ニコンが2022年3月連結業績予想を上方修正
[東京 5日 ロイター] – ニコンは5日、2022年3月期連結業績予想を上方修正し、営業利益は270億円(従来200億円)に、純利益は220億円(同160億円)にそれぞれ見直したと発表した。売上収益は5200億円(同5100億円)に修正した。第2・四半期までの期間についてデジタルカメラの需要が堅調なほか、フラットパネルディスプレー・半導体露光装置関連でもサービス事業が順調に推移していることを踏まえた。
21年4─6月期決算(国際会計基準)は、売上収益は1322億円(前年比104.4%増)、営業利益は199億円(前年同期は205億円の赤字)、純利益は158億円(同135億円の赤字)だった。
-ロイター
ニコンの2022年3月の通期の業績予想が発表されました。それによると、売上収益は従来予想の5100億円から5200億円に、純利益は160億円から220億円に上方修正されるようです。
そこで、ニコンのサイトを調べてみたら決算についての説明資料がありました。ちょっとそのあたりをみてみたいと思います。
説明会資料の内容
上記は映像事業についての資料になります(画像タップで拡大します)。期間は22年3月期の第1四半期になっていますので、2021年4月~6月の業績になります。前年と比較して売上げは倍になっていることがわかりますね。そのため、営業利益も前年のマイナスから今年はプラスに転換しています。
去年の春頃は非常事態宣言が出されて、ゴールデンウィークで人がまったく出歩かないような状況でしたので、カメラの販売も相当落ち込んでいた頃でした。なので、その時期から比較すると8万台も多くのカメラが売れ、レンズについても販売本数はほぼ倍増という状況になっていることがわかります。
続いて映像事業の通期見通しです。通期ということなので、2021年度の1年間の業績予想ということになります。
これをみると前期の実績を超えるどころか、当初の年度の業績見通しをも超える業績の予想になっていることがわかります。想定以上に映像事業が復活しているということが言えるのかもしれません。
ニコンは多くの工場を集約したり、人員を削減したりしていましたが、このことで固定費を下げることができ、これが損益分岐点の低下につながっているのだと思われますね。リストラが成功しているように見えます。
そして、これらの資料をみると中高級機カメラは堅調、プロ・趣味層向けの拡充、販売単価の上昇に関連するような説明が何度もでてきます。このことは、利益率の低い製品、安い製品、エントリークラスの製品に関しては注力せず、利益率や粗利の高い製品に注力しているということがよくわかります。
リストラは無駄をそぎ落とすという意味で決して悪いことではないですが、研究開発や技術に関する部分までリストラしてしまうと、今後のカメラの製品開発や、製造するカメラの品質に影響がでてしまう可能性があり、そのあたりが懸念されるところです。さらに、利益率や粗利の高い製品に注力することも一時的に業績は改善するかもしれませんが、エントリークラスがないと、これから初めてカメラを購入したいと考える人はソニーやキヤノンに流れてしまい、結果、ニコン製品はそのまま尻すぼみとなる可能性もあります。
去年の新型コロナウィルスの影響が大きかったので、一時的にかなり復調しているように見えますし、一時的な業績改善はできているのかもしれませんが、長期的に考えて映像事業が黒字であり続けることができるのかどうかということが問題になるのだと思いますね。
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コメント
コメント一覧 (1件)
ニコンが黒字化とは喜ばしいですね。
カメラ事業は高級機路線で行くようですが将来ニコンユーザーが
少なくなって行きはしないかと心配になります。