Nikon Z 9の手振れ補正システム
先日発表されたNikon Z 9ですが、そのなかで手振れ補正に関する気になる記述がありました。その内容が以下の文章です。
最大6.0段※1の手ブレ補正効果で手持ち撮影をアシスト【NEW】
Z 9では手ブレ補正が進化。5軸補正のボディー内センサーシフト方式VRと、2軸補正のレンズシフト方式VRが連動し(シンクロVR)※2、最大6.0段※1の補正効果を発揮します。手ブレが気になる望遠撮影や低速シャッタースピードでの静止画撮影、動画撮影の手ブレの影響も、より効果的に補正できます。
※1 CIPA 規格準拠、 NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S (望遠端、NORMALモード) 使用時。
※2 NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S 、NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S、NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sが対応(2021年10月現在)。NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S を使用時にはファームアップが必要です。
これを読むと特定レンズのみ、ボディ内手振れ補正とレンズ内手振れ補正が連動して手振れ補正が動作するというようなことが記述されています。しかも新しい機能ということで「NEW」マーク付きです。
これがどのような手振れ補正なのかは、この文章からは具体的にはわからないのですが、ひょっとしたらボディとレンズの手振れ補正機能が協調して動作する新しいボディ内手振れ補正システムを搭載したのではないのかな?と思いました。
現在のボディ内手振れ補正の多くは5軸の手振れ補正に対応しているカメラがほとんどです。その内訳が、シフトブレ(上下左右の2軸)、角度ブレ(上下左右の2軸)、回転ブレ(1軸)の合計5軸です。それぞれ説明すると長くなるので割愛しますが、そういう「手振れ」があると理解するとわかりやすいと思います。
このうち、角度ブレに関してはレンズ内手振れ補正のほうが効果が高いので、レンズ内手振れ補正があるレンズを装着した場合には、シフトブレ、回転ブレをボディ内手振れ補正が担当し、角度ブレをレンズ内手振れ補正が対応するという分業制の手振れ補正が一般的でした。
しかし、角度ブレに関してはボディ内手振れ補正とレンズ内手振れ補正が協調して動作することで、より高い手振れ補正効果を得られることから、分業制ではなく協調式の手振れ補正を採用することが多くなりました。これまでに、オリンパス、パナソニック、そしてキヤノンがEOS R5で協調式の手振れ補正を採用しています。
Nikon Z 9が協調式手振れ補正を採用
今回、Nikon Z 9の製品特徴ページに、小さく協調式の手振れ補正を採用しているとも取れる記述があったので少し驚きました。それが上記で引用した内容です。これは果たして、本当に協調式の手振れ補正の機能が搭載されていることを示す内容なのでしょうか?
ちなみにNikon Z 7IIのボディ内手振れ補正に関する記述は以下のようになっています。
4K UHD動画も手持ちで撮影できる高い手ブレ補正効果
動画撮影時には、電子手ブレ補正をONにすることで、5.0段※1の高いブレ補正効果を発揮するカメラ内VRと、ブレを画像処理で軽減する動画専用の「電子手ブレ補正」機能※2が連携。高い手ブレ補正効果で、4K UHD動画も手持ちで安心して撮影できます。
※1 CIPA規格準拠(NIKKOR Z 24-70mm f/4 S装着時、ズームは望遠端に設定)。
※2 次の場合、電子手ブレ補正は機能しません。
– 動画の画像サイズ/フレームレートを3840×2160 60p、3840×2160 50p、1920×1080 120p、1920×1080 100pまたは1920×1080スローに設定しているとき。
– 動画の画像サイズを3840×2160に設定し、セットアップメニュー[HDMI]の[詳細設定]で[出力ビット数]を[10 ビット]に設定して外部機器にHDMI出力しているとき。
これをみるとNikon Z 9では明らかに手振れ補正の効果が進化していて、何かしらの新機能が採用されているらしいことがわかります。でも本当に協調式の手振れ補正が採用されているのかどうかは、この評価からはわかりません。
しかし、今回、Nikon Z 9と他の機種の比較をしている海外の記事で、Nikon Z 9が協調式の手振れ補正システムを採用していることを示唆している記事を掲載していました。これがその比較表の引用です。画像タップで拡大します。
この表のImage Stablilization(手振れ補正)のところに、「In body (lens IS takes over pitch/yaw)1」という記述があります。そして、In bodyというのは内蔵している意味です。その後の
「lens IS takes over pitch/yaw」というのは角度ブレに関してはレンズ側が担当するという記述になっています。なので、協調式手振れ補正ではないのかな?と思ったのですが、その後に「1」という注釈があることがわかります。
というわけで、その注釈の部分には以下のように記述されていました。
1’Synchro VR’ which combines lens and in-body IS is initially available with the Z 105mm F2.8 S and the new Z 100-400mm F4.5-5.6, with Z 70-200mm F2.8 S following via FW.
このように、レンズ内手振れ補正とボディ内手振れ補正の協調が、NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S、NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sは最初から対応していて、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sでは後日のファームアップで対応することが記述されています。
また協調式を採用しているキヤノンのEOS R5にはレンズとボディの協調式という表記があり、それはNikon Z 9の補正方式の記述と同じ表記です。
このことから、上記のレンズを利用した場合には協調式の手振れ補正が利用できることは間違いないようです。恐らく、今後、発売される望遠系のレンズのほとんどで協調式の手振れ補正が利用できると思いますので、より高い手振れ補正効果を得られることができると思いますね。
ただ、そのわりにはキヤノンのEOS R5ほど補正効果があまり向上していないようにも思えます。今後のファームアップなので、より補正効果が高まることがあるのでしょうか?
いずれにせよニコンもついに協調式の手振れ補正システムの技術を確立したのだなと思いました。改めてNikon Z 9は最新技術が投入されたカメラなのだなということがわかります。
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コメント
コメント一覧 (2件)
ニコンも協調式の手振れ補正システムの採用ですね。
手振れ補正効果が大きいのは歓迎されると思います。
ボディ内手振れ補正はレンズのイメージサークルによっても
左右されるので協調式の手振れ補正であってもボディ及び
組み合わせたレンズ固有の数値となり他社の同等レンズと
比較しても仕方がありませんね。
イメージサークルに左右されるならニコンが最強で、DXフォーマットなんて最も強力なはずですが現実は……
キヤノンが8段ならニコンは9段を目指して欲しいですね。