クアッドベイヤーセンサーとは何か
クアッドベイヤーセンサーとはどのようなセンサーで通常のイメージセンサーと何が違うのでしょうか?そして、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
OMシステムのOM-1カメラの興味深い特徴の一つは、クアッドベイヤーセンサーだ。この記事では、これが何を意味しており、どのようなメリットとデメリットをもたらすのかを説明する。
基本的なポイントは、赤、緑、青のフィルターが一つのピクセルではなく4つのピクセルを覆うベイヤーカラーフィルター配列を使用することだ。これは、下の図で示されており、通常のベイヤー配列とクアッドベイヤーを比較している。この段階で、いくつかの用語を明確にしておく必要がある。多くのメーカはピクセルをフォトダイオードと名付けているが、一つのカラーフィルターの下の4つのピクセルは、それぞれ完全に機能し、他のピクセルから独立して読み出すことができる。実際にそうでなければ、このデザインにはあまり意味がない。従って、一見すると、クアッドベイヤー配列の唯一の効果は、センサーの解像度を4分の1にすることであるように見える。従って、OM-1の2000万画素のセンサーは実際には8000万画素である。あとで、なぜこれが良いアイデアなのか説明しよう。
クアッドベイヤーセンサーの配列は、携帯電話ではかなり一般的だ。携帯電話のレンズがセンサー上で最大1億画素までの解像度を実現するために、どのようにして十分な解像度を投影できるのか疑問に感じるかもしれない。その応えは、それは不可能であるが、しかし画素のサイズを小さくして使用することで解像度を上げることができる。携帯電話では、クアッドベイヤー配列により低照度時に4つのピクセルを組み合わせることができる。明るい光のときには、ピクセルは個別に使用され、これにより有効なピクセルの画素のサイズが減少しシャープネスが増す。
この配列を使用した最初の一般向けのカメラは、低画素数で動画専用のパナソニックのLUMIX GH5Sと、ソニーのα7S IIIだ。これらのカメラには上記の機能は搭載されていないが、それではクアッドベイヤー配列の利点は何だろうか?これらのカメラは図2に示す配列を仕様しており、それぞれ個別のピクセル上に別々のマイクロレンズがある。これによりマイクロレンズが光を各画素の有効領域に収集させる効果が維持できる。しかし、この設計では大きなピクセルとして使用することに比べて何も得るものはなく、この設計が利用される本当の理由は生産経済性にある。低画素のセンサーは非常に専門的な製品であり、もし他の製品の亜種とすることができれば、製造コストを削減することができる。例えば、ソニーでは1200万画素センサーは4800万画素センサーを派生して作ることができ、ソニーセミコンダクターが、この画素数前後のフルサイズセンサーを生産していることは驚くことはない。
それではOM-1をみてみよう。これは図3に示すような異なるマイクロレンズの配置を使用している。これは1つのマイクロレンズが各クアッドピクセルカラーフィルターを覆っている。欠点はマイクロレンズは光を各画素の有効でない部分にも集光させるため効率が低下することだ。しかし利点はセンサーがキヤノンのデュアルピクセル配列と同様の位相差検出機能を提供し、水平方向と垂直方向の両方で動作することだ。
このセンサーのデザインでは、フレーム内のすべての画素をフォーカス用の画素として利用することができ、クロスタイプの検出が可能であり、画像を撮影するときに位相差センサーで欠損した画素を補完する必要がない。キヤノンはデュアルピクセルRAW機能を提供しており、画像から深度情報を抽出することができる。クアッドピクセルRAWのオプションは非常に興味深いが、OMシステムはまだそれを提供していない。
クアッドベイヤーのメリットとは
クアッドベイヤー配列のメリットは何か?という記事が掲載されています。興味深かったので紹介したいと思います。詳しい画像などもありますので、全文は記事元リンクからご覧ください。
さて、記事によればクアッドベイヤー配列は、赤、緑、青のカラーフィルターが、それぞれの色で一つのピクセルを覆うのではなく、4つのピクセルをまとめて覆うようなことをしているとしています。それを表したのが下記の画像です。
左:通常のベイヤー配列 右:クアッドベイヤー配列
同じ模様の繰り返しになっているところや、それぞれの色の面積は同じです。しかし、それぞれの大きな画素を4分割しただけのようにも見えます。
携帯電話などでは、明るい光のときにはすべての画素を別々に利用して画像を作成することで、解像度やシャープネスが増すそうです。そして、低照度時には、4つの画素を1つの画素として扱うことで、ノイズの少ない画像を得ることができるそうです。
しかし、このような機能は同じくクアッドベイヤー配列を採用しているLUMIX GH5Sとα7S IIIには搭載されていないようです。この理由は、単に低画素のセンサーがほしかっただけで、高解像度センサーを低画素化する目的でクアッドベイヤー配列にしていると、この記事では述べています。
LUMIX GH5S、α7S IIIのマイクロレンズ
このようなマイクロレンズの配置では、特に意味がないということで、OM-1のものとは異なるようですね。そのOM-1のマイクロレンズの配置が以下のようなセンサーです。
OM-1のマイクロレンズ
このように大きなマイクロレンズが同じカラーフィルターの画素すべてを覆う形で乗せられていることがわかります。そして、そのようにマイクロレンズを配置することで、キヤノンのデュアルピクセルCMOS AFのような全画素を位相差センサー代わりにするようことが可能になるのだそうです。
OM-1ってキヤノンのデュアルピクセルAFのような技術を採用しているんだと、いま初めて知りました。と思って、OMデジタルのサイトをみてみたら、こんな記述がありました。
1053点、オールクロス、カバー率100%の新AF
新開発の裏面照射積層型 Live MOS センサーは、1053点オールクロス像面位相差クアッドピクセルAF方式を採用。
フォトダイオード 4分割構成により縦・横両方向で位相差情報を取得。 全画素、全撮影領域、そして様々なパターンで被写体の測距が可能となりました。画面内どの位置に被写体をおいてもAFが可能です。
全画素で位相差検出ができるため、検出の精度も大幅に向上しています。
また、新エンジン TruePic X の高速演算能力と新AFアルゴリズムが、被写体を確実に追尾しピントを合わせ続けます。
暗いシーン、低コントラストの被写体でも高精度にフォーカス可能で、AF低輝度限界 –8EV *を実現しています。
AFターゲットの多点化に伴い、AFエリアを画面全域に加え、シングル (1×1)、エリア小 (3×3)、エリア中 (9×7)、エリア大 (15×11)、エリア十字 (9, 7) 、そしてカスタム設定と被写体の大きさ、動きに合わせて選択可能です。
AFターゲットの位置は、マルチセレクターによりすばやく移動が可能。狙った被写体を逃しません。
これは便利そうな機能ですし、クロス測距ができるのは便利煮なりそうですよね。OM-1のセンサーはどこが開発しているのでしょうか。他のカメラにも搭載されるといいなと思いますね。
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コメント
コメント一覧 (3件)
> ソニーでは1200万画素センサーは4800万画素センサーを派生して作ることができ、ソニーセミコンダクターが、この画素数前後のフルサイズセンサーを生産していることは驚くことはない。
4800万画素のフルサイズソニーセンサーというのは聞いたことがないですが、クアッドベイヤーセンサーと画素数4倍の超高画素センサーを同時に開発しているということはありそうですね。
X-H2 と X-T5 は APS-C で 4,020 万画素、同じピクセルサイズでフルサイズセンサーを作ったとすると、
各辺 1.5 倍で 4,020 x 1.5 x 1.5 = 9,040 万画素の超高画素機
この9,040 万画素のフルサイズ超高画素センサーでフルサイズのクアッドピクセルAFセンサーを作ったとすると、
9,040 / (2*2) = 約 2,260
α9III や噂されている低画素版 Z9 は約 2,260 万画素かもしれないですね。
測距方式は従来と同じ位相差方式ではないでしょうか。
そうすると全面測距センサにしたら画像データがなくなりますね。
特許情報によるとキヤノンのようにPN結合トランジスタなら可能かも
知れませんがクアッドベイヤであれ測距センサは画素欠損を起こすでしょう。
キヤノンがDPCMOSから発展させたクロス測距が可能なセンサもPN結合で
した、(特許情報による)
測距点数が1053点なので補完補正しても画像に影響を及ぼさない範囲に
していると思います。
OM-1のマイクロレンズ構造は指向性が出ますよね。
これを何に使っているのかはわかりません。
S/N比の改善、ダイナミックレンジ拡大にはにはソニー、パナソニック方式の
ほうが良さそうです。
オリンパスのカメラはOM-1登場以前から“オールクロス像面位相差AF”を謳っていましたが、そちらはクアッドピクセルセンサーでは無いうえ説明も曖昧だったので、個人的に「オールクロスとは?」みたいな印象を拭えませんでした。
なのでOM-1、クアッドベイヤーセンサーをベースにした「2 x 2 OCL方式」の登場でついに“オールクロス像面位相差AF”がレンズ交換式ミラーレスカメラでも実現したのだと勝手に感動したものです。
しかしこの方式だと高画素化はとんでもないコストがかかりそうなので、フルサイズでも2000万画素台が限界なのでは無いかとも思ってしまいますが、どうなんでしょうかね?