それについて、ニコンに尋ねると、常務執行役員・映像事業部長の池上博敬さんからこんなコメントをいただいた。
<仙台の生産工場(仙台ニコン)は、およそ40年続いたカメラ生産をタイ工場に移管しますが、映像製品に必要な高機能・高精度な部品生産を継続し、タイの生産工場の生産立ち上げなどで今後もサポートして参ります。
同時に、カメラ生産と新製品立ち上げで培った生産技術力、機動力をベースにニコンの将来を支える新規事業のスタートアップ工場としても活躍していきます。カメラ生産の移管先であるタイの生産工場は1990年に設立、約30年もの間カメラや交換レンズの生産を続けており、ニコンの主力工場として長年にわたりニコンクオリティーを実現しています。これからも変わらずに皆さまにご満足いただける高い品質の製品を提供して参ります。引き続きニコン製品をご愛顧賜りますようお願い申し上げます>(記事を一部引用しています)
(記事元)https://dot.asahi.com/dot/2020121500061.html?page=1
ニコンがカメラの日本国内製造から撤退と海外に伝わる
日本では、すでに11月初めにニコンが宮城の工場からタイの工場へカメラの製造が移管することが発表されています。なので目新しい記事ではないわけですが、海外のカメラ関係のサイトの人々はその報道を上記で引用した記事で初めて知ったのでしょうね。多くのカメラサイトで取り上げられています。(参考 ニコン 宮城県生産のカメラもタイへ移管 日本製造から撤退か??)
ですが、宮城の工場では、技術力が必要な重要な部品の製造は続けるなどとしています。つまり、技術力が必要な部品は日本で製造して、タイなどの工場へ輸出して組み込みはタイで行うということなのでしょうか?いずれにせよ、ニコンの高級機は国内製造というのは当たり前でしたが、今回の撤退でニコンのカメラはすべて海外生産ということになるのだと思われます。
ニコンは中国でもコンデジやNikon 1を製造していたと思われますが、その中国の工場も撤退しています。なので、今後のカメラのほとんどはタイの工場や、他の企業へOEM生産として委託する方向になるのだと思われますね。
海外の反応
今回、はじめて海外に伝わった日本国内での製造撤退という報道ですが、海外ではどのように思われているのでしょうか?
・タイの工場はもう数十年稼働していて製造には問題ないと思う。でも工場が集約すると洪水などのリスクが残るね
・Appleと同じ。設計は仙台で。製造は他の場所で。それでok
・ソニーのカメラもいくつかは中国製だけど問題ないから、別に関係ないのでは?
・品質管理がしっかりしていることを期待するしかないね
・ニコンには暗い話題ばかり。生き残るためには何かをしなければならない。
・キヤノンは逆にロボットを使って人件費を下げるために、製造を日本に戻しているよ。
・賢い動きだと思う。ニコンはたぶんコスト削減のためにベトナムをみてるんじゃないかな?
・悪いニュースだ。財政的なプレッシャーを受けているのだろう。
・最終的な組み立てはタイだけど、部品は日本などから送られているのでは?
主な意見はこのような感じになっています。海外では、単純に日本での製造がなくなるだけで、別に海外の工場に移転しても、製品の品質が下がることは少ないだろうから、問題ないんじゃないか?というような意見のほうが多いようですね。
そして、これがニコンの経営的にプラスになる可能性があるですとか、製品価格が下がる可能性があるので、さほど悪いニュースでもないという意見も多いようです。
日本人にとっては、日本で製造していたカメラの工場が他の国に移転してしまうということで悲観的な意見も多いですし、そのためかニコンの経営状況がそこまで悪かったのかという意見がかなり多いようです。日本では、すでに中国製の製品をやまほど見ていますので、日本メーカの海外製造の精密機器にはそれほど違和感を感じなくなっていますので、海外の人とはちょっと違う感想になっているのかもしれません。
実は工場の海外移転というのは、経済的にかなり日本にとってはマイナスになります。例えば日本に工場があれば、そこで電気、ガス、水道といったものを利用しますし、工場で働く人たちが集まってきます。人が集まればスーパー、飲食店なども集まってきますし、その人たちを目当てにクリーニング店、お弁当屋さん、お惣菜店などが集まり、全体的にお金がまわって経済が成り立っていきます。
工場が撤退すると、それらのスーパー、飲食店、クリーニング店、お弁当屋さんすべてが成り立たなくなる可能性があり、より大きな経済的な影響がでてしまうわけですね。
製品の品質には問題ないとしても、その他の影響が日本の経済に影響を与えたり、そしてなによりそこまでしなければならなくなったニコンの経営体質についても心配になりますね。
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コメント
コメント一覧 (4件)
組立だけなら人件費の安いタイで組立て原価低減により利益が上がるだろうが
今年の新型コロナで海外工場の依存による日本企業のサプライチェーンの脆弱性が露呈したのに、海外移転ですか。
本当に工場の海外移転が映像部門の再建に繋がるのでしょうか?低迷の原因の本当の理由から目を背けているような気がします。
長期的に見ると、キヤノンの目指している方向性が一番良いと思いますね。少子高齢化を迎えた日本では、生産ラインにロボットを導入しつつ国内産業の活性化を目指すべきでしょう。
現在はタイの人件費が国内より安いといっても、経済発展と共にすぐに高騰するのは目に見えています。ならば、その次はベトナム、ではその次はアフリカ....と世界を一周ぐるっと回ったら技術も何も残っていない最後進国が自国だったなんて笑えませんから。
仮に完全ロボット化出来れば、基本的にどこで作ろうとメーカーの競争力は維持できると予想されます。
ニコンのカメラは F6 を最後にベテラン職人さんを必要とする
機種がなくなりました。
それに合わせ、国内生産の必要がなくなったと判断した思われます。
カメラも精密光学機器ではなく家電になったと実感します。
国内が空洞化により、日本人の仕事が無くなるのではと不安がある。
あと国産が良いと思う理由は、日本人の愛情(誠意・努力・情熱)に対価を払いたいからだ。
物づくりは日本の美学、たとえ不言実行だとしても相手の喜ぶ姿を願い、仕事に対するプライドを持つ職人達を失いたくない。