一眼レフの販売状況
いま各種のランキングでは、一眼レフよりミラーレスカメラのほうが上位に入っています。それだけミラーレスが受け入れられている状況になっているわけですね。しかし、一眼レフ需要も底に達し、今後も頑張っていけるかもしれないという記事が掲載されています。
いったいどういうことなのでしょうか?その記事をみてみます。
しかし昨年3月~5月にかけては、前年の反動と緊急事態宣言の解除などを受け、前年比は一時的に2桁増を記録した。結局、プラスで推移できたのはこの3カ月だけ。以降再び激しい前年割れが続くことになった。ところが、今年の2月をボトムに、指数は徐々に改善。5月は台数が0.26、金額は0.34とわずかだが持ち直してきたことで、金額が1年ぶりに前年を上回った。
販売台数メーカーシェアでは、昨年春までキヤノンとニコンの拮抗状態が続いていた。しかし、この5月ではキヤノンの74.5%に対し、ニコンは21.4%と大きな差がついている。ニコンは昨春からエントリーモデルを中心に販売を次々と終了させたためだ。現在、ニコンの一眼レフはフルサイズモデルがフラグシップのD6に加え、D850、D780の3機種。APS-Cに至ってはD7500のみで、一眼レフはわずか4機種しかない。ニコンの販売前年比は昨年11月、台数が11.9%、金額が20.0%。つまり8割から9割減の大きなマイナスを記録した。ところが、この5月は台数59.5%、金額90.3%まで回復してきた。現行品の中では最も価格の安いD750の価格が下がり、販売が伸びているからだ。トップシェアのキヤノンは極端なラインアップの絞り込みはしていない。5月の前年比は台数108.6%、金額も107.5%で堅調だ。特に売れ筋のEOS Kiss X10は販売が伸びている。
ニコンは、評判の良かったD500やDfなども販売を終わらせており、ミラーレスのZシリーズに賭ける意気込みが感じられる。これから一眼レフが逆転することはまず考えられない。正しい判断ともいえるだろう。つまり、一眼レフ市場の急速な縮小を主動したのはニコンだった、というわけだ。とはいえ、一眼レフのレンズ資産は豊富。光学ファインダーを好む層も一定数存在する。一眼レフ市場は今後、ニッチなカテゴリーとして細々と続いていくことになるだろう。
BCN
この記事が述べている主張がいまいちよくわからないので、間違いがないように長文の引用になっていることをご容赦ください。そして、全文は記事元リンクからご覧ください。たぶん、そのほうがより細かいニュアンスも理解できると思います。
ユーザは代替製品を購入しないのか?
記事によれば、一眼レフの販売台数や販売金額は、今年の2月を底辺に、その後は次第に次第に持ち直ししているとしています。その理由としてはニコンのD750の価格が下がり販売が伸びたことで、台数や販売金額で上向いたからだとしています。
そして、ニコンはD500、Nikon Dfや、廉価なD5x00シリーズ、D3x00シリーズの販売を取りやめたことで、一眼レフの市場が縮小した。つまり一眼レフの市場を縮小させたのはニコンだとしています。
この記事からわかることは、
・ニコンはエントリークラスの一眼レフから撤退した
・その結果、ニコンは前年比で、販売台数や販売金額で、8割、9割減と大きなマイナスになった
・しかし5月は回復してきた
・回復の理由はD750の価格が安くなり販売が伸びているから
・一眼レフの市場の急速な縮小を主導したにはニコンだ
この記事では、このように主張しているように受け取れます。
ニコンがD3x00やD5x00シリーズのようなエントリークラスの一眼レフから撤退したのは確かですし、Nikon D500やNikon Dfもディスコンにしたのは事実です。しかし、もし同じような製品を購入したいと思ったのならば、ニコン以外の、例えば、キヤノン、ペンタックスなどの競合製品を購入しようと思うのではないでしょうかね?
ニコンがある製品の販売をとりやめたことで、その製品を購入しようと思っていた人すべてが、カメラの購入をやめるとは考えられないと思います。確かにニコンの一眼レフでなければ購入したくないという人も一定数いると思いますが、一眼レフ市場を急速に縮小させたのは、本当にニコンなのでしょうか?と、イマイチ因果関係がよくわからないと、記事を読んでいて思いました。
現実的にニコンのカメラでないから購入は止めたという人もいるでしょうし、ニコンのカメラでなくてもいいからキヤノンやペンタックスの製品を購入したという人もいたと思います。
仮にこの記事で主張する内容が、ニコンが多くの一眼レフユーザの要求を満たすようなミラーレスカメラを製造して販売することができたということであれば、それは理解できるところですね。ニコンが、既存の一眼レフの機能と遜色ない機能を実現したミラーレスカメラを発売したことで、一眼レフではなくてもミラーレスでいいなという人が増えることで、一眼レフ市場の縮小に寄与したということは言えるのかもしれません。
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コメント
コメント一覧 (3件)
シンプルにD3xxx/D5xxxシリーズを続ける旨みがなくなった、もしくはリーソースを割いていられなくなったというだけのような感じがします。
技術的にも需要的にもこれからはミラーレスの時代だと判断してZマウントに注力しなければ生き残れないとなり、カメラ市場が拡大してればD3xxx/D5xxxシリーズなどの一眼レフを維持しながらミラーレスも展開するリーソースが出せたかもしれませんが、今のカメラ市場とニコンの企業体力的にそれはできないという感じでしょうね。
これで一眼レフを維持し続けながらZシステムの充実が遅ければそれはそれで文句を言われてしまうわけで、ニコンは生き残りのために選択と集中をしているだけですね。
別にまだ完全に一眼レフから撤退したわけでもないので、ニコンも続けられる限りは需要の高い一眼レフは残したいと思っているのではないでしょうか。
元記事の方を読んでみました。
記事を書いたアナリストは、
ベースの気持ちとしてデジタル一眼レフへの郷愁を感じていて、
積極的にミラーレスに切り替えたニコンを残念に思いつつも、
企業の判断としては評価している、ように私には読めました。
ニコンの方針転換を私は合理的だと思いますが、今回のような記事を見ると、キヤノンの企業としての異質さが改めて浮き彫りになりますね。
この供給難の時代に、ミラーレスの新製品を売り続ける一方で、デジタル一眼レフの販売ペースを変えることもなく、EF-M も需要がある限り作り続けると言ってのける。
キヤノンは部品の調達や製造に難を感じていない、ということだと思うのですが、そうした力はどこから来るのでしょうか。
BCNは一眼レフにつき、日本では下げ止まったと判断しているということですかね。ただしCIPAの統計によれば、すでに日本での一眼レフの出荷台数は世界の1/30ほど(2021年)なので、日本市場だけ見てあれこれ言うのは基本無理があると思われます。ここ1,2か月、PENTAXのシェアが微妙に下がっているのも気になりますね。販売戦略を変えた影響かどうか? ニコンも直販を重視とか言っていて、実際D5600はニコンダイレクトで売っていたりもしますし、どうなんでしょうね。直販はBCNのデータには反映されないでしょうし。