ニコンの戦略には明確なプランがない?
ニコンのREDブランドの戦略には明確なプランがないのではないかと指摘する声があがっています。どのような意味なのか、この記事で詳しくお伝えします。
ニコンという会社は非常に不思議な存在で、そして日本という国もまた不思議な存在だと言えるかもしれない。100年もカメラを作り続けてきたのだから、マーケティングについても熟知していると思うかもしれない。ニコンはシネマでの名声を得るためにREDを買収した。デジタルシネマの先駆者であるREDが、いまやNikon ZRという安っぽいYouTuber向けカメラにすらREDのバッジを付けることもできないようだ。
(中略)
REDはシネマ界で最も価値のあるブランドの一つだ。デジタル・ハリウッドの撮影のパイオニアを買収するというニコンの取引は見事な一手だった。そして映画業界が没落するスパイラルに入り始めたまさにそのときREDを売却したタイミングは完璧だった。
しかしREDの技術を搭載したニコンの初の静止画・動画ハイブリッドカメラ、まもなく発表されるNikon ZRはかつて偉大だったシネマブランドに対する明らかな屈辱だ。
(中略)
一方でニコンのシネマ市場への参入は奇妙で、彼らが参入したのはシネマではなくコンテンツ制作の領域だった。
ソニーZV-1Eにそっくりなカメラは、最新のキヤノンのハイブリッドカメラとは異なり、Cinemaという名前すらなく、消費者向けのコンパクトカメラに近い存在だ。対照的にEOS C50にはしっかりとCinemaという名前がある。ニコンのカメラはソニーのFX3や間もなく登場するEOS C50が映像制作者の人気となった理由、高性能、高い製品品質、プロフェッショナルな外観、そしてCinemaという名称と実際の映画制作現場での使用実績をことごとくそぎ落としているように見える。
これではニコンにはREDをどう扱うかという明確なプランがなく、ブランドをどのようにマーケティングするべきか理解していないように思える。
早急にRED × Nikonブランドの本格的なカメラを発売し、実際にREDの名称があり、Nikon Z8くらい以上の仕様、8K REDCODE RAW 60fps、クロップなしの4K 120fpsなどを実現しなければ、REDのブランドはハッセルブラッドのようになってしまう危険性がある。つまり、特許、カラーサイエンス、スマホのカメラに付けるバッジ程度の存在になってしまう。
(後略)
ニコンはREDのブランド価値を下げたのではないかとの指摘
ニコンはNikon ZRの発売でREDのブランド価値を下げてしまったのではないかとEOS HDが伝えています。
記事では、ニコンはREDを買収しておきながら、お茶を濁すようなYouTuber向けのカメラをREDの名称も付けずに発売し、REDのブランド価値を下げているのではないかと指摘しています。その理由として、ニコンはREDを買収しておきながら、シネマカメラを発売しようとしているのではなく、YouTuberなどのコンテンツクリエイター向けのカメラを発売しようとしているからだとしています。
そのような状態になっているのは、REDのブランドの扱い方やマーケティング戦略に明確な今後のプランがないからで、このままではREDという価値を毀損してしまうのではないかと指摘しています。
読んでいると確かにそうかもしれないと思うのですが、まず注意しなければならないのは、記事中にまもなく発表されるEOS C50という記述があるように、実際にNikon ZRの発表後に記事を書いているのではなく、Nikon ZRの噂をもとに記事を書いている部分です。完全な仕様を見ているわけではないので、このあたりは差し引いて考えなければならないかもしれません。
また、これは個人的に思うのですが、コンテンツクリエイター向けにNikon ZRを発売しているので、むしろREDの名称は入れるべきではなかったとも言えると思います。REDはREDで、8KラージフォーマットグローバルシャッターセンサーのV-RAPTOR XEを正式発表しています。
そのためプロフェッショナルや映画制作、より手の込んだ動画撮影ではREDのカメラを、一般消費者やライトな動画撮影者向けにニコンブランドでREDの技術を取り入れたカメラを発売していると考えれば、特に違和感は感じません。
さらにより低価格なカメラにREDの技術を搭載することで、初めて映像制作に関わる人にもREDの技術を使用してもらい、より本格的な映像制作をしたいと思ったときにREDのシネマカメラを導入しても違和感なく移行できるというメリットがあるのではないかと思いますね。
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| Nikon ZR | Nikon Z6III | |
| センサー | フルサイズCMOSセンサー | ← |
| センサータイプ | 部分積層型 | ← |
| 有効画素 | 2450万画素 | ← |
| 手ぶれ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 | ← |
| 記録画素数(最大) | 6048×4032ピクセル(サイズL:24.4M) | ← |
| RAW | RAW14ビット(ロスレス圧縮、高効率★、高効率) | ← |
| 記録媒体 | CFexpress(Type B)、XQD、microSD | CFexpress(Type B)、XQD、SD |
| EVF | - | 0.5インチ546万ドット |
| シャッター | 電子シャッター | メカ、電子先幕、電子 |
| 電子シャッター速度 | 1/16000~30秒 | ← |
| フラッシュ同調 | 1/60秒以下の低速シャッタースピードで同調 | 1/200秒以下 |
| 電子シャッター連続撮影速度 | ・低速連続撮影:約1~7コマ/秒 ・高速連続撮影:約16コマ/秒 ・高速連続撮影(拡張):約20コマ/秒 | ← |
| 測光範囲 | -4~17EV | ← |
| ISO感度 | ISO 100~64000 | ← |
| AF検出範囲 | -10~19EV | ← |
| フォーカスポイント | 273点(シングルポイントAF時) 299点(オートエリアAF時) | ← |
| 動画ファイル形式 | NEV、R3D、MOV、MP4 | NEV、MOV、MP4 |
| R3D NE | 対応 | - |
| REDWideGamutRGB | 対応 | - |
| Log3G10 | 対応 | - |
| シネマティック動画モード | 対応 | - |
| パッシブサーマル設計 | 対応 | - |
| 音声記録方式 | リニアPCM(48kHz 24bit/32bit float) | リニアPCM(48kHz 24bit) |
| RECランプ | 対応 | - |
| 液晶 | バリアングル式4.0型TFT 307万ドット | バリアングル式8cm/3.2型 210万ドット |
| バッテリー | EN-EL15c | ← |
| 撮影可能コマ数(最大) | 約370コマ | 約410コマ |
| 寸法(幅×高さ×奥行き) | 約134×80.5×49mm | 約138.5×101.5×74mm |
| 質量(本体のみ) | 約540g | 約670g |
| 直販価格 | 29万9200円 | 39万6000円 |


コメント
コメント一覧 (5件)
私も、ZRに明確にはREDの名称を入れなかったことで、REDのブランドを守ったように感じました。どうにも違和感のある批評ですね。REDの名前を濫用する方が、ブランド価値を下げそうです。
ニコンブランドだから別にREDのブランドを下げてるようには
見えませんね。
本格的な動画機にはRED、入門機にはNikonで行くような気がします。
一応ニコングループに入ったとは言え別会社ですから。
恐らくRED保有の動画のコーデックもニコンが有償で購入しているはず。
センサーで言えばソニーとソニーセミコンダクターのような関係。
※想像です。
この記事を書いた人はジャマイカ生まれの映画監督だそうで(原文見たりとかいろいろググりました)、要は自分が思っていたのと違うカタチで出たことに当たり散らしてるわけですw
しかしブランドと言ったところで、シネマカメラなんてものはプライベートユースがしづらい機械であって、そこが(ハイブランド化したライカみたく)スチルカメラと違うところ。
別の言い方をすれば「職人の道具」の枠を飛び出し得ないわけです、シネマカメラは。
そういう「職人」の「視点」だけであれこれ語って、一般ピープルの「おおっ!あのREDの技術が民生機に!」という部分がスッポリ抜けてるのが、このコラム最大の問題。
なんか「国際基準のアニメづくりを~」とつぶやいた弁護士先生を彷彿とさせるスットコドッコイぶりですわw
この監督には、かの『トラック野郎』など数々の娯楽作品を生み出した名匠・鈴木則文の座右の銘「下品こそ、この世の花」を教えてあげたいですw
思い込みと感情だけでボロクソに非難するEOS HDの言説など、基本的には聞くに値しませんよ。NewCameraの大ボラの方が、話のタネにできる分まだ価値があるでしょう。