ミステリ小説「館シリーズ」の映像化第2弾が決定
まず初めに、この記事はカメラとは無関係な個人的な記事になります。あらかじめご承知おきください。
毎年、年末が近くなると、絶対に読むべきミステリー小説ベスト10とか、結末にあっと驚くミステリー小説ベスト10といったランキングが公開されます。そのなかで、多くのランキングで必ず上位にランクインするミステリー小説の一つが綾辻行人さんが執筆した「十角館の殺人」です。
十角館の殺人は日本のミステリー小説界に非常に大きな衝撃と影響を与えたと言われていて、特に最後の一言ですべての真実がわかるという手法には大いに驚かされました。筆者(私)も前述のランキングを見て、本当にそんなに面白いの?と思って好奇心から購入して読んでみましたが、本当に「えっ?」って声が出てしまいました。小説を読んでいて実際に言葉がでてしまったミステリー小説は、いまだに十角館の殺人だけです。
普段は本もほとんど読まず読みたいと思って購入してしまった本が20冊ぐらい積んでありますし、プレイしなければならない積みゲーが20本ぐらいあるのですが、それから綾辻行人さんの本を購入して読むようになりました。まだ人形館の殺人と奇面館の殺人は読まずに積んでありますが・・・。
十角館の殺人は綾辻行人さんのデビュー作ですが、10作まで作られることが決まっていて、いまは9作品まで出版されています。いま待望のラストとなる10作目が執筆されているようです。現在、刊行されているのは以下になります。
- 十角館の殺人(1987年)
- 水車館の殺人(1988年)
- 迷路館の殺人(1988年)
- 人形館の殺人(1989年)
- 時計館の殺人(1991年)
- 黒猫館の殺人(1992年)
- 暗黒館の殺人(2004年)
- びっくり館の殺人(2006年)
- 奇面館の殺人(2012年)
これはすべて、何かしらの「館」の中で行われる密室殺人的な作品なわけですが、すべて同じ人が設計した館の中でなぜか事件が発生するということで、「館シリーズ」と呼ばれています。基本的に第1作に登場する人が再び登場することがあるので、作品の年代順に読むことが望ましいです。
これらは多くが読者のミスリードを狙った「叙述トリック」という手法が使われています。叙述トリックとは、読者の思い込みや、固定観念みたいなものをうまく利用してトリックを完成させるものです。その手法は例えば、このような動画をみるとわかりやすいかもしれません。
上記の動画は男女に関するものですが、このような記述があると、その人が男性なのか女性なのか勝手に思い込んでしまうのではないでしょうか?
このような手法が使われて、読者は違った方向に導かれていき、最終的には作者のトリックにまんまとはまってしまい、最後の事件解決時に唖然とする、そんなことの繰り返しです。
ただ、これは上記の動画でも同じですが、発言している本人が描かれていません。声質もわかりません。もし男性が発言していたり、女性が発言している様子が描かれていたら、ああこの人は男性なんだなとか、女性なんだなとか完全にわかってしまいます。そのため、叙述トリックを多用する綾辻行人さんの作品の多くは映像化が不可能と言われていて、実際にこれまで映像化されることはありませんでした。
しかし、去年、なんとその実現不可能と言われていた十角館の殺人が映像化されるということで、ミステリー小説のファンは度肝を抜かれたわけです。どうやって「アレ」を表現するのか、興味津々だったわけですが、実際に映像化された動画をみて納得しました。これはうまいことやっているなというのが第一印象で、トリックを知っているので、これはちょっとやり過ぎじゃないのかな?と思うシーンもありましたが、ほぼ自然にストーリーが流れていき、最後の例の「アレ」の時には、トリックを知っていても驚きました。
というわけで、無事に映像化が実現した十角館の殺人ですが、いまちょうど深夜の地上波で再放送されている最中で、いま見てもやっぱり面白いです。
しかし、そのCMの間になんと、「館シリーズの映像化第2弾の制作が決定」というお知らせが!え?と思ったのですが、次作も映像化が難しい作品が映像化されるということで、期待している人もかなり多いようです。実際にどのような作品が映像化されるのかは明かされていないのですが、筆者が思うにはたぶん「迷路館の殺人」が絶対に映像化不可能ではないかと思っていて、次に映像化されるとしたらこの作品ではないかと思うのですが、この作品は最後のトリックの解明の部分で問題点を指摘する声があり実写化できるのかどうか微妙なのかな?などと考えています。
というわけで、まさかの映像化第2弾ということで、ちょっと驚いたので記事にしてみました。これを機に興味があったら館シリーズを是非読んでみてください。図書館にもあると思います(でも十角館の殺人はものすごい人気で予約殺到です)。面白いですよ?
(source)日本テレビ
コメント
コメント一覧 (2件)
次もニコンのスタジオですかね
予告編を見た限りですが、ドラマに奥行きを与えるような重厚な画面のトーンがいいですね。
日本映画の父と呼ばれ、津川雅彦の祖父でもあった映画監督・牧野省三は「いい映画の三か条」として 1.スジ 2.ヌケ 3.ドウサ を 提唱していました。スジはストーリー、ヌケは画面の奥行き、ドウサは役者の動き。
写真やカメラに関心を持つと、映像作品の「ヌケ」が気になるものですが、近年はその「ヌケ」 に無頓着なものも多いですね。
別に高画質でなくてもよくて、その一例としてテレ朝子会社のディレクターが本業な、昭和のテレビ番組の完全再現で人気を博すYoutubeチャンネル、フィルムエストTVが昨年放ち大絶賛された、友近とモグライダー・芝による2時間サスペンス作品。
フィルムエストTVは「VHSに録画したような画質」で一貫しているのですが、そのVHS画質が作品への没入感を高めてくれるのですね。子供の頃、茶の間で親が観ていたあの光景を思い出すとか、そんなノスタルジーまでも掻き立ててくれるわけ。
日本の映像作品も、もっと「ヌケ」を意識して欲しいと思っております。
あ、そうそう。管理人さん、ACの男女に関する広告を上げましたが、男女といえば「男かな?女かな?」でお馴染みの芸人、あぁ~しらき。
今年の元日、彼女をフィルムエストTVが「電線音頭」風に仕立てて、さらにMBS毎日放送の福島アナまで登場するのですが、個人的にあぁ~しらきをもっとも分かりやすくかつ、魅力的に見せる、それこそ 1.スジ 2.ヌケ 3.ドウサ を高次元で成立させた、珠玉の映像作品だと思っております、マジで。