アドビがニコンとコンテンツ認証でパートナーシップ発表
アドビが主導するコンテンツ認証技術において、ニコンとのパートナーシップを発表したという報道がでています。
どのようなパートナーシップなのでしょうか?それでは記事をみてみましょう。まずは、ニコンのプレスリリースです。
「Adobe MAX 2022」に、出所や来歴などの情報を画像ファイルに付加する来歴記録機能を実装したカメラを参考展示
2022年10月19日PRESS RELEASE/報道資料
株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)は、Adobe Inc.が主催するクリエイターの祭典「Adobe MAX 2022」(2022年10月18日~20日、於:米国・ロサンゼルス)に、画像の出所や来歴などの情報を画像ファイルに付加する来歴記録機能を実装したフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ「ニコン Z 9」を参考展示※します。
本展示は、Adobeが主導するデジタルコンテンツの改ざんや不正使用への対策を目的とした、コンテンツの出所や来歴データの保証を普及促進するコミュニティであるContent Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ、以下、CAI)と協働したものです。
今回参考展示する「Z 9」に実装した機能は、デジタルコンテンツの出所や来歴を証明するための技術標準の開発を行う業界団体であるCoalition for Content Provenance and Authenticity(コンテンツの出所と信ぴょう性に関する連合、以下、C2PA)が定める標準仕様に準拠しています。近年、画像の改ざんや不正使用による誤報・作品盗用・著作権侵害などが増加しています。ニコンは、これらの不利益や悪影響から映像産業に携わる人々や企業、ひいては社会を守ることは、グローバルで重要な課題と認識しています。そのため、ニコンはCAIおよびC2PAの2団体にカメラメーカーとして初めて2021年に加盟し、デジタル認証を通じてコンテンツやその作者・利用者などを守ることを目的としたプロジェクトに参画しています。
現在ニコンは、画像の出所や来歴などの情報を画像ファイルに付加し、画像の真正性確認をサポートする来歴記録機能の開発を進めています。来歴記録機能により、多くの手間とコストがかかっている画像のファクトチェックをはじめ、改ざんや不正使用の検知を容易にし、画像の信頼性向上に貢献していくことを狙います。
ニコンは、画像の改ざんや不正使用問題への取り組みを今後も継続して行い、クリエイターをはじめ、出版社や報道機関などの映像産業に携わる人々が安心して創作活動や事業活動を行える社会の実現とともに、映像文化のさらなる発展に貢献します。
というわけなのですが、これだけではちょっとよくわからないので、かいつまんで説明しているニュースを引用してみたいと思います。
「ニコンZ 9」に実装される「来歴記録機能」は、画像の来歴情報を撮影時に写真に添付することを可能とする。これにより、利用者は出所や編集履歴の特定が可能となり、デジタルコンテンツのライフサイクルの過程で混入し得る誤った情報や虚偽の情報の拡散を防ぐことができる。
この記事によれば、いつどこで撮影されたのかという情報とともに、編集履歴も可能であるとしています。このことは誰が画像を撮影し、そしてどのように編集していったのかといった履歴が、その画像にデータとして添付されることを意味しています。
フェイクは防げないが真実性の証明に役立つか
いまのjpegファイルには、Exifというその画像に関するデータを付与することが可能になっています。これにより撮影日時、撮影した場所のGPSデータ、撮影したカメラやレンズの情報を保存することが可能です。
しかし、Exifは誰でも簡単に変更することができるため、その情報が正しいという証拠にはなりません。あくまで参考データに留まります。恐らくですが、このアドビのCAIは暗号化技術を利用して、撮影場所、撮影機材、各種の編集履歴を画像に添付することで、その画像が本当に撮影者(と主張する人)が撮影したり加工した画像であり、改変されたものでないことを証明する目的で開発されているのだろうと思います。
もし意図的に画像を改ざんした場合、改ざん履歴が残るのでどのように改ざんしたのかがわかってしまいます。ただし、添付された情報を完全に削除されてしまったら、どこで撮影したのか、どのように編集したのかもまったくわからなくなってしまいます。この場合は、オリジナルの画像提供元がすべての画像でコンテンツ認証技術を採用し、その情報を公開することで、少なくとも認証技術が適用されていない画像については何かしらの改ざんが行われた可能性があるという判断をすることが可能になります。
これはあくまで信頼できるメディアや発信者であるからこそ、これらの画像に関する認証履歴を安心して受け入れることができるわけで、信頼できない人がこれらの情報を添付して画像を公開することも可能になると思いますので、この情報が添付されているから安心してすべてを受け入れることができるのかどうかというと、決してそうではないのだろうと思いますね。そうすると未知の情報提供者のフェイク画像を、フェイクだと見極めるようなことはできないと思いますので、あくまで信頼できる画像提供元が提供した画像について、何の改ざんもされていない画像であると判断できるという程度の信頼性を担保できるぐらいのものではないのかなと思います。実際にはさらに高度な何かしらの技術が採用されているのでしょうか?
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コメント
コメント一覧 (1件)
Adobeと連携ということはPDFの来歴情報技術と同様だろうと想像します。
すると、第三者機関(時刻配信業務認定事業者)が発行するタイムスタンプが必須となるので、これをカメラに実装するということは、必然的にインターネットアクセス機能を搭載することになると考えられますね。
そうなれば、クラウドに配置したAIでの画像編集もカメラから利用できるようになるかもしれませんね。