EOS R登場前からRFマウントを開発
まず、ミラーレス市場でソニーに遅れをとっていたことで、何か利点はあったのか尋ねた。時間をかけて追いつくことで、EOS Rシリーズに活かせた要素があったのか、そしてそれが新しいミラーレス時代に入る際に役立ったのかを知りたかった。「その遅れがキヤノンにとって将来を見据える機会になったのでは?」
「フルサイズミラーレス市場に参入したのは2018年だった。その時点で確かにソニーに遅れをとっていた」と語るのは、IMGビジネスユニット1の統括責任者だ。
キヤノンの幹部が準備不足を認めたことは、これが初めてかもしれない。これまでは、キヤノンの強みは一眼レフのシステムにあり、ミラーレスは適切なタイミングで市場に投入するという方針を語っていた。
「現在では、EOS R1からEOS R100までのラインナップが揃っており、レンズも60本以上ある。今では彼らに遅れをとっているとは感じていない」と続けた。
最も驚いたのは、EFマウントの開発を終了したことについての回答だった。EFマウントは20年以上にわたりキヤノンの標準マウントだったが、ミラーレスへの移行に伴いRFマウントへと切り替わった。
「EFマウントをRFマウントへと進化させることで、大口径、ショートバックフォーカス、高速通信といった利点を得ることができた。これらが新しい可能性を開いたので、我々はそれをチャンスだと捉えた」
「EFマウントではできなかったことを学んで、それをミラーレスカメラで実現する機会になったということか?」と筆者が尋ねると、驚きの答えが返ってきた。
「最終的にEFマウントでは達成できないことがあると気がついた。その種をまいていたところにミラーレス時代が到来し、チャンスが現実のものになった」
キヤノンがミラーレスの登場前からRFマウントの開発を進めていたと明言したのは、これが初めてだと思う。もしミラーレスカメラが主流にならなかったとしても、RFマウントへの移行は一眼レフでも進んでいた可能性がある。
EFマウントで実現できないことに気がついた
キヤノンへのインタビュー記事をimaging-resourceが伝えています。上記は一部を引用したものになりますので、全文は本記事下部の記事元リンクからご覧ください。
キヤノン幹部へのインタビューから、ミラーレス市場への参入とRFマウント開発に関する興味深い発言がありましたので紹介します。特に、EFマウントからRFマウントへの移行に至る背景や、ソニーとのミラーレス市場への参入のタイミングの差について、これまで語られてこなかった視点が明らかになりました。
まず、フルサイズミラーレス市場への参入が2018年だったことについて、IMGビジネスユニット1の統括責任者は「その時点で確かにソニーに遅れをとっていた」と率直に認めています。ただし、これは当然とも言える状況です。レンズとカメラを同時に、しかも一気に揃えて発表するのは現実的ではなく、どのメーカーも段階的に展開せざるを得ません。ソニーが先行していた以上、後発のキヤノンが「遅れている」ように見えるのは自然なことです。
しかし遅れをとっていたことをキヤノンが認めた、その当時に理解していたということがわかったのは重要であるかもしれません。その当時はキヤノンの焦りのようなものがあったのではないかと感じさせられます。とはいえ、現在ではEOS R1からR100までのラインナップが揃い、RFレンズも60本以上を展開。「今では彼らに遅れをとっているとは感じていない」との言葉からは、現在の自信がうかがえます。
注目すべきは、EFマウントからRFマウントへの移行についての発言です。EFマウントは20年以上にわたりキヤノンの標準マウントでしたが、ミラーレスへの移行に伴いRFマウントへと切り替えられました。
「EFマウントをRFマウントへと進化させることで、大口径、ショートバックフォーカス、高速通信といった利点を得ることができた。これらが新しい可能性を開いたので、我々はそれをチャンスだと捉えた」と語る幹部の言葉からは、RFマウントの技術的優位性が強調されていることがわかります。
さらに筆者が「EFマウントではできなかったことを学んで、それをミラーレスカメラで実現する機会になったということか?」と尋ねると、「最終的にEFマウントでは達成できないことがあると気がついた。その種をまいていたところにミラーレス時代が到来し、チャンスが現実のものになった」との答えが返ってきました。
記事ではミラーレスの登場前からRFマウントの開発をしていたという記述があります。インタビュー内容をすべて記述されているわけではないので正確にどのような発言かは不明です。しかし、ミラーレスカメラを発売する前にRFマウントを開発していたのは当然といえば当然ですので、どういう意味なのかよくわかりません。
そのため流れはよくわかりませんが、キヤノンが当初はEFマウントのままで新しい技術を展開しようとしていた可能性があったか、新マウントを研究開発していた可能性があるのかもしれません。つまり、RFマウントはミラーレス専用として後から急遽立ち上げたものではなく、EFの限界を見据えた上で、より柔軟な設計を可能にする新マウントとして準備されていたという可能性です。ミラーレスが主流にならなかったとしても、RFマウントで実現した機能の採用は一眼レフの延長線上で進んでいた可能性があるのかもしれません。
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