写真コンテストでAIが生成した画像が入賞
写真のコンテストにAIで生成した画像が入賞したが、作者自らがAIで生成した画像だったとして受賞を辞退した、そんなニュースで賑わっています。興味深いので紹介したいと思います。
どのようなことがあったのでしょうか?
ドイツのアーティストが、権威ある国際写真コンテストの受賞を辞退した。その理由は、作品が「写真」ではなく、人工知能(AI)で生成した「画像」だからだ。作品を手がけたボリス・エルダグセン氏は、主催者側がAI生成画像を受け入れる準備があるかを試すために応募したと明らかにした。
(中略)
辞退の理由については「AI画像と写真は、このような賞で競い合うべきではない。それらは異なるものだ。だから、私はこの賞を受け入れない」と述べた。「写真界は、オープンな議論が必要だ。何を写真と見なすべきか、何を見なすべきでないか。私はこの賞を辞退することで、この議論を加速させることを願っている」
まず、このコンテストはソニー・ワールド・フォトグラフィー・アワードという有名なコンテストで、名前からするとソニーが支援しているコンテストのようです。そのため受賞者には賞金のほかソニーのカメラといった賞品が贈呈される場合もあるようです。
記事だけを読むと写真コンテストにAIで撮影した画像が入賞してしまったので、自ら素直に申し出て受賞を辞退しただけのように読めます。また、AIが生成した画像が写真のコンテストに入賞してしまったという驚きの部分が強調されて記事になっているようですが、実際にはもっと奥深い内容が含まれているようです。
機器が自由だったクリエイティブ部門
今回、AIが生成した画像が受賞した賞は、クリエイティブ部門で、この部門はどのよな機材を利用しても自由だったそうです。そして受賞が判明した際に、作者はこれがAIが生成した画像であることを主催者側に伝えました。そうしたら主催者側は、この作品は部門の基準を満たしているとして、作者のコンテストへの参加を支持したそうです。
一方で作者は、主催者側が認めていたにもかかわらず、AIが生成した画像で写真ではないので賞を受け入れることはできないとして辞退したそうです。作者の応募目的は、コンテスト側がAI画像の応募に対して用意しているかどうかを確かめたかったからだとしています。
このように考えると、ちょっと違う側面が見えてきそうです。
作者のほうでは、主催者の不備を突いてAI画像と写真は違うと主張したかったのか、それとも本当に目的通りコンテスト側のAI画像への対応をみようとしたのかどうか。
主催者のほうでは、本当に最初からAI画像も認めていたのか、それとも本来は最初からAI画像は認めない方針だったが不備を突かれて受賞を排除できずしぶしぶ受賞を認めたのか。それともAI画像の応募は予見していなかったのか。
などなど、両者の状況や認識によって見方が変わってきそうです。
たぶんAI画像を認めずに写真だけのコンテストにしようと考えると、今後はその証明が必要になるだろうと思います。
いまadobeはニコンなどとともに写真の来歴情報を記録できる仕組みを広めようとしています。
この技術を使用すれば、世の中のすべての撮影された写真がねつ造のものかどうかといった判断できるというものではありません。しかし少なくともこの来歴情報がある写真については、どのように撮影され、どのように編集され、どのように加工されたのかといった情報が残ります。
この技術の仕様について理解がないので恐らくですが、これらの情報は公開鍵暗号やハッシュ値を利用して、改ざんしたり偽の来歴情報を付与することはできなくなっているはずです。そのため少なくとも来歴情報があれば、撮影された写真だという証明が可能です。
よりカジュアルなコンテストや展覧会のようなものでは、ここまでするのはやり過ぎかもしれません。しかし将来の写真のコンテストでは、このような写真であると証明できるものでなければ応募資格がないというような厳密なコンテストになる可能性もあるのかもしれませんね。
(記事元)https://news.yahoo.co.jp/articles/0b60e22620955cf751217215aced838c536d3280
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