことを説明した。
買収前から映画的表現を目指すクリエイター市場への参入を意図して、プロトタイプの開発を始めていた。
Nikon ZRのサイズやデザインをみると、ターゲット層の影響は明らかだ。ソニーのZV-E1やEOS R50 Vといった同じセグメントの他のカメラと比較すると、Nikon ZRの価格設定や機能構成は納得のいくものだ。REDの技術が搭載されていなくても、この分野で十分に競争力のある製品だっただろう。実際、Nikon ZRはZV-E1の優れた代替機となり得たはずだったが、ニコンはさらに大きな野心を抱いていた。
REDを買収した直後から、技術的交流を全速力で開始し、互いの強みを活かして、例えばZマウント版のREDを開発した。これは2月に発表され、Z CINEMAシリーズの立ち上げにつながった。Nikon ZRもそのシネマシリーズの製品の一つであり、R3D NEや映画業界の専門知識をタイムリーに導入することができた。その結果、REDのプロフェッショナル撮影においてBカメラやCカメラとして使用可能になった。
ニコンがREDの技術資産を導入したことで、Nikon ZRの最終設計段階はクリエイター向けの競争力のあるカメラから、プロフェッショナルな映画制作にも対応できるカメラへと進化した。
特筆すべきは、ニコンが技術を追加で搭載したにも関わらず、価格戦略を変更していない点だ。その結果、低価格帯のクリエイター向けのZV-E1と同じ価格帯に収まりながら、FX3やFX2といったシネマカメラと肩を並べる性能を実現している。
ニコンはより多くの人が体験できるような価格設定を目指してカメラを設計していると述べており、Nikon ZRはその企業文化の証とも言える。価格を引き上げるだけの理由も機会も十分にあったにもかかわらず、それをしなかったのだ。
Nikon ZRはRED提携前から計画されていた
ニコンへのインタビュー記事をPetaPixelが伝えています。
インタビューによれば、ニコンはREDの買収前からNikon ZRのベースとなるカメラを開発していて、それを発売しようとしていたようです。そしてRED買収後にニコンは全力でREDの技術を学習し、Nikon ZRに反映させていたことようです。
しかもNikon ZRにREDの機能を搭載しても計画していたとおり価格は据え置きということなので驚きますね。
もしNikon ZRにREDの機能が搭載されていなかったとすると、単純にNikon Z6IIIのEVF無しバージョンになっていたり、Nikon Z30のフルサイズ機のようになっていたと考えると、REDの機能を搭載されたことは素晴らしいなと思います。
Nikon ZRの最新情報!
ニコン関連情報
Nikon ZRとNikon Z6IIIの仕様の違い
Nikon ZR | Nikon Z6III | |
センサー | フルサイズCMOSセンサー | ← |
センサータイプ | 部分積層型 | ← |
有効画素 | 2450万画素 | ← |
手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 | ← |
記録画素数(最大) | 6048×4032ピクセル(サイズL:24.4M) | ← |
RAW | RAW14ビット(ロスレス圧縮、高効率★、高効率) | ← |
記録媒体 | CFexpress(Type B)、XQD、microSD | CFexpress(Type B)、XQD、SD |
EVF | - | 0.5インチ546万ドット |
シャッター | 電子シャッター | メカ、電子先幕、電子 |
電子シャッター速度 | 1/16000~30秒 | ← |
フラッシュ同調 | 1/60秒以下の低速シャッタースピードで同調 | 1/200秒以下 |
電子シャッター連続撮影速度 | ・低速連続撮影:約1~7コマ/秒 ・高速連続撮影:約16コマ/秒 ・高速連続撮影(拡張):約20コマ/秒 | ← |
測光範囲 | -4~17EV | ← |
ISO感度 | ISO 100~64000 | ← |
AF検出範囲 | -10~19EV | ← |
フォーカスポイント | 273点(シングルポイントAF時) 299点(オートエリアAF時) | ← |
動画ファイル形式 | NEV、R3D、MOV、MP4 | NEV、MOV、MP4 |
R3D NE | 対応 | - |
REDWideGamutRGB | 対応 | - |
Log3G10 | 対応 | - |
シネマティック動画モード | 対応 | - |
パッシブサーマル設計 | 対応 | - |
音声記録方式 | リニアPCM(48kHz 24bit/32bit float) | リニアPCM(48kHz 24bit) |
RECランプ | 対応 | - |
液晶 | バリアングル式4.0型TFT 307万ドット | バリアングル式8cm/3.2型 210万ドット |
シュー | デジタルアクセサリシュー | アクセサリシュー |
バッテリー | EN-EL15c | ← |
撮影可能コマ数(最大) | 約370コマ | 約410コマ |
寸法(幅×高さ×奥行き) | 約134×80.5×49mm | 約138.5×101.5×74mm |
質量(本体のみ) | 約540g | 約670g |
直販価格 | 29万9200円 | 39万6000円 |
コメント
コメント一覧 (2件)
REDのRAWをEXPEED7で処理できる形に開発するところで苦労しているように思われます。本体設計はR3D NE RAWでもN-RAWでも転送量がほぼ同じなら発熱量もさほど変わらないので、ハードウェアとしての変更点もREDが開発に加わったところでほぼ無かったのでしょう。
Z6IIIは2024年7月発売なので、Z6III企画立ち上げと共に同エンジン・センサーを用いた動画特化のカメラも計画していたのならRED買収前から動いていたのもうなずけます。発売時期が異なるのは単にマーケティングの問題が一番大きいとは思いますが、やはりRAW形式や新LUTの開発部分でしょうか。
半分は本当なんだろうけど、半分は嘘臭い気もする
カメラの開発には2年掛かるみたいだから、1年半前にREDを買収する前からとも言えないこともないが、実質的にはRED買収してから急激に進んだのでは?
しかも買収の半年前には買収自体はニコンは決めてただろうし、後は条件折衝してただけで
そうするとRED買収が前提条件で開発進めてただろうな