ニコンは半導体製造装置に注力したほうが良かった?
それに対して、ニコンは、レンズはもちろんのこと、制御ステージ、ボディー、さらに、ソフトウェアまで自社で生産した。外部から調達したのは、光源だけだ。
このように、ほとんどを自前で作ったため、過去の仕組みにこだわるという問題が生じたと言われる。
また、レンズをどう活用して全体の性能を上げるかというよりは、どうやってレンズの性能を引き出すかが優先されるというような問題が発生したといわれる。
結局、日本型縦割り組織を反映して全てを自社で内製化しようとする考えが、負けたということだ。
(中略)
それに対して、技術力が高いニコンは、他社と協業するという意識が低かった。それが開発スピードを低下させ、開発コスト負担増を招いたというのだ。
(中略)
日本企業敗退の原因は、自社主義だけではない。 もう一つは、ビジネスモデル選択の誤りだ。つまり、カメラという消費財に注力したことだ。
もし、2000年代の初めに、キヤノンやニコンがデジタルカメラに注力するのでなく、半導体製造装置に注力していたら、世界は大きく変っていただろう。
-現代ビジネス
ちょっと面白い記事があったので紹介したいと思います。上記はキヤノン、ニコンに関して記述している部分を一部引用したもので、論旨など全文は記事元リンクからご覧ください。
この記事では、かつて半導体製造装置で世界のトップシェアをとっていたキヤノン、ニコンという会社が、なぜ海外にシェアを奪われるまでになってしまったのかという分析をしている記事になります。
記事の主な内容としては、上記で引用させていただいた内容になるわけですが、簡単にまとめると以下のようになるようですね。
・ニコン、キヤノンは多くを自社の内製にこだわった
・内製したので過去の仕組みに固執する問題が生じた
・ニコンは技術力が高く他社と協業する意識が低かった
・ニコンとキヤノンがデジカメに注力しなければ世界は変わっていたかもしれない
こんな感じのまとめになるのでしょうか。
内製による過去の仕組みへの固執
これだけ読むと賛否両論あるような意見だなと思いますし、2000年頃でしたらキヤノンとニコンにとってデジカメを捨てるという選択肢は、仮に誰が経営者であってもなかっただろうなと思います。いわゆる後から振り返ればそうかもしれないけども・・と思いますし、完全な後出し意見といわれても仕方がないところかもしれません。
ただ、内製化を増やしたため、過去の技術に縛られてしまった、技術力が高く協業の意識がなかったというのは、ちょっとあるのかなと思いました。
ある程度の高い技術があり、そして作る製品のほとんどを内製化していたということで、どうしてもこれまで利用していた技術を応用したり改善しようと思う気持ちが高くなる理由はよくわかります。もし他社と協業していたり、他社から仕入れていたら、何かしらの新しいアイデアが生まれたときに、まったくゼロから製品を作りやすい環境になると思うからですね。
もし部品のほとんどを内製化していると、そのアイデアはいいけど、これまで作った製品が無駄になる、新しい製品を開発しなければならないなるということで、どうしても足かせになってしまう可能性がでてくるのかなと思います。
ただ、逆に考えると他社と協業したり、他社から調達するとそのぶん利益が目減りするという可能性が高まると思います。なので、利益を維持するには、常に新しいアイデアを生み出してそれを製品化していかないとならないので、かなり面倒な状況にはなるのかなと思いますね。人間は変化を選択したくない生き物なので、どうしても既存の枠のなかでなんとかしようと考えてしまうものです。
ただ、以前はイメージセンサーのシェアでは存在感を見せていなかったソニーが、今では裏面照射型というブレイクスルーを実現していまでは世界のトップシェアのイメージセンサー製造企業となっています。何かしらのタイミングで、キヤノン、ニコンがまた世界のトップシェアに返り咲く可能性はあると思いますので、頑張って欲しいですね。
そして、デジカメの分野でも新しいイノベーションを実現して、カメラ業界の復活に寄与して欲しいなと思います。
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コメント
コメント一覧 (3件)
協業の話は頷ける部分もありますが、カメラを捨てろは完全な後出しジャンケンですねぇ。
祖業な上に売れまくってた時期ですし、ニコンもキヤノンもプロユーザーに対する責任があるわけで。それこそ、現代ビジネスに報道を止めろと言ってるようなものです。
また、ニコンやキヤノンが半導体ビジネスを止めたわけではなく、未来に向けて色々と取り組みを進めているわけで、そこに言及しないのも何だかなぁという感想です。
まぁ、この手の過激な記事が売りってのもあるでしょうしね……
半導体に関しては政治的な思惑もありますからね。
寧ろ日本企業はお人好しすぎた、平和ボケしていたといったほうがいいかもしれません。
投資家的見方、利益のみの追求ならそうなのでしょうが・・・
いや、確かに企業は利益を出さなきゃいけないのですが。
「カメラメーカー・光学メーカーとして」という話ではないですね。
「コニカミノルタは光学を捨てて繁盛した」と言われてもカメラ業界には関係ない話になってしまうわけで(光学にはまだ関連していますがね)。
とにかく、頑張れNikon、そのためには買わなくては、か…。
買える商品も、ぜひ、Nikonさん・・・。