Nikon Z 9はなぜ価格を安くできたのか
Nikon Z 9が正式に発表され、本日から予約も開始されました。価格を調べたところ、Nikon Z 9ボディの最安値は62万8650円となっていました。Nikon D6の初値は約72万円でしたので、AF性能や連写性能、動画撮影性能などを考えると、非常に価格が安いなという印象を持ちました。いわゆるコスパが良いというヤツです。
Nikon D6を上回る部分もありながら、どうしてNikon Z 9はNikon D6よりも安い価格にすることができたのかというところをちょっと考えてみました。
Nikon Z 9の価格を下げることができた理由は?
シャッターユニットが非搭載
Nikon Z 9は、恐らくフラッグシップミラーレスモデルとして世界で初めてのメカシャッターレスのカメラとなっています。これまでのカメラはローリングシャッター歪みがありましたので、どうしてもメカシャッターが必要でした(完全に歪みをなくすことはできません)。
このメカシャッターというのは1秒間に10回以上、しかも数秒間も可動するような部分で、高い精度と耐久性、そしてそれを実現する高い技術が必要になります。特にフラッグシップモデルとなると、雑な扱いをされても多少のことでは壊れないようなメカシャッターが必要になりますので、より高い耐久性が必要となります。ここは、カメラメーカ以外がカメラ市場に参入する高いハードルになっていて、各メーカの技術が結集されているところでもあるわけですよね。
このメカシャッターがNikon Z 9では不要になったというところは、コスト面ではかなり役だっているのかなと思います。
ミラーレスと一眼レフを比較すると、レフ機構とペンタプリズムも省略されているわけですが、ミラーレスでは逆にEVFが必要になるので、このあたりはコスト的に相殺される関係にあると思いますが、ミラーレスもこれまで必要だったメカシャッターがないというのは大きいと思いますね。
ただし、Nikon Z 9にはレンズ交換時などのホコリの侵入に備えるための保護幕が設定されています。これらはコスト増になると思いますが、メカシャッターと比較すれば十分に低コストで済むのかなと思います。
生産国がタイに?
もう一つは、やはり生産国が、恐らくですが日本からタイに移管されたことが大きいと思います。下記の記事では、Nikon D6もタイ製になるといわれていて、Nikon Z 9がタイ製であっても不思議ではありません。
やはり人件費は大きいようで、カメラとは関係ないですが、ホンダのバイクなどでも、もしこれを日本で製造したら60万円か70万円ぐらいするだろうなというバイクがタイ製造だと40万円ぐらいで発売されていたりするので、やはり製造国の違いは大きいのかなと思いますね。
なので、Nikon Z 9についても最新のイメージセンサーやプロセッサ、放熱を優先させたボディ形状やマグネシウムボディを採用しながら、価格を下げることができたというのは、海外生産になったことが最も大きいのではないのかなと思います。仮に、国内で生産していたら80万円を超える価格になっていてもおかしくはないと思いますね。
戦略的な価格設定なのか
とはいえ性能の高いカメラなら、それだけ高い価格設定も視野に入ってくると思います。そう考えると、今回はミラーレスカメラで遅れをとっているニコンが、フラッグシップモデルで他のメーカよりも高い性能をもちつつ、廉価な価格設定にすることによって、巻き返しを図ったという部分もかなり大きいと思いますね。
少なくともプロフェッショナルが利用するカメラとしては、価格設定と性能で十分に他のメーカと張り合える機種になっていると思います。あとは実際に発売されて、実際の使用者のレビューがどうなるか?ということになると思います。
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