
ソニーのEマウントはフルサイズ向きではないのか?
ソニーのEマウントについては、様々な意見があるようです。
ソニーのミラーレスカメラ用のEマウントの口径は、ニコンのZマウント、キヤノンのRFマウントよりも小さいものとなっています。それは、画像からみてもわかるぐらいです。実際にどの程度の違いがあるのかみてみましょう。
ソニーEマウント

キヤノンRFマウント

こまようにソニーのEマウントでは、マウント内にぎりぎりセンサーが収まっている様子がみてとれますが、キヤノンのRFマウントをみるとセンサーの四隅からマウント内径までかなり距離があることがわかります。逆にいうと、ソニーのEマウントはセンサーの四隅がマウントに隠れているのではないか?と思われる状態になっていることがわかります。
Eマウントはフルサイズ向けではない?
それでは、本当にソニーのEマウントの内径はフルサイズむけではないのでしょうか?
以前の記事煮なりますが、ライカはソニーのEマウントはAPS-Cセンサー用に開発されたマウントで、フルサイズセンサーで利用するには挑戦的だったという発言をしています。
ライカのStephan Schulz氏が、Reddotforumでのインタビューで興味深い情報を明かした。
1)LマウントはAPS-Cのためだけに設計されたものではない。最初からライカはAPS-Cセンサーとフルサイズセンサーを考えていた。2)Schulz氏がいうには、ソニーのEマウントとは大きな違いがある
“LマウントとソニーのEマウントには、大きな違いがある。ソニーはNEXでEマウントを始めた。それはAPS-Cセンサーだが、ソニーはそのときにはフルサイズセンサーを考えていなかった。だから、彼らはフルサイズセンサーで動作するレンズを作るのに、少し挑戦的だった。ライカのLマウントはとても大きく、それは自由度をもたらす“3)Lマウントのアライアンスはどのように始まったのか
“パナソニックからアプローチがあった。ライカが開発したLマウントを、パナソニックのフルサイズミラーレスの計画に使えるのかどうか問い合わせがあった。そして我々は、このことでどのように仕事ができるのか、SLマウントの事業についてどのような影響を与えることになるのかを論じることとなった。最終的には我々は前に進むことになった”4)Lマウントアライアンスは、マイクロフォーサーズアライアンスに似ている?
“違いはLマウントアライアンスは、ライセンスする側のライカとの非公開のアライアンスということだ。新たに参加する企業によってアライアンスに参加する企業全体の利益になるということにメンバーの了解が得られれば、将来的にはメンバーの追加も可能だ。”
キヤノンも同様に小さなマウント内径ではフルサイズに対応できないということで、新しくRFマウントを採用しています。
■RFマウントが内径54mmに決まるまで
キヤノンは当初、APS-Cミラーレス「EOS M」シリーズのEF-Mマウントで35mmフルサイズを実現することも検討したが、目指した性能が出ないなど、満足のいく結果が得られなかったという。そしてマウント径も無用に大きくしたところでシステムが大型化するため、複数のレンズを実際に設計して、光学的メリットとサイズのバランス、カメラの強度などを見ながら54mmに決めた。
では、どの程度、それぞれのカメラで口径が違うのかというと以下な違いになっています。
- ソニーEマウント 46mm
- キヤノンRFマウント 54mm
- ニコンZマウント 55mm
- ライカLマウント 51mm
このようにソニー以外では50mm以上のマウント形を採用していることがわかります。
マウント口径が小さいと何が問題なのか?
それでは、マウント口径が小さいとどのような問題が発生する可能性があるのでしょうか?そして、それにより画質にどのような影響が発生する可能性があるのでしょうか?
それぞれみていきましょう。
開放f値の制限
レンズのf値は、レンズの焦点距離を口径で割った値になりますので、単純にマウント内径が大きくなるとf値を小さく設計することが可能です。このため、マウント内径が大きい方が、すなわちマウント口径が大きいほうがレンズの開放f値を大きくすることができます。
この点では、物理的に、論理的には口径が大きいニコンやキヤノンより、ソニーが不利ということになります。
ただし、実用的にどうか?、デジタル補正したらどうか?ということは別問題です(これは以下にも同様に言えることなので省略します)。
テレセントリック性の問題
このテレセントリック性についてはニコンの開発者の人が詳しく説明してくれていますので、引用してみます。
しかし、必要とされるマウント内径の導出はあくまで撮像面の中心での話であって、撮像面の周辺部まで考えると、無理があるのです。射出瞳が無限遠にあるようなテレセントリック光学系の場合はF0.95の光束は周辺に行くにつれ入らなくなり、かといって射出瞳を近づけたくても今度はセンサーの受光できる入射角度にも限界があります。つまり、F0.95における設計制約になるのです。撮像面全体でしっかりとF0.95の性能を担保できるようにするにはフランジバックとマウント内径の関係が重要になってくるのです。
(記事元)https://dc.watch.impress.co.jp/docs/interview/1240053.html
設計の難易度があがる
一般的にレンズの設計は、マウント口径が大きく、フランジバックが短いほど、レンズ設計の自由度が増し、設計がしやすくなると言われています。なので、ニコン、キヤノンなどが50mmを超えるマウント口径としているのも理解できるところです。
一方、ソニーのEマウントの口径は46mmで、上記に提示したように他のマウントと比較すると約1cmほど小さいことになり、この説が正しければソニーのレンズ設計の自由度は目減りしていることになります。
ボディ内手ぶれ補正に限界がある
ご存じの通り、ボディ内手ぶれ補正とは、手ぶれに合わせてカメラ本体内にあるイメージセンサーを様々な角度に動かすことによって手ぶれしないように撮影してくれる機能のことです。
しかし、この手ぶれ補正に関して、マウント口径が小さいとそれがデメリットになるのではないかと言われています。例えば、一例をあげると、マウント口径が小さいのでセンサーを動かせる範囲が狭くなり、そのおかげで手ぶれ補正の効果が少なくなるといったことがあげられます。
ただし、これはマウント口径の小ささだけが問題とは言えないだろうと思います。レンズの後玉(もっとも本体側のレンズ)がマウント口径ほどのサイズになっていればそういうこともあるかと思いますが、実際にはレンズの後球はマウント口径よりも十分に小さいレンズが多いので、マウント口径がボディ内手ぶれ補正に影響を与えることは少ないのかなと思います。
ただ、超望遠レンズになるとバックフォーカスも十分に長くなるので、センサーを動かして手ぶれ補正を修正しようとするとマウント内径の制限がでてくる可能性もあるのかなと思います。
しかし、最近ではソニーのカメラとレンズでも十分な補正効果があるようですので、これは迷信と言えるのかもしれません。
デジタル補正によって高まる設計自由度
カメラのデジタル化が当たり前になり、レンズ設計に関しても変化がでてきました。これまではデジタル補正などはなかったので、いかに光学的に優れたレンズを作るかが重要だったわけですが、最近ではデジタル補正が一般化しているため、ある種類の「欠点」については許容される傾向にあります。
そのためデジタル補正前提であれば、安くて小型軽量、しかも描写性能も高いというレンズが作られるようになりました。
このような技術が一般的になっている状況では、小さいと言われているEマウントでもデジタル補正を有効に利用すれば小口径であるデメリットも十分にリカバリーできる可能性もありますし、最近のレンズでは補正なしでも光学的にいいレンズもでているようです。
マウント口径やフランジバックに関しては、迷信的な意見も様々ありますが、実際にはどのマウント口径やフランジバックがベストになるのでしょうか?
こればかりは時間が経過しないとわからないかもしれません。
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