紆余曲折したNikon Z 8に関する噂
Nikon Z 8ほど長らく噂されていたカメラはあまり多くありません。
Nikon Z 8の最初の噂は2019年12月までさかのぼります。この当時は6000万画素センサーを搭載し(間違い)、縦グリップのあるハイエンド機として(間違い)、2020年から2021年に発表される(間違い)という噂でした。噂としては結局、すべて間違っていたということで、当たり前ですが必ずしも正しい噂ばかりではありませんでした。ただし、このカメラはZ 9の可能性があったことが後の噂で明らかになっています。もし、この噂がZ 9のものであった場合、6000万画素センサーであること以外は正しいということになります。
そして、次に多くの噂がでてきたのは2021年1月です。これまでNikon Z 8と言われていたカメラは、実はNikon Z 9の可能性があるという噂がでてきました。またセンサー解像度として6000万画素(間違い)と4500万画素(正解)の二つのプロトタイプがテストされているという噂もでてきます。Z 8は約4500万画素でしたので、この噂が正しければ6000万画素と4500万画素の二つがテストされていた可能性はあるのかなと思います。そして、このときは2021年後期に発売(正解)と噂されていました。Nikon Z 9は2021年12月24日ですので、この噂は結果的に正しかったことになります。
Nikon Z 9が発売され、ニコン界隈は熱狂に包まれたため、Nikon Z 8の噂は一時的に忘れられていましたが、2022年の7月になり、再びNikon Z 8の噂が増加してきます。
このとき注目を集めたのがhow2fly氏でした。彼はNikon Z 8という画像や、その仕様をバシバシとtweetして世の中を騒がせます。ちなみに、その時のNikon Z 8の仕様として、このように語られていました。
「Nikon Z 8は基本的にZ 9から縦グリを取り除いたもの(正解)で、同じ4571万画素の積層型センサー(正解)、EXPEED7を搭載(正解)」
今振り返ると彼の述べていることはほとんど正解でした。ただしNikon Z 8と言われていた画像は実際のZ 8のものとは全く異なるものでした。プロトタイプだったのでしょうか?
そしてその後に、Nikon Z 8は9月に発表されるという噂がでてきて、それが決定的なものではないかというような雰囲気になっていきました。
しかし、Nikon Z 8は2022年9月に発表されることはありませんでした。
結局、22年9月にZ 8発表という噂は何だったのか?
結局のところ、Nikon Z 8は2023年5月に発表ということで、この2022年9月発表という噂は間違っていたことになります。なので、単純にガセネタだったという可能性もありますが、他の可能性も考えられそうです。
もし、仮にNikon Z 8が2022年9月に発表する予定だったのに、それが延期されて2023年5月の発表になったという可能性は考えられないでしょうか?仮に、もしそうだったとして、なぜ発表が延期されたのか理由を想像(妄想)してみたいと思います。
可能性1 Z 9とのシェアの奪い合いを回避した
可能性として最も高そうなのが、Nikon Z 9がまだまだ売れていたからという理由です。Nikon Z 9は、最近では様々なカメラ店で販売されるようになりましたが、2022年当時は、まだまだ入手しにくい状況が続いていました。Nikon Z 8は結果的に後からわかることですが、Nikon Z 9とほぼ同じ機能のため、もし2022年9月にZ 8を発表すると、Z 9と販売シェアを分け合う可能性がでてきます。もしニコンが利益を最大化したいと考えた場合には、Nikon Z 9の需要が一巡してからZ 8を販売したいところです。
このためZ 9が売れている間はNikon Z 8の発売はしないでおこうと考えたとしてもおかしくありません。
可能性2 Z 9の予約待ちしている人へ配慮した
Z 8は完全にNikon Z 9と中身が同じというわけではなく、再設計されたものも多いですが、同じ部品を流用しているものもあります。Nikon Z 9購入のため予約を入れた人にとっては、Nikon Z 8を発売するのなら、先にNikon Z 9の製造にそれらの部品を回してくれよ、先にZ 9を製造してくれよと思う人もでてくるだろうと思います。そのような人への配慮的な側面もあった可能性もあるのかなと思います。
可能性3 Z 8の在庫を積み上げていた
Nikon Z 9の売れ行きはニコンの想像を超えるものだっただろうと思います。もしNikon Z 8を発売すれば、再びNikon Z 9発売当時のようなカメラが極端に入手できない状況になりかねないと考えても不思議ではありません。
そのためNikon Z 9の需要が落ち着くのをまってから販売し、それまではNikon Z 8の製品在庫をある程度積み上げておいたほうがいいと判断した可能性もあると思います。そのため半年をかけてNikon Z 9とともにNikon Z 8を製造し、Z 8の在庫を積み上げる期間として発表を伸ばしたという可能性もありそうです。
可能性4 サプライチェーンの混乱
2022年後半は回復しつつあったとはいえ、半導体などのサプライチェーンに問題を抱えていた時期です。そのため、簡単にNikon Z 9やNikon Z 8を製造するための部品を納品してもらえない可能性もあったのではないかなと思います。そうすると1日に製造できる製品数は限られてしまいますので、サプライチェーンの問題が落ち着くまではNikon Z 8の発表を先延ばししようと考えても不思議ではありません。
可能性5 決算への反映を考慮した
もしNikon Z 8を2022年9月に発表すると、2022年度内の発売ということになり、Nikon Z 8による売り上げや利益は2022年度の決算に反映されることになります。Nikon Z 9の発売で十分に見栄えのよい決算になると考えていた場合、Nikon Z 8の発売を2023年度にして、2023年度の決算に反映させようと考えた可能性もあるのかもしれません。もちろん想像です。
この場合、Z 8による売り上げはすべて2023年度の決算に反映されることになるため、2023年度決算の見栄えがよくなる効果を期待することができます。
というわけで、仮にNikon Z 8の発表日が延期されていたと仮定したら、どのような理由で延期されてしまったのか?ということを想像してみました。
果たして、本当にNikon Z 8は2022年9月の発表予定でそれが延期され、今年の5月になったのでしょうか?それとも2022年9月の噂はまったくの間違いだったということになるのでしょうか?明らかになることはないわけですが、妄想していると楽しいですね。
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コメント
コメント一覧 (5件)
個人的にはRAW圧縮特許に関するREDとの訴訟案件が一番の理由ではないかと勘ぐっています。
2022年5月にREDが提訴し、ニコンは同年9月(10月?)に逆提訴、2023年4月末時点で双方の訴訟が棄却されている、という経緯だったと思います。
過去REDは他社に対する同様の訴訟で負け無しでした。
そんな相手との訴訟の最中に中身がZ9とほぼ同じZ8をリリースするのは、ニコン内部でも相当懸念があったのではないでしょうか?
ユーザー側も買って大丈夫なのかという不安はやはりあったでしょう。
懸念事項の多いZ8を出すより発売済みであるZ9の供給を安定させることを優先した、とも考えられますね。
以上、勝手な妄想でした。チャンチャン
可能性1-5 すべてありそうですね。
決算年度が切り替わってから夏商戦までのニコンのプロモーションは怒涛のようでしたので、
特に 5 は絶対あると個人的には思っています。
ニコンZ世代さんが提唱される RED 訴訟解決待ち説も十分ありそうです。
しかし去年の夏時点で Z8 がどうなるか言いあてていた how2fly 氏は、流通より開発、生産寄りの情報源を持っていたことになりませんかね、それとも発表寸前まで行って止めたのでしょうか。
可能性4 が一番ありそうです。
半導体不足の折、性能を満たさないまがい品が多く市場に出て調達に苦労していた
話はありましたね。
そんな事情もありNikon Z 8 に部品を回せるほど余裕がなかったのかもしれません。
生産計画から Z 8 は Z 9 より生産台数が多くなるでしょうから仕方がありませんね。
富士フイルムが部品調達にかなり苦労していますが、やはり調達に時間がかかったのでしょう。
Z 9の予約が残っていれば、Z 8を先にという訳にも行かず。
なお。ニコンの意匠登録にZ 8と同じ位の高さがあるカメラが、何年も前から載っていました。現行製品とは細部が異なりますが、Z 30のようなファインダーレス、D850クラスのミラーレスとも、かなり前から企画されていたことが伺えます。
先月末にZ8注文しましたが、やはり9月過ぎになるそうです。
財布の中身と相談しながら、180-600mmも購入手続きしていますが、こちらは発売日未定なので、お届けも全く分からないそうです。