Nikon Z 7II/Z 6IIの動画の仕様について
昨日、Nikon Z 7IIが発表されました。Nikon Z 7のマイナーチェンジという感じですが、Z 7の欠点を改良して、より優れたカメラになり弱点がなくなっている一方、革新的なアップデートがなかったことから保守的すぎるのでは?とか、これでは他社から話されるばかりだといった意見も聞かれています。
個人的にはZシリーズの動画性能が気になっているのですが、Nikon Z 7IIの動画性能が仕様ではあまりよくわからないので、ちょっと考えてみることにしました。
まずはスペックシートからわかることを記述してみます。
Z 7IIの動画機能
・3840×2160(4K UHD):60p/50p/30p/25p/24p
・1920×1080:120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p(引用)https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_7_2/spec.html
このことからZ 7IIでは、4k 60pの録画機能があることがわかります。
ちなみにZ 6IIでは以下のようになっています。
Z 6IIの録画機能
・3840×2160(4K UHD):30p/25p/24p
・1920×1080:120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p(引用)https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_6_2/spec.html
これをみると、Z 6IIでは4k 60pには対応していないことがわかりますね。ここで押さえておきたいことは、Z 6IIでは4k 60pには対応していないということです。
Z 6IIのクロップファクターの有無
一般的に最近のイメージセンサーの画素数は4k解像度より遙かにピクセル数が多いので、そのピクセル数から4k解像度に落とし込む必要がありましす。中にはセンサーの中央部分、4k解像度の生成に必要なピクセルだけ抜き出して(クロップして)実現する方法があります。ですが、クロップはフルサイズとAPS-Cとの兼ね合いと同様に、画角が変わってしまうため一般的には好まれません。そのためイメージセンサーの全画素を利用して4k解像度へダウンサンプリングする手法が好まれています。
それでは、Z 7IIとZ 6IIはクロップファクターがあるのでしょうか?
まずはZ 6IIをみてみます。Z 6IIの動画に関する説明として以下のような記述があります。
4K UHD/30p※動画を[FXベースの動画フォーマット]フルフレームで撮影できます。4K UHD動画は全画素読み出しによる豊富な情報を活用。画像処理エンジンの働きで解像感の高い画づくりを実現しています。4K UHD、フルHDともに、「アクティブD-ライティング」、「電子手ブレ補正」、「フォーカスピーキング」も使用できます。
カメラのファームアップで[DXベースの動画フォーマット]の4K UHD 60p/50pに対応予定。
(引用)https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_6_2/features03.html
このことから、Nikon Z 6IIでは、「全画素読み出しによる豊富な情報を活用」とあることから、4k 30pの動画については全画素読みだしで、恐らくダウンサンプリングして画素数を減らして実現していると思われます。より多くの画素から4k解像度に落とし込むことになりますので、より高画質な4k 30pの動画の撮影が可能になるようです。
そして、将来のファームアップではDXベース動画フォーマットの4k 60pが可能になるとしています。この場合は、DXフォーマットのサイズLである3936×2624ピクセルからのダウンサンプリングになるのだと思われます。たぶんFXフォーマットからのダウンサンプリングですと、イメージプロセッサの能力が足りない、または発熱の問題などがあって不可能なのでしょうね。そのため、Nikon Z 6IIでは中央クロップされたDXフォーマットからのダウンサンプリングということになり、クロップファクターが生じることになります。
ただし、4k 30pではイメージセンサーの全画素読み出しになりますので、他社でいう4k 30p HQモードということになると思いますので高画質ということになるのかもしれません。
Z 6iiの4k動画のまとめ
・4k 30pは全画素読み出しなのでクロップ無し
・将来的に1.7倍クロップ(DXフォーマット)での4k 60pに対応予定
Z 7IIのクロップファクターの有無
それでは、Nikon Z 7IIではどうでしょうか?Z 7IIの動画に関する説明としては以下のような記述があります。
4K UHD/30p動画を[FXベースの動画フォーマット]フルフレームで撮影可能。画像処理エンジンの働きで解像感の高い画づくりを実現しています。さらに、 [DXベースの動画フォーマット]時には、撮像素子からの全画素読み出しによる豊富な情報を活用した、高品位な映像が得られます。4K UHD 60p/50pでの撮影も可能です。また、4K UHD、フルHDともに、「アクティブD-ライティング」、「電子手ブレ補正」、「フォーカスピーキング」も使用できます。
4K UHD 60p/50p時の注意点
撮像範囲設定は[FXベースの動画フォーマット]に固定されます。ただし、実際の画角は、3840×2160 30p、3840×2160 25p、3840×2160 24pで撮像範囲を[FXベースの動画フォーマット]に設定した場合の約93%になります。
(引用)https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_7_2/features04.html
この記述がちょっとわかりにくいですね。これをちょっと流し読みすると、DXベースの動画フォーマットでしか4k 60p/50pの動画しか撮影できないように見えるので、4k 60pにはクロップファクターがあるようにも見えます。
ですが、その後の注意点として4k 60p/50pの撮影時にはFXベースの動画フォーマットに固定されるということですので、4k 60p/50pの撮影はFXベースで読み出しが可能ということになりますので、クロップファクターはほぼ1に近いということになりますね。
ここで4k 60p/50pでの実際の画角が約93%になるということが気になります。FXフォーマット、DXフォーマット、そして4k動画の解像度について、Nikon Z 7IIでの撮影範囲をイメージ化したものが以下のような画像になります。画像クリックで拡大します。
上記の画像は、白色の面積がFXフォーマットのサイズSのピクセル数です。赤色がDXフォーマットサイズSのピクセル数です。これらは、恐らく、縦横それぞれ2ピクセルの計4ピクセルを大きな1ピクセルとして利用しているピクセルビニングになっています。そこに4k動画の解像度をあわせると上記の青色の部分の面積になります。
FXフォーマットは縦横3:2の比率で、4kは16:9なので縦方向でクロップされるのは仕方がありません。が、横方向のクロップの有無が問題になります。
上記の仕様の説明では、93%のクロップになると説明しています。FXフォーマットの横のピクセル数が4128ピクセルですので、これに0.93を乗じると3839ピクセルになり、これは4k解像度の3840とほぼ一致します。なので、恐らくですがZ 7IIのセンサーをピクセルビニングして中央部分だけ抜き出したものが4k 60pになっているものと思います。
と考えると、以前の輸入規制であった30分未満の動画撮影しかできませんが、Nikon Z 7IIでは若干のクロップがあるものの、普通に全画素読み出し(でもダウンサンプリングでなくピクセルビニング)が実現されているということが言えそうです。とりあえず発熱の問題もないと思われますので、Z 7IIに関しては動画性能もそこそこなのかな?という印象を感じています。
では、4k 30pではどうなるのでしょうか?上記で引用した内容では、「ただし、実際の画角は、3840×2160 30p、3840×2160 25p、3840×2160 24pで撮像範囲を[FXベースの動画フォーマット]に設定した場合の約93%になります。」という記述があることから、4k 60pが4k 30pの約93%になると読めます。ということは、4k 30pまでの解像度については、全画素読み出しのダウンサンプリングである可能性が高いと思われますね。いわゆる、これも他社で言うところの4k 30pのHQモードということになりそうです。
Z 7IIの4k動画のまとめ
・4k 60pはピクセルビニング(たぶん)による中央クロップ(約1.07倍のクロップファクター)
・4k 30pは全画素読み出しによるダウンサンプリング?
と、記述しましたが、あまり動画に関しては詳しくないので、間違いがあったら指摘していただけるとうれしいです。
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コメント
コメント一覧 (11件)
あとでガッカリするから夢は見ない方がいい。
30分制限まわりの動きについては1年半ほど前の小寺信良氏による「どうなる?デジカメ動画の”30分制限”。」で、ITAについてもかなり詳しく追われております。
ニュース当時から時間経過しており、公式でクリエイター向けとして謳うならば制限すべて撤廃を商品戦略として前面に出す事も現在では可能となっています。
このリミットは関税などの都合というよりも、クリエイター・業務向け製品の商品戦略ではパナソニックのDC-S1/DC-S1Hの流儀に近いものと思われます。
つまり、連続動作による消費電力、放熱、バッテリー等の線引きで適したラインがちょうど30分あたり、という場合です。
S1シリーズの流れを汲み、第二世代に入ったLUMIX S5でも4K30p/FHD時間制限なし・4K60p 30分としており、エンジンの省電力化や放熱処理についても言及されています。
このようにミドルレンジ以下まで下がって見ても、連続撮影時間で政治的制約を理由とするには薄い状況にあります。
設計上の都合であればEOS R5の場合と同様ファームアップによる記録時間延長は難しく、現在の仕様がハードウェア的なほぼ確定のリリースです。
もし更なる動画性能の向上を図るとするなら、S1H相当にあたり新エンジンでZ8が出るのでしょうか…?
>そのためイメージセンサーの全画素を利用して4k解像度へダウンサンプリングする手法が好まれています。
これって全画素が2400万画素でそこから4Kの800万画素にするというSonyがやっていることを指しているんですかね?だとしたらダウンサンプリングじゃなくてオーバーサンプリングだと思います。
主さんの言いたいことはわかるだろ?いちいち突っ込むなよ。
今更だけど
「出力のサンプリング数よりも多いサンプリング数で中間処理をすることで、より高品質な結果を得る手法」がオーバーサンプリング
「より多いサンプリング数から小さいサンプリング数に減らす信号処理」がダウンサンプリング
だから、この使い方だとダウンサンプリングの方が正しい。
以下、追記となります
因みにS1、S5いずれも60p時はAPS-Cまでクロップが発生します。
60pで当機と同等のx1.09クロップが発生するS1Rは、約15分で放熱のため連続記録をストップするようです。
他社に先駈けた実装でありましたが、熱問題、やはり大きいみたいです。
4K6K8Kは処理性能の案配的な意味で30分の壁、思ったより高いかもしれません。
事前目標が明確であったなら、今はこれで絶妙にバランスのとれた精一杯のハイレベルに追い詰めてあると思います。
恐らく、ここから先となるとほぼ間違いなく他の新型機の様にベースから見直しに繋がり、広範な再設計と開発の追い銭になるギリギリです。
なぜ、ムービー(動画)とスチール(静止画)が混濁したカメラばかり作り続けるのですか?ムービーしか撮らない人にはもっと格安にスチール機能を除去したムービー専用機を出せば良い、逆にスチールしか撮らない人は、全くムービー機能を無用の長物と思いながらも使っているのが現状でしょう。ムービーについて後追いを続けるくらいなら、潔くスチール専用のZを発売すべきではないでしょうか
ムービー専用ビデオカメラもスチル専用カメラも売れないので両方入りを作っています。 by カメラメーカー
スチルという概念はもうすぐ消えていきます。
スチルは動画の一部という考え方ですね。
8K 60Pが一般的になれば特殊用途を除き静止画を撮るスタイルは消えていくでしょう。
今は、信じられないかもしれなけどそんなのあっという間に変わっていきます。
ボディの値段は時間と数が解決してくれます
IT技術というものはそういうものです。
へぇ~。スチルの考え方が動画を切り取った画像がスチルになるんですかぁ。何か頭が付いて行けなくなっている。
スチルに拘る人はフィルムで撮れば良いのでは?カメラに動画機能があれば使ってみたくなると言うものです。
三流メーカーの進歩のないセンサー使ってるうちは仕方ない