DPREVIEWをなぜ閉鎖する必要があったのか
すでに当サイトでもお知らせした通り、海外の超有名カメラ関連サイトのDPREVIEWが閉鎖することが明らかになりました。DPREVIEWの親会社というか運営会社はAmazonです。25年も運営されていたサイトがなぜ突然閉鎖されることになってしまったのでしょうか?そこにはAmazonの経営状況が大きく関係しているようです。
今回は、なぜDPREVIEWが閉鎖されることになったのか。その一つの側面としてAmazonの経営環境が原因としてあるようです。まずはAmazonの経営環境がどうなっているのかみてみましょう。
Amazonの純利益は98%減少していた
アマゾンは2022年第4四半期の決算で、売上高が5,139億ドル(約66兆円)に到達し、過去最高を記録したものの、純利益は前年同期比で98%も減少。営業利益率も新型コロナ流行前の6%前後に対し、2.4%にまで下落した。
インフレにより物販が思わしくなく、コスト削減でAmazonのクラウドサービスの利用を見直す企業が増えたことが原因のようです。プライム会員の登録者数も創業以来初めて減少に転じました。インフレで事実上、給与が目減りしている状況では生活に必要なもの意外を購入しようと思わない人は増えても不思議ではないと思います。
保守的な経営に転換
業績の減速など厳しい状況が続く中、同社は攻めから守りの経営にシフトしている。もはやディスラプター(破壊者)であることにこだわらず、これまでのような新事業へのチャレンジ精神がある企業文化は見られない。
もはや新たなイノベーションを行うことなく、既存の事業の見直しを行うことで企業利益を最優先に考えているようになってしまっているようです。とりかく利益を出す、赤字にならないことを最優先にしているようですね。
コストの上昇
エネルギーコストの上昇も重荷となっている。電気や天然ガスの価格が高騰し、「この数年で2倍になった。これはAWSにとって初めての経験だ」(オルサブスキーCFO)。
サーバやクラウドサービスの提供には、サーバの電気代が必要になるわけですが、ウクライナ戦争などの影響でエネルギー価格が上昇し、それも足かせになっているようです。
配送費や人件費の高騰
22年上期は北米、海外とも配送網の強化や配送費、人件費などコスト増きつくECの採算急悪化。AWS好調でも補えず営業利益は大幅減。リビアン株の評価損計上で純損益は赤字転落。
アメリカなどではインフレにより賃上げ圧力が高まっています。優秀な人材を集めるためには人件費を高く設定しなければなりません。そして、燃料費なども高騰しており、配送を自社で行っていることで、配送料のコストも高まっているようです。
リストラにかかる費用
一方、23年1~3月期(第1四半期)は為替影響を加味しても増収を見込む。リストラ費用等きついが、人員削減などが徐々に効き通期では利益改善へ。
そこで急激にリストラをしてなんとか利益を得ようとしているようですが、そのリストラにも費用がかかるということで、負のスパイラルになってしまっているようです。
サブスクビジネスモデルの終焉
GAFAなどが運営する、いわゆる“サブスクリプション型”と呼ばれるビジネスモデルが限界を迎えつつある。主にITなどのチャネルを通じて、特定のサービスを提供することに対して課金するサブスク型ビジネスに関しては、とりあえず需要が一巡したことに加えて、類似のサービスを提供する企業が増えて競争が激化している。ここへきて、従来のペースで収益を獲得することは難しくなっている
amazonプライムなど月額制のビジネスモデルは、多くの会社が参入してきたため限界を迎えつつあるとしています。amazonもプライムビデオなどでサブスクを行っているわけですが、他の企業にユーザを奪われている可能性もありそうです。
そしてAmazonの選択は?
このような中で、Amazonは経営に関して方針転換することを明らかにしています。
- いま各事業について検討、何を変えるべきか検討中
- 顧客や事業の長期的な健全性にとっての重要度を考えて投資をする
- デバイス事業と書籍事業において多くの地位を廃止する決定をした
- 重要なのは顧客のために絶え間ない発明をすること
(記事元)https://www.aboutamazon.com/news/company-news/a-note-from-ceo-andy-jassy-about-role-eliminations
このように利益が激減してしまったことに関して、顧客にとってどのような事業ずあるのがベストなのか、長期的に生き残れる事業は何か?といったことから優先順位を付け、優先順位の低い事業からの投資をしないという決定をするとしていました。
見捨てられたカメラ市場?
このようにAmazonは昨年から経営状況がかなり悪くなっていたことが明らかになっています。ここで何らかの対処をしないと株主から文句を言われてしまう可能性があります。そのため長期的な視野で、今後伸びる事業への投資を集中させ、あまり利益が望めない事業、今後の伸びしろが少ない事業を停止し、少しでも利益を出せる体質にしたかったのだと思います。
そのようななかで、今後も縮小していく事業に対して投資をしていくことの優先順位はかなり低いものだと判断された可能性が高いと思いますね。それはすなわち、カメラ市場は今後も縮小していく可能性があり、今後、DPREVIEWの運営を続けても得られるメリットは少ないと判断したということになると思います。つまり、Amazonは事実上、デジカメ市場に見切りをつけたということになるのかもしれません。
今後、DPREVIEWはどうなるのか
DPREVIEWの今後についてですが、4月10日まで運営されることが決定されています。しかし4月10日で更新は止まります。さらにDPREVIEWのサイトそのものが廃止になります。つまり、カメラのデータベース的に残しておくことすらせず、DPREVIEWに掲載されているコンテンツはまるまる削除されることになります。
DPREVIEWはYoutubeチャンネルで動画も配信しています。YoutubeはGoogleが運営しているわけですが、Youtubeに投稿した動画もすべて閲覧できなくなることが確定しています。
カメラ市場の縮小によって利益がだせなくなったサイトは、今後も次々と閉鎖していく可能性があるのかなと思いますね。日本でも多くのカメラ雑誌が廃刊や休刊となってしまいました。これもカメラ市場の縮小の結果ですので仕方がないかもしれません。
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コメント
コメント一覧 (1件)
これは本当に残念です。
せめてあの二人の動画は残して欲しかったなぁ。