どうなるキヤノンのレンズ戦略
キヤノンはサードパーティメーカによるRFマウントレンズを認めるべきだという記事が掲載されています。興味深いので紹介したいと思います。
それでは記事をみてみましょう。
最近、中国のジャーナリストが、日本のキヤノン幹部にインタビューする機会を得て、RFマウントのサードパーティー製レンズの現状について質問をした。CanonRumorsが、WeiboのCameraBetaで最初に発見したように、キヤノンの幹部は、キャノンがサードパーティ製RFマウントレンズのアイデアに関してオープンであり、実際に複数のレンズメーカと協議中であると述べた。これは期待を抱かせるものだが、キヤノンは他の光学メーカにRFマウント規格を許可することに非常に慎重だ。そして異例なことに、許可なくRFマウントレンズ市場に参入しないように法的措置を講じている。
これは、私たちがCP+でキヤノンの幹部に同様の質問をしたときに聞いたこととほぼ一致している。
新しいCameraBetaのインタビューによれば、キヤノンはサードパーティに対してRFマウントのライセンス申請を受け付けているようだ。ただし、キヤノンは外部メーカがあらゆるレンズを生産することができる包括的なライセンスを発行するわけではない。代わりに、キヤノンは各サードパーティの要請を個別に取り扱っている。
キヤノンがどのようにしてサードパーティ製レンズを決定するかは、正確には明らかになっていない。また、CanonRumorsが指摘しているように、RFマウントのライセンスを取得することで、サーバパーティがどのような許可を得られるのかまったくわからない。物理的なRFマウントに併せてレンズを作るだけでなく、キヤノン独自のオートフォーカスの仕様やファームウェアにアクセスすることができるのだろうか?サードパーティはマニュアルフォーカスレンズに限定されているのだろうか。私たちにはまったく分からない。
交換レンズの主なメリットの一つは、撮影しようとしている外観、スタイル、撮影予定だけでなく、予算の制約に合わせて様々なレンズを使用できる柔軟性にある。サードパーティ製レンズは、カメラメーカのレンズより安いこともよくある。価格は別にしても、レンズの選択肢が多いほうが少ないよりもいい。キヤノンの古いEFマウントは、タムロン、シグマ、トキナー、その他多くのメーカから優れたサポートを受けていたが、これまでRFマウント用のサードパーティ製レンズは不足している。一方、ソニーのEマウントやパナソニック/シグマ/ライカのLマウントなど、他の多くのミラーレスでは、多くのメーカからのサポートがある。
最近、ニコンのZマウントでは、タムロン(一部はニコンブランドにリブランドされている)やシグマからのサポートを受けており、RFレンズのラインなナップがより多様でなくなっているように見える。
キヤノンの声明を考慮すると、キヤノンがサードパーティー製品が自社製品と、直接的に競合してしまうことを懸念していることが推測される。ビジネスの観点からすると、それは正しい戦略だ。しかし私たちは常に、より多くのレンズの選択肢が消費者に利益をもたらし、任意のシステムの全体的な魅力を高めると信じている。
キヤノンのミラーレスカメラ用のサードパーティー製レンズが増えるかどうかは不明だが、需要があることは明らかにだ。
メーカの思惑とユーザの思惑と
記事を読むとキヤノンはRFマウントレンズをもっとサードパーティに許可するべきだ、というような記事になっていることがわかります。
確かに、その通りです。ユーザ目線では、できるだけ安い価格で高性能なレンズがほしいと思うのは当然で、価格と性能とのバランスをみて選択することになると思います。そのときに安いレンズがないと比較すらできないので、サードパーティからより多くのレンズが発売されるといいなと思うのは当然です。
一方で、メーカ目線ではどうでしょうか?メーカはカメラ販売による利益だけよりも、レンズからの利益も期待していることは間違いありません。カメラも売れればレンズも売れるので、レンズからの売上げも期待できます。しかし、安くて、それなりの製品のレンズが他社から発売されてしまったら、メーカのそんな目論見は台無しになってしまいます。
そう考えると、なるべく自社レンズを購入してほしいメーカの思惑と、なるべく安くていいレンズがほしいユーザの思惑があり、レンズを販売する戦略としてどうすればいいのかといったことは非常に難しい判断になると思いますね。
そしてレンズの選択肢が多いメーカのほうが、より購入する選択肢になりやすいのも事実です。Eマウントのソニーのほうが、サードパーティー製レンズが多いから、ソニーのカメラを購入しようという人も間違いなく存在します。
レンズによる売上げを最大化したほうがいいのか、それともサードパーティにレンズの発売を認めレンズラインナップを広げたほうがカメラの販売数量が増え、メーカとしての利益も最大化するのかといった判断はなかなか難しいと思いますね。
これらの観点から、個人的には、いまのニコンのやり方ぐらいが、メーカの利益とユーザの利益を考えたときにベストなやり方ではないのかな?と思います。
キヤノンが販売を認めたRFマウント用のオートフォーカスレンズもいくつかでてきているようですが、将来的にどうするかというのは気になるところですね。
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コメント
コメント一覧 (7件)
キヤノンはサード製品がたくさん出ていたEFマウント時代をあまりよく思っていないということでしょうか。
もしEFマウント時代をよく思っていたらRFマウントでもサード大歓迎にするはずですし、そうしないということはそういうことですよね。
たしかにソニーEマウントを見ていると純正よりサードレンズのほうが数売れていて、ランキングでもトップ10ではEマウント用のサードレンズが目立ちます。
メイカーとしたら当然純正レンズが売れるほうがいいわけですが、コンスーマーとしてはほぼ純正しか選択肢がないのはなんだか嫌ですよね。
例えばiPhoneがApple純正のアプリ、ケース、ケーブルしか使えなかったら嫌ですし、Appleの審査があるにしてもサードのアプリ、ケース、ケーブルが豊富だからいいわけですし。
キヤノンが自社だけでサードが出してるような魅力的なレンズも網羅してくれるならいいですが、それができていない現状を見るとせめてニコンのように自社だけでは出せそうにないサードレンズはもっと許可を出すべきだと思います。
そうじゃないと今のRFレンズラインナップでは魅力に乏しいですね。
この記事はライターさんの想像も含まれているのでその点については考慮する
必要がありそうです。
キヤノンは基本的に互換レンズを作る事に対して権利の侵害がなければ制限は
ないはずです。
そのかわりお手伝いもしませんよといったスタンスだったと思います。
シグマの山木社長だったと思いますがRFの互換レンズを作る事がかなり困難と
言っていたような気がします。
通信システムが容易には作れないようです。
いずれにしろシグマ、タムロン製の互換レンズは登場するでしょう。
記事に示す
「キヤノンの幹部は、キャノンがサードパーティ製RFマウントレンズのアイデアに
関してオープンであり」
これはその通りだと思います。
法的処置をしたのは恐らく逆アッセンブルしたのがバレたんでしょう。
これは権利の侵害に当たります。
多額の投資をして作り上げたマウントの技術にただ乗りして利益を掠め取られてはいい気持ちなどしないでしょう。特にMC-11でユーザーまで流出させたシグマに対するキヤノンの態度は手厳しい、とも耳にします。法的根拠が無いから止めてないし止められないわけですが。
ソニーが広く許可したのは当時のソニーのシェアなどを考えれば妥当で得策でしたが、今のキヤノンに同じことが言えるのかどうか。
ところでMeikeの85mm F1.4がもうすぐ登場との噂があります。RF初のサードAFレンズになるかもですが、これを許可したということは自社と競合しない、つまりキヤノンに”竹”レンズを作る気は無い証左と言えます。まぁそうですよね、という感想で驚きは無いです。
低価格高性能なレンズが出ることも期待しない方がいいでしょうね。自社の高価格高性能レンズを脅かすので。
様々なレンズで遊びたい人には面白味のないマウントでしょうけど、必要なレンズが揃った身としてはメーカー・マウントの存続に1番いいと思う道を取ってくれればいいなと思います。
サードパーティーへのマウント公開は基本的に純正レンズの売り上げの一部との引き換えにボディのシェアを増すことができるチャレンジャーのとる戦略だと思います。
ソニーについては、まだフルサイズといえば一眼レフのイメージが強かった時代に、キヤノン、ニコンのミラーレス参入に先立ってフルサイズミラーレスでのポジションを確かなものにするためにマウント公開を行いました。その目論見はある程度成功しましたが、結果サードパーティーのレンズの売り上げがソニー純正レンズを圧迫している状況です。いったん公開してしまえば公開前の状態に戻ることは出来ません。
ニコンについてはミラーレスのシェアが低く存在感の無い状態からの巻き返しに、サードパーティーへのマウント公開が貢献したように思われます。一方で、(はっきりしたことは分かりませんが)純正レンズを守るよう制限があるように思われます。
キヤノンはそもそもチャレンジャーではないので、レンズの売り上げの一部をサードパーティーに明け渡しても得られるものが無い、ということかと思います。
サード云々の話の以前に、自社のRFレンズがある程度充実していれば、このような議論が度々話題になることはそもそもないと思うんですよね。現状のRFレンズがユーザーのニーズに答えられていない、または期待感が薄いのでサードに期待する声が出てきているのだと推察しています。
自社で開発したマウントを大切にしたい、自社に最大限の利益をもたらす形にしたい気持ちは非常に分かりますが、少し口が悪いですがユーザーにとってはそんな事情知ったことではないんですよね。使いたいレンズ、用途に適したレンズがあるか否かでしかありません。かつてのライバルのニコンでも魅力的なZレンズ頑張って揃えてますから、企業体力を考えるとキヤノンにできない訳ありません。
自身がよく使う超望遠レンズでの評価になってしまいますが、RFレンズにははっきり言って使える、使いたいレンズがほとんどありません。RF100‐500mmは以前使っていましたが、Lレンズでありながらテレコンに制限が付くなどレンズとしての完成度も今一つで、テレ端が500mmでF7.1と暗く、使いにくいレンズでした。超望遠はシグマが非常に充実していますので、いくつかのレンズがRFで使えると選択の幅が広がって良いと感じました。もちろん性能面では純正であることに越したことはありませんが。
あとこの議論になると、足りない部分はEFレンズで…という意見が出るのですが、そのほとんどがディスコンandサポート終了間近のばかりですし、今から中古を買うと言うのはメーカーには一円も入りませんし、それこそ健全な形では無いでしょう。
各社、種々戦略を考えているのは確かで(Mフォーサーズ、ソニー、フジ、ニコン)、現段階でのキャノンのそれはいいとしても、とにかく18-45、55-210、600㎜ F11、100-400辺りがどうも程度差がありますが、許せない感じが。ということで、明るめ15-85㎜(15-70?)、10万円以下の300㎜ F4.8、小型軽量リーズナブルな500mm F5.6などを差し当たり妄想したいと思います。
サードの安いレンズは魅力かもしれませんが純正レンズが売れてキャノンの売上が上がったほうが純正レンズも安く成ると思います。
ボディはあまり利益はないと言いますし。