スマホカメラは複眼化することで何を目指しているのでしょうか?
最近のスマホカメラは複眼化が当たり前になっており、デュアル化はもちろん、トリプル化もしています。それは、なぜどのような理由で行われているのでしょうか?
まず一つは望遠レンズとして利用することを目的としています。デュアルカメラにして、一つは広角レンズ、一つは望遠レンズを内蔵すれば、それぞれ単焦点レンズではありますが、広角レンズで撮影した画像をデジタルズームするよりも、広角レンズ→デジタルズーム→望遠ズームに切り替え→望遠ズームのデジタルズームというようにしたほうが、キレイに撮影できることになります。
もう一つが複数化することで、より多くの情報をカメラから得られるので、作成する画像をキレイに作ることができることです。例えば、一つのカメラをカラーセンサーで搭載し、もう一つのカメラを白黒のセンサーで搭載し、撮影するときにカラーと白黒で同時に撮影をします。これだけでも一度に二つの画像を撮影し、それぞれ合成するので低ノイズで撮影できるわけですが、片方のセンサーを白黒にすることで、さらにノイズの少ない画像を得ることができます。
通常のセンサーはセンサーの前面にカラーフィルターを配置して、RGB(赤、緑、青)の色だけを取得しているようにしています。しかし、これでは例えば赤を受光する素子では緑と青の色をフィルタリングして赤だけを受光するようにして、それぞれの色を合成して画像にしているので、見かけ上、画素数が目減りしていることになります。
ですが、一つのセンサーを白黒センサーとすることで、すべての素子で受光できるようになるため見かけ上、カラーセンサーの約3倍の解像度のセンサーとして利用できることになります。そしてRGBで撮影した画像と、解像度の高い白黒で撮影した画像を合成することで、よりノイズが少なく画質の良い画像が作れるこということになりますね。
もう一つは背景ボケなどをデジタル的に作ることができるようになります。デュアルカメラの位置は左右に配置されているので、そのまま撮影すると微妙に位置がズレた写真が2枚撮影できます。例えば、目の前に人差し指をたててそれを凝視します。それぞれ右目と左目を閉じて片方の目で交互にみてみると背景が微妙にズレることがわかると思います。この仕組みを利用すると、ピントが合っている以外の場所の距離を計算することができます。そうするとカメラからの距離がわかるので、その位置情報をもとに背景ボケや前ボケなどを作ることができるようになります。
このように、今のところは望遠レンズの実装、低ノイズ高解像度撮影の実現、ボケを実現するピクチャーコントロールというような意味でカメラの複眼化が行われているようですね。
ですが、このようにハード的に複眼化をしなければならないというのは、カメラ側でソフト的に処理することが限界に近づいているということも言えます。
カメラの複眼化はレンズ交換式カメラではかなり無理がありますが、光学ズームがあること、望遠ズームレンズがあること、センサーサイズが大きいことなどはカメラのメリットととしてまだ残っているということは言えそうです。カメラメーカもこのような斬新な何かしらの機能を追加してスマホと差別化していくことが、特にエントリークラスのカメラなどでは必要になっていくかもしれませんね。
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